第78話 最近は陽キャしてるんだね……。調子に乗るなよ?

前回のあらすじっ!

 やっぱり店長に会う運命だったようです……。こんな運命、嬉しくないんだが!以上っ!



 火口さんが何かに対してやる気を出した後…


「あ!店長さん!私、聞きたいことがあるんです!」


「はい!なんでしょうか!?リュー様関係の質問でなければ承ります!」


「リュー様のコスプレをしていた方は、どこの誰ですか!?」


「ねぇ!私の話聞いてましたか!?」


「店長さん!そこをなんとか!私、今日はこの質問をするためにアウトレットに来たと言っても過言ではないです!」


「頼むから過言であってくれ!」


(どんだけ知りたいんだよ!見てみろよ、店長を!若干引いてるぞ!)


 そんなことを思いながら、店長を見ていると…


「あの、申し訳ありませんが、リュー様のコスプレをした男の子は…………あれ?その人なら隣………」


「店長ぉぉぉぉ!!!!ちょっとこっちにこい!」


 慌てて店長を引っ張る。


 すると…


「やんっ」


「変な声出すな!」


「いや〜、いきなり引っ張られたもので…」


「店長が変なこと言おうとしたからだろうが!」


 そう言いながら、俺と店長は火口さんから距離を取る。


「いいですか、店長。俺がコスプレした人っていうことは、あの女の子にはバレてないんです」


「あー、やっぱりですか。そんな感じだと思ったんですよ。なんで教えないのですか?」


「それが、あの女の子は、超リューくんファンなんです。そのリューくんを、俺みたいなのが演じたってバレたらどうなりますか?」


「“好きです!付き合ってくださいっ!”ってなると思います!」


「なるかぁぁぁぁ!!!!どうなったらそんな思考になるんだよ!」


「あのテンションなら、やりかねないと思ったんです!」


「確かにテンションは高いが、告白までは絶対ならないだろ!」


「…………はぁ、これだから童貞は……」


「ど、どどどどど童貞じゃないやい!」


「へぇ、経験豊富なんですね。あ、君の妹さん、時々この店に来るんですよ。お兄さんが経験豊富なこと伝えておきますね」


「すみません、調子に乗りました。童貞なんで、経験豊富とか言わないでください」


(おいぃぃぃぃ!舞の名前出すのは卑怯だぞ!それでも大人か!?店長か!?)


「あ、そういえば今日もこの店に女の子と来られてるんですねっ!この件も伝えておかないと……」


「すみません、今日は舞に、ここへ来ることを伝えてません。怒られるので言わないでください」


「そうだよね。私も怒られると思いますよ?ちなみに、なぜ怒られると思いますか?」


「えーっと、舞から“へぇ、またアウトレット行ったんだ。最近は陽キャしてるんだね……。調子に乗るなよ?”って怒られると思います」


「…………うん…………そうだね………もういいです」


(ん?何がもういいんだ?)


 と、思ったが、店長が「もういい」って言っているので、話を戻す。


「店長!俺がリューくんを演じていたことはまだ伝えてないんです」


「私はバレてもいいと思ってますけど…」


「いいですか!?もしバレたら“うわぁ……リューくんを演じてたのが陰キャだったとは……。リュー様に幻滅しました。ファンやめます”ってなるんです!」


「さっき、“私の思考回路がおかしい”みたいなこと言ってたけど、君もおかしいからね!?」


 なぜか、理解してくれない店長。


「とにかく!お願いしますよ!正体は隠してください!」


「理由は理解できませんでしたが、君には助けられているので、あの女の子にはバレないようにします!私、約束は守る人です!」


「お!ありがとうございます!店長!」


(やっぱり持つべきものは店長だったか………。いや、こうなった原因って、店長だよな?)


 そんなことを思いながら、店長と一緒に火口さんのもとへ向かう。


 そして、店長が…


「申し訳ありません。リュー様のコスプレをしていた方は、お教えすることができません」


 と、火口さんに謝る。


(さすが、店長。言ったことはしっかり守ってくれる。このまま、店長に任せて大丈夫そうだな)


「あの!どうしても知りたいんです!あ!教えてくれたら、この店の服を10着は購入します!」


「お買い上げありがとうございます!彼の正体は……」


「おいぃぃぃぃ!!!!ちょっと待て!俺と交わした、さっきの約束はどうなったんだよ!」


「服の購入確約数が足りません。彼女よりも多く、服を購入することを決意してください」


「なぜ俺も服を買わされる流れなんだよ!」


(どうやら、この店長と、約束事はできないらしい)


 そんなことを思う凛であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る