第30話 へぇーすごいすごい。あ、お疲れさんした〜
前回のあらすじっ!
後輩がウザい。家に帰りたい。以上っ!
注意:山野が登場した辺りから涼風さんが一言も喋ってないことになってますが、目の前にいます。なんなら「もう〜、汐留くんがそこまで言うなら今日はお家デートでもいいよ?」とか言ってます。凛が山野に絡まれてるため放置されてるだけです。
「で、なんで山野はこの学校に来たんだ?確か頭すごく良かっただろ?」
この学校は頭の良い進学校とは言えない。県内でみたら頭の良さは真ん中辺りだろう。そんな学校なのだが……
(そう、コイツはすごく頭がいい。中学校では毎回学年5位以内をキープしており、高校受験時の全国模試の結果も、全国的にみてかなり上位だった。ん?何故知ってるかって?コイツが喫茶店でのバイト中に自慢してきたからだよ!)
「あ!やっぱり脳が衰えてるセンパイでも気になるんですね!?」
「へぇーすごいすごい。あ、お疲れさんした〜」
なんかイラッとしたので、スタスタ帰ろうとする。
すると……
「グヘッ」
「ちょっと待ってくださいよ!センパイ!!」
制服の襟を掴まれる。
「私が答えようとしてるんですから、しっかりと聞いてくださいよ!」
と、頬を膨らませて言う。
「はいはい、聞きます。聞きますよ」
「ふっふっふ〜、それはですね〜」
と、ここでなぜか溜めをつくる。
「センパイと同じ学校に通いたかったからです!どうです?私に惚れそうですか!?」
「わー惚れそう惚れそう(遠い目)」
ちっとも嬉しくないことを言い出した。
「やっぱりセンパイもラブコメでよくある言葉を言われるだけで惚れそうになるって……チョロい人ですね!」
「もう帰っていいかな!?」
いやもう、ホントお家帰りたい。
「あ!センパイも今帰りなんですね!見たところ一人のようなので、ウチが一緒に帰ってあげてもいいですよ?」
「いや、隣に涼風さんが………」
「見たところ一人のようなので、ウチが一緒に帰ってあげてもいいですよ?」
「…………………」
(どうやら山野の中では涼風さんが見えないらしい。ずっと隣でぶつぶつ言ってるんだけど………)
そんなことを話していると…
「ちょ!ちょっと!私を無視しないの!」
と、復活した涼風さんが山野に言う。
「あ、どなたか知りませんが、センパイは私と一緒に帰るので、それではさよならです」
そう言って山野は俺の手を引く。
「ちょ!何勝手に私を置いて帰ろうとしてるの!私が先に汐留くんと一緒に帰ることを約束したの!」
そう言って俺の空いている手を取って引っ張る。
(痛ぇよ!なんか両肩から聞こえてはいけない音が聞こえたって!)
そんなことを思うと、周りから…
「おい、あの陰キャそうなやつ、カワイイ転校生と新入生代表挨拶してたカワイイ後輩と両手に花ってやつしてるぞ!………あ、ここにたまたまカッターが……」
「くそぅ、あの陰キャ、カワイイ子二人と仲良くしやがって。見せつけてくれるじゃねぇか!………あ、ここにたまたま包丁が……」
「おのれ!陰キャ!俺の涼風さんだけで飽き足らず、あのカワイイ後輩にまで手を出しやがって!……あ、ここにたまたまデ○ノートが……」
(いや、なんか俺に向けて凶器(+ノート)向けてるやつらがいるんだが!できれば俺の肩が脱臼する前に凶器使わず助けてほしいんですけど!)
そんなことを考えてたら……
「なら!汐留くんに私と君、どっちと一緒に帰りたいか聞いてみようよ!」
と、涼風さんが提案する。
「いいですよ。センパイは私を選びますので!」
山野までそんなことを言い、二人が同時に俺に詰め寄ってくる。
「汐留くんは私と一緒に帰るよね!?なんだってクラスメイトなんだから!」
「センパイにはウチがいれば大丈夫だよね?ウチはセンパイがいるだけでいいのに、センパイは他の女が必要なの?そんな胸がでかいだけの女なんか必要ないよね?胸なんか脂肪の塊なんだよ?そんなの太ってるのと同じなんだよ?ねぇ、センパイは胸が大きいだけの女が好きなの?」
と、二人から迫られる。涼風さんは怒ったような顔で、山野はハイライトの消えた目をして。
(涼風さんはちょっと可愛いが、山野は怖いな!なんか断ったら命でも取られそうな迫力がある。ってか、山野の巨乳批判半端ないな!)
(山野の胸はえーっと、コメントできない感じだからなぁ)
そんなことを思いながら、これ、どう答えようか?と考える凛であった。
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