第104話 私が結婚できなくて辛い時に、暇人どもが慰めてくれるものだ

前回のあらすじっ!

 なぜか、俺がコスプレをして、美羽に演技していた動画が、昨日のニュースに取り上げられていました。もう俺の顔は全国デビューしてたようです(泣)以上っ!




 俺が机の上に倒れ込むと、先生が俺の肩に手を置く。


 そして…


「そう落ち込むことはないぞ」


 と、慰めの言葉を言ってくれる。


「そ、そうですよね。終わったことは仕方ないですよね」


「そういうことだ。それに、あのニュースを見て、朝から元気になった人もいるらしいからな。そんなに落ち込む必要はない」


「そ、そうなんですね……。こんな俺でも誰かを元気にすることができてよかったです」


「あぁ、私は昨日の朝、そのニュースを見て、笑いながら学校へ向かったからな」


「元気になったの先生かい!」


「『ははっ!アイツニュースに取り上げられてやがるww。あ、ヤバい、笑いすぎてお腹痛くなったww』って感じだったな」


「どんだけ笑ってんだよ!」


「今も思い出すと……ふふっ……あ、笑ったわけじゃないからな?」


「じゃあなんだったんだよ!?」


「鼻から息を勢いよく吐いただけだ」


「それを笑ったって言うんじゃないの!?」


「さっきからガミガミうるさいなぁ。実はそこまで落ち込んでないんだろ?」


「そんなわけあるか!帰ったら妹になんて説明すればいいんだよ!」


「え?そんなの自慢するだけじゃないのか?」


「そんなことできませんよ!なんなら、その動画が拡散されていることがわかった時は、俺めっちゃ怒られたんですから!」


「ん?なんて怒られたんだ?」


「一言で言えば『俺の顔は世に出回るべき顔ではない』ってことで怒られました。そのため、芸能界へのデビューも猛反対しそうなので、妹には言ってません」


「…………なるほど、そういうわけか」


「?何に納得したんですか?」


「それは、お前が怒られた理由と、妹が芸能界デビューを反対する理由だ」


「えっ!ホントですか!?俺に教えてください!」


「いいだろう。この紙にお前がサインしてくれれば教えてやろう」


「おー!先生のことだから怪しい勧誘とかではないと思いますので、俺の名前くらい、いくらでも書きますよ!」


「お!それは嬉しいな。じゃあここの『夫になる人』という欄に名前を書いてくれ」


「それ婚姻届だから!名前書いたらダメなものだから!」


「おいおい、婚姻届に名前書くだけだろ?5秒もあれば終わる」


「その欄に名前を書くまで、何年も必要なんだよ!」


「なんだよ、せっかく私が『これだけは絶対に持って行こう!』って思って持ってきたのに」


「なぜ、焼肉店に婚姻届を持ってこようと思ったんだよ!」


「え、お前にサインしてもらうためだが?」


「……………………」


(もう、誰でもいいから、この先生もらってあげて……)


 と、本気で思う凛であった。




 先生が渋々婚姻届を片付ける。


「とにかく、ニュースのおかげで、お前の顔はもう、全国デビューしてるんだ。諦めて芸能界デビューをしろ」


「嫌です!まだ俺の正体がリューくんとは気づいてる人は少ないです!このまま隠し通します!」


「ちなみに、お前が演技した場所はアウトレットということはバレてるぞ。しかも、お前がその時、演技に付き合った女性の制服で、家はこの辺りではないかという予測をつけてる人、多いからな」


「な、なんで!?そこまでして、リューくんコスプレをした俺に文句を言いたい人がいるの!?」


「理由は様々あるだろうが、お前に会いたいって奴は多い。何かあると困るから三神に守ってもらえるよう、芸能事務所には所属した方がいいかもな」


「ま、まじかぁ……」


(おいおい!これ、なんて舞に説明すればいいんだよ!)


「私の意見を聞いても、まだ三神の言葉に頷けないか?」


「そうですね……」


 と、俺が迷っていると…


「仕方ない。私たちの声では届かないようなら、他の人たちを召喚するしかない」


「ん?それはどうするんですか?」


「あぁ、これを使う」


 そう言って俺にスマホである画面を見せる。


「ふむふむ。『リア充爆発ちゃんねる』って書かれてますね?掲示板のことですか?」


「そうだ。私が結婚できなくて辛い時に、暇人どもが慰めてくれるものだ」


「そんなものではないと思うけど!?」


「ちなみに、『リア充爆発』との名前通り、恋愛面ならすごく盛り上がる。私も【後輩から結婚自慢された時の復讐法】や【合コンで、私を除け者にされた時の復讐法】とかでは、幾度となくお世話になった」


「………………………」


(この先生は一生結婚できない気がするんだけど……)


 そんなことを思う凛であった。


※次の話は【掲示板形式】となります。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る