第107話 どうした?大きな声を出して……反抗期か?

前回のあらすじっ!

 掲示板で先生がいろいろ話してました!先生の私情が入りすぎてて、無駄な時間でした!以上っ!




「先生!なんだったんですか!今の掲示板は!?」


「ん?なにって、私がお前と、どうやったら結婚できるかの相談をしただけだが?」


「そんな目的で掲示板を始めてねぇよ!」


「冗談だ。そんな話は一言もしてないからな」


「ガッツリしてたわ!むしろ、嬉々としてしてたじゃねぇか!」


「……………お、上を見てみろよ」


「ん?急になんですか?」


 先生に言われたので、上を見てみる。


「電球があるな」


「当たり前だ!話の逸らし方、雑すぎだろ!」


「どうした?大きな声を出して……反抗期か?」


「やかましいわ!」


(なんで先生とはこんなやり取りしかできないんだろう……)


 本気でそう思う凛であった。




「2人とも落ち着いてください」


 と、今まで静かにしていた三神さんが話しかけてくる。


「そうですね、今は先生とバカな話をしてる場合では……」


「おい、汐留。今、誰のことを『バカ』って言ったんだ?」


「先生のことを『バカ』とは言ってねぇよ!」


(もう、いちいち会話に入ってこないでほしい……)


「武田先輩、デザート奢るので少し静かにしててください」


「お!ホントか!実はこのケーキを食べたかったんだ。ありがとう、三神」


「……………………」


(先生ってホントに三神さんの先輩で、学校の先生なんだろうか?)


「すみません。先輩がいると会話が進まなくて……」


「いえ、いつものことです」


 “うんうん”と、2人で頷き合う。


「では、さっそくですが、改めて聞きます。私と契約して、芸能界デビューしませんか?」


「そうですね…。少し揺らいでしまったところもあるんですよ」


「お!それはどの点でそう思われたのですか?」


「掲示板する前に先生が『場所も概ねバレてて、お前に会いたいって奴は多い』って言ってたのは本当ですか?」


「はい。その点は嘘ではないです。一昨日、アウトレットで、初めてコスプレしたと思いますが、次の日、つまり昨日は場所がバレてて、かなりすごい人数がアウトレットに押し寄せたらしいです。汐留さん目当てで」


「ま、まじかぁ」


「ちなみに、ここへ向かう前にSNSで調べたら、昨日もアウトレットに現れたからと、今日は、昨日の倍以上のリュー様ファンが、アウトレットに押し寄せてきたらしいです」


「……まじかぁ」


「一昨日演技した女の子の制服から、学校がバレるのも時間の問題かと……」


「…………まじかぁ」


(リュー様ファンは、よほど、俺に文句を言いたいらしい。ホントにすみません)


「じゃ、じゃあ!先生に『何かあると困るから三神に守ってもらえるよう、芸能事務所には所属した方がいいかもな』って言われましたが、本気で俺の身に危険が迫ってるから、三神さんに守ってもらうように提案してくれたんですね!」


「…………そ、そうですね」


(ん?なぜか目を泳がせながら答えたけど、三神さんも先生の意見に同意なんだなぁ)


 そこまで考えて、俺は一つの答えを出す。


「わかりました!俺の身に危険が迫ってて芸能事務所に所属すると三神さんが守ってくれるなら、俺は所属だけしましょう!」


「ホ、ホントですか!?」


「はい!あくまで、所属だけですが……」


「あ、ありがとうございます」


「ただし!条件があります!」


「な、なんでしょうか?私にできることならなんでもします!あ、エッチなことならできる範囲で……」


「そんなお願いする気はねぇよ!」


(いや、待てよ?三神さんって美人だし、胸がとても大きんだよなぁ。少しくらい………うん。エッチなお願いとかしたら、守ってくれなくなるので、これ以上は考えるのをやめよう)


 そんなことを思いながら…


「で、では、条件とはなんでしょうか?」


「それはですね……」


 と、重要なことなので、溜める。


 それに合わせて、三神さんは緊張した面持ちとなる。


「妹の説得を手伝ってください!」


 と、全力で頭を下げる。


「………へ?」


「妹の説得を手伝ってください」


 と、再度全力で頭を下げる。


「いや、聞こえてますけど……溜める必要ありました?」


「はい!これが、芸能事務所に所属するための、最後のラスボスです!俺の説得が完了しても、妹がダメと言ったら所属できないので!」


「………妹ちゃんをラスボス扱いしていいんですか?」


「はい!ホントにラスボスなので!俺の身を守るために、全力で説得をお願いします!」


「は、はい、わかりました」


 よくわからないけど納得する三神さんであった。



 その後…



「なぁ、三神さん。俺、すごいこと発見しました」


「奇遇ですね。私もなんです」


 と、俺たちは顔を見合わせて…


「先生がした掲示板の時間、無駄だったなぁ」


「武田先輩が提案した掲示板の時間、いらなかったですね」


 と、同時に言う。


「「……………………」」


(先生の結婚願望を聞くだけの無駄な時間だったなぁ)


 そんなことを思う凛であった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


作者から一言!

 まさか掲示板が、先生のポンコツさを露呈させるだけになるとは…。

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