第103話 よっしゃ!食べるぞぉぉ!!

前回のあらすじっ!

 先生が俺の情報をペラペラと三神さんに話したらしいです。あの人、ホントに先生なのか!?以上っ!




 俺は三神さんの運転で、見るだけでも高級店だということがわかる店の前にいる。


 俺が建物を眺めていると…


「お、お前たちも着いたか」


「あ、こんばんは、先生」


「お疲れ様です。武田先輩」


「おう。それじゃあ入ろうか。高級焼肉が待ってる。っしゃ!」


「少しは隠せよ!」


「は、はは…先輩らしいですね……」


(おい、三神さんが引いてるぞ?)


 そんなことを思いながら先生について行く凛であった。




 店に入り、店員から席へと案内される。


「今日は私の奢りですので、好きなだけ食べてください!」


「わ、わかり……」


「よっしゃ!食べるぞぉぉ!!今日の晩御飯のために、昼飯を減らしてきたからな!」


「ホント遠慮ってものがねぇな!」


「ま、まぁ、こうなることはわかってました……」


「……こんな先輩にならないよう努力します」


(ある意味で教師をしているなぁ……。『こんな大人になるな!』って体を張って教えてくれてるんだろう)




 しばらく待ち、肉や野菜等が届く。


 三神さんが率先して焼き、俺たちは遠慮なく食べる(特に先生)


 俺たち全員が満腹状態となり、三神さんが俺と食事会を開いた当初の目的を話し始める。


「何度も申し上げますが、私は汐留さんが芸能界デビューした方が良いと考えてます」


「その話なんですが、断ろうと思います」


「やっぱりですか…。理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「理由は、俺なんかがデビューしても人気が出ないと思うからです。陰キャですよ?どこの誰に需要があるんですか?」


「需要しかないと思うのですが……」


「断るのは心苦しいですが、こればかりはできません。申し訳ありません」


 と、俺は頭を下げて謝る。


「はぁ、わかりました。意志は固いようですので……」


 そう、三神さんが言っている途中に…


「まぁ、待て、三神」


「はい?どうしましたか?先輩?」


「ちょっとこっちに来い」


 そう言って、先生は三神さんを連れて、食事場所を出る。


 しばらく待つと…


「汐留さん!君が容姿に自信がないことは理解しました!」


「はい。そうですけど……誰から聞いたんですか?」


「それは、先程、武田先輩から聞きました!」


「えっ!なんで先生そんなこと知ってるんですか!?」


「それは、お前の今の格好を見れば簡単に想像がつく。前髪を目まで隠すということは、汐留が容姿に自信がないと思ってるからかな?と想像できた」


「そ、そうなんです!さすが先生ですね!」


「まぁな、すべて先島から聞いた」


「先生の考えじゃないんかい!あたかも自分の考えみたいに言わないでください!」


「当たってたからいいだろ?私の意見でも」


「よくねぇよ!」


(それにしても、よく先島は俺の考えがわかったな。さすがは将来の美少女探偵)


 そんなことを思っていると…


「ま、まぁ、汐留さんがやりたくない理由はわかりました。でも、もう一度だけ考え直していただいてもよろしいですか?」


「どうしてですか?」


「私の理由を述べる前に、まずはコチラの動画を見ていただきます」


 そう言ってスマホからある動画が流れる。


 その動画の内容は…


「えー、次のニュースです。昨日、彗星の如く現れた謎の青年が現在、巷で話題となっているようです。その青年は、話題沸騰中の少女漫画『ドSな俺は、君の執事』通称“俺執事”の執事キャラ“リューくん”のコスプレをされているようで、そのコスプレ映像がコチラ…」


『黙って俺に守られてりゃいいんだよ』


『俺のそばから離れるな』


『そんな顔されたら、ますますイジメたくなる』


「コチラの3つの動画がSNS上にアップされると、凄まじい勢いで拡散されており、現在ではその青年の正体を突き止めるべく、動き出す方々までいらっしゃるようです」


 そこで動画が終了する。


「…………………なにこれ?」


「はい!これは、汐留さんが一昨日、コスプレされた時の動画が、翌日…つまり昨日のニュースに取り上げられておりました!」


「…………………………(パタリ)」


 その言葉を聞いて、絶望する凛であった。

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