第85話 なんだこれ?見たことある奴が、聞いたことあるセリフを言ってるぞ?

前回のあらすじっ!

 美海ちゃんと来年、結婚をする約束をしました。まぁ、来年も「結婚しよ!」って言われることはないでしょう!以上っ!




 俺との話が終わったのか、美海ちゃんが火口さんの下へ向かう。


 そして…


「今ね!凛お兄ちゃんに来年、結婚の約束をすることを約束してきたんだ!」


 とか言い出した。


「えぇぇぇぇ!!!!」


(そんなこと言わなくてもよかったんだけど!?)


 俺も驚いているが、俺以上に驚く火口さん。


(なんでこんなに驚いてるんだ?…火口さんは、俺を美海ちゃんが揶揄いすぎたから驚いてるんかな?)


 そんなことを思っていると…


「ホ、ホントなの?汐留さん?」


 と、俺に詰め寄る火口さん。


「あ、あぁ、小学生6年生の美海ちゃんが言ったことだ。どうせ…」


「あー!凛お兄ちゃんは美海が忘れるって思ってるんですね!?」


「い、いや、忘れることに賭けたわけじゃないよ?中学生になってもまだ、美海ちゃんが“俺と結婚したい!”って思うことなんてないと思ったから…」


(どうせ、俺を揶揄うために言ったことだろう。来年になれば、「はぁ?そんなこと言ってないんですけど?死ねば?」って睨まれながら言われるに違いない。…そんな美海ちゃん見たくないけど)


「むぅ〜、そんなことないです!」


 と、頬を膨らませる美海ちゃん。


「わかったわかった!来年も言われたら前向きに考えるよ!」


「わーい!やったー!」


 と、怒ってる表情から一瞬で笑顔になる美海ちゃん。


 それを見て苦笑いをする凛であった。


 ちなみに、その時の火口さんの心境は……


(えぇー!これ、絶対美海、本気だよ!忘れるつもりないよ!も、もしかして、1番強力な敵は涼風さんたちじゃなくて、私の妹なのかも……)


 と、一人で焦る火口さんであった。




 火口さんと美海ちゃんに見送ってもらった後、俺は自分の家へと帰り着く。


「ただい…………ま?」


「おかえり、お兄」


 そこには、鬼の顔をした舞が待ち構えていた。


(えっ!なんで怒ってんの!?も、もしかして、俺が舞に黙ってアウトレットに行ったことがバレたとか!?でも、怒られる理由はそれしか思いつかない!)


「えーっと……きょ、今日の夜ご飯できてる?俺、お腹すいたんだよ……」


「それならできてるよ」


「お!ホントか!舞のご飯は美味しいからなぁ。楽しみだ!」


 そう言いながら、舞から逃げるようにリビングへ行く。


 すると、そこには雑草があった。皿の上に、丁寧な盛り付けで。


「あの〜、舞さん?俺の夜ご飯は?」


「ん?お兄のご飯はこれ」


 そう言って、丁寧に盛り付けられた雑草を指す。


「えーっと……俺の晩御飯は雑草ですか?」


「違うよ?」


「なんだぁ、よかっ……」


「『自宅産 その辺の草〜土を添えて〜』だよ」


「雑草じゃねぇか!」


(雑草をフランス料理っぽくカッコよく言ってるだけじゃねぇか!)


「何してるの?私の料理は美味いんだよね?楽しみなんだよね?……はやく食べてよ」


「……………ごめんなさい。アウトレットに行ってきました」


 と、素直に自白する。さすがに雑草は食えない。


「へぇ、今日は自白してくれるんだ。ちなみに、私が怒ってる理由はまだあるんだけどね」


「…………え?」


(まだあんの!?全然思いつかないんだが!?)


「えーっと、もう思いつかないんですが……」


「ふーん……じゃあ、これ見て」


 そう言って舞が俺にスマホである動画を見せてくれる。


 その動画は…


「『俺に惚れたら火傷するぜ?』」


「…………ん?」


(なんだこれ?見たことある奴が、聞いたことあるセリフを言ってるぞ?)


 そう思ってもう一度再生してみる。


「『俺に惚れたら火傷するぜ?』」


「って!これ俺じゃねぇか!」


(なんでその動画が舞の手にあるの!?拡散されないんじゃないの!?)


 そう思ったため…


「あ、あの……舞さん?この動画はどこで手に入れたのでしょうか?」


「ん?普通にSNSだけど…。この動画も、すごく拡散されてるよ?」


「店長ぉぉぉぉぉ!!!!」


(えっ!拡散されてるんだけど!?話が違うじゃねぇか!店長!?)


 そんなことを思う凛であった。

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