第93話 羊でも数えとけ!
前回のあらすじっ!
火口さんが、リュー様の正体を勘づいて動き始めた!俺、ピンチなう。そして、素数ってなんの数なんだ?以上っ!
あれから素数とは何かを先島さんに教えてもらい、冷静を取り戻す。ちなみに理解はできませんでした。
「なぁ、なんで、先島さんがリュー様の正体を知ってるって思ってるんだ?」
「あー、それはね、入学式の昼休憩の時、ゆきっちに『顎クイ』したでしょ?その時の汐留君の顔が、リュー様の顔と一致したらしい。昨日の洋服店で直にリュー様を見たから確信してるようで…」
「なるほど…まさか『顎クイ事件』がこんなところまで足を引っ張ってくるとは…」
「うん……私もそう思うよ」
先島さんも同意してくれる。
「つまり、同一人物だとわかった火口さんは、『顎クイ事件』の現場にいた先島さんと理央に教えてもらおうとしてるってわけか」
「そういうこと。正体を明かしたらダメなんだよね?」
「あぁ、リュー様に申し訳ない」
「でも、ゆきっちはこの学校にいることを突き止めてるんだよ?バレるのも時間の問題じゃないかな?」
「さすがに『顎クイ』をしたのは“他校の人”って伝えてもダメだよなぁ」
先島さんと二人で首を傾げる。
その時、今まで静かにしていた理央が…
「もう、教えた方がいいと思うけどなぁ……」
と、言い出す。
「ウチも涼風さんに同意だよ」
「えっ!二人ともなんで同意するの!?」
「このままだと、ゆきっちがポンコツ化して全男子生徒に『リュー様ですか!?』って聞いてまわりそうなんだよ……」
「そこまでして知りたいか!」
(それはホントにポンコツ化しとるな……)
「ん?でも、どうせみんな違うって言うだろ?それで全て解決するんじゃないか?」
(火口さんには申し訳ないが、全男子生徒に聞いてまわってもらおう)
「それで解決しないと思うよ?」
と、理央が言う。
「なんでだ?」
「火口さんが真剣になって探しているところを他の生徒が見ます。すると、どうなるでしょうか?」
「えーっと……なにやってるんだ?ってなると思う」
「そう!その通り!」
「ま、まぁ、そんな行動を見たら俺もそう思うだろうからな。それくらいなら俺に実害は無さそうだが…」
「ちなみに私なら『あの女の子が真剣になって探してる!もしかしたらホントにこの学校にいるかも!』と思い、私もリュー様を探し出します!」
「探す人が増えるじゃねぇか!」
(鬼が増える鬼ごっこかよ!)
「そう!火口さん以外の女の子もリュー様探しの仲間となります」
「ヤベェ!止めねぇと!」
(全力で今止めなければ!)
「お、おい!ど、どうすれば!?お、俺はまず、なにをすればいいの!?」
「うん、まずは落ち着くところからだと思うよ?」
と、先島さんに言われる。
「お、おう、そうだな。円周率でも呟きながら落ち着こう。3.14………ヤベェ!続きがわからねぇ!」
「わからんのかよ!もっと他に落ち着く方法はあるだろ!」
「い、いやぁ、数えた方が落ち着くかなーって…」
「羊でも数えとけ!」
「それ俺寝ちゃうから!再起不能になっちゃうから!」
“お前は寝とけ”と先島さんに言われました。
(たしかに寝ると落ち着くよ!?でも、そんな悠長なことをしてる場合じゃないから!)
「はいはい!凛くんがバカなことは置いといて、どうするの!?」
「いや、バカではないんだけど、どうすればいい?」
「うーん…実際のところ、ゆきっちに教えるしか方法はないと思うよ?」
「だよなぁ……」
俺たち3人がそんな会話をしていると…
「あ、おはようございます。汐留さん」
と、火口さんが声をかけてきた。
「あ、あぁ、おはよう」
(このタイミングで登場かよ!)
「皆さん、なんの話をしてたんですか?」
「あー、なんの話をしてたんだろ?なぁ、先島さん?」
「えーっと……なんだったっけ?涼風さん」
「あはは……忘れちゃったなぁ、ねぇ、凛くん」
「二人とも誤魔化すの下手くそか!」
(火口さんがすごいジト目で俺たちを見てるぞ!?)
「いや、汐留君もなかなか酷かったけどね…」
「……うん、俺もそう思うわ…」
そんなことを言いながら、この状況をどうしようかと考える凛であった。
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