第31話 あの女、ただ胸が大きいだけの女じゃなかったんですね!

前回のあらすじっ!

 涼風さんと山野から詰め寄られて困ってます。以上っ!




「ねぇ!どっちと帰るの!?」


「センパイにはウチがいれば大丈夫ですよね?他の女なんかいらないですよね?ねぇ、センパイ、もしかしてウチじゃない他の女の方がいいんですか?それならそうと言ってくださいね?ウチがその女を消しますので」


(いや、これどーしろと?なんか山野が消すとか言い出してるんだが!)


 するとこの会話を聞いていた周りが…


「あんな陰キャがなんでカワイイ子達にモテてるんだよ!陰キャか!?陰キャがモテる時代なのか!?……俺も陰キャになろ」


「くそっ!あの陰キャ、修羅場を味わってるだと!俺だってあんな可愛い子達から取り合われたいのに!……殺すか」


「俺の涼風さんや火口さんだけに飽き足らず、後輩の山野さんまで!……おーい!死神のリ○ークさんどこですかー?殺してほしい人がいるんですがー!?」


 約2名から殺害予告をいただきました。全く嬉しくないです。


(とりあえずは丸く収まるように……)


「よ、よし!そ、それなら三人仲良………」


「「………………」」


「ごめんなさいじょうだんです」


 二人から無言の威圧感を感じた。あれ?おかしいな、なんか急に極寒の如く寒くなったんだが!?


「そ、それなら、きょ、今日は山野と帰りたいなぁ。き、昨日は涼風さんと一緒に帰ったし………」


「わぁ!さすがセンパイ!胸が大きいだけの女じゃなくて、ウチを選んでくれると思ってましたよ!」


 と、ハイライトの消えた目が一転、キラキラと輝くような目となる。


(コイツ、涼風さんへの当たり強いな!やっぱり巨乳はみんな敵なのか!?)


 そんなことを考えてると、今度は涼風さんが……


「なんですか、やっぱり後輩がいいんですか、甘えてくれる年下の方がいいんですか、そうですか、私は胸が大きいだけの女ですもんね」


 と、いきなり拗ねだした。


「あ、あのぉ…。ご、ごめんね涼風さん。コイツに聞きたいこととかあるからさ?先に誘ってくれたのは涼風さんなんだけど……こ、今度!俺にできることはなんでもする。必ず埋め合わせするよ!」


 そう俺が言うと……


「ホントですか!じゃあ明日の土曜日か明後日の日曜日にデートしましょ!」


 と、一瞬で元気になる。いや、復活はやっ!


「え!えーっと、デートは……」


「汐留くん!明日か明後日暇な日ある!?」


(って聞いてねぇし!)


「あのぉ、デートはちょっ………」


「汐留くん!明日か明後日暇な日ある!?」


 いや聞けよ!しかも、“はよ答えろ!”みたいな威圧を放ってくる。


「えーっと、明日なら……」


「じゃ!明日ね!またラインするから!絶対空けててね!」


 そう言ってニコニコしながら一人で帰る涼風さん。なんか知らないけど丸く収まってよかったぁ。


 すると隣の山野が…


「くっ!やられました!あの女、ただ胸が大きいだけの女じゃなかったんですね!まさか断られた時の策を用意してたなんて!一緒に帰れたら御の字、帰れなかったらこの作戦です!しかもウチを上手く利用して、です!侮ってました……。う〜〜、ウチだってまだセンパイと休みの日にデートしたことないのに〜」


(なんか山野が利用されたとか言って悔しそうな顔をしている。最後の方は聞こえなかったが、どの辺りを利用されたんだろうか?まぁ、丸く収まったから些細なことか)


「んじゃ、バイバイ、山野」


「ちょっと待ってください!」


「グヘッ」


 俺は再度制服の襟を掴まれる。え!解散じゃないの!?


「なに私と別れて帰ろうとしてるんですか!?一緒に帰るって言ったじゃないですか!?」


 と、すごく怒った顔で言う。


「え!あれってホントだったの!?てっきり“私と一緒に帰れるとか本気で思ったんですか〜?残念でした〜、私はセンパイと違って暇じゃないんです〜”みたいなこと言うのかと思ったから!」


「何バカなこと言ってるんですか!やっぱり脳が衰えてるんじゃないんですか!?」


「どんだけ俺の脳が悪いことにしたいんだよ!」


 そんなに俺の脳に恨みでもあるのか!?


「とりあえず今から寄り道しますよ!」


「え、俺家に帰りた………」


「いいですね!?」


「…………はい」


 もう疲れてるんだけど!って言いたいが言える雰囲気ではないので飲み込む凛であった。

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