第5話 一緒にお昼食べましぇんか!?

 昼休憩終了のチャイムが鳴り、俺と涼風さんは別々に教室へと戻る。


 先に涼風さんが教室に入っており、俺が教室に戻った時は…


「涼風さん昼はどこに行ってたのー?」


「ちょっと校内を探索してました!」


 等々、クラスメイトに囲まれていた。


 俺は涼風さんたちの会話を聞きつつ自分の席に移動する。


 自分の席に座ると…


「あ、あの!」


「どうしたの?火口さん」


 火口さんを見ると顔を真っ赤にしていた。


「え、えっと……こ、今度!い、一緒にお昼食べましぇんか!?」


(あ、噛んだ)


 俺は心の中で呟く。


 自分でも噛んだことに気づいた火口さんは、顔がさっきよりも真っ赤になり…


「あっ!えっと……その……あの……」


 アワアワし始める。


(何この子、かわいいんだけど!)


 あまりにも可愛すぎたため、俺は直視できず、目を逸らしながら…


「ごめんね、火口さん。こんな俺と一緒に食べたりすると悪い噂をされるから、俺は一人で食べるよ。誘ってくれてありがと」


「い、いえ!ま、また誘います!」


 そう言って火口さんは机に伏せる。


「うう〜、何で噛むのよ私。変な人すぎて汐留さんから目線を逸らされました。そして、断られたらすぐ引き下がるし……はぁ」


「ん?」


 火口さんが何やらぶつぶつと言ってるが、俺は聞き取ることができなかった。




 放課後の16時ごろ、俺は部活動に入ってないため、武田先生の挨拶が終わるとすぐに教室を出る。


 校門を出てしばらく歩いていると…


「ちょっと汐留くん!待ってよ!」


 後ろから涼風さんが声をかけてきた。


「え、涼風さんどうしたの?」


「どうしたのってライン見てないの!?一緒に帰ろうってメッセージ送ったんだよ!?」


 そう言われたので慌ててラインを確認する。


 涼風さんから「今日は一緒に帰ろうね!玄関で待ってるから!」とのメッセージが来てた。


「ごめん!普段は学校でラインが来ることとかないから気づかなくて!」


 言ってて悲しくなる。


「もぅ、私、怒ってるんだからね!ちょっとクラスメイトに捕まって玄関に行くのが遅くなった私も悪いけど、まさか玄関で待たずにスタスタと帰ってるとは思わなかったよ!」


 そう言って頬を膨らませる。


(「リスみたいですごくかわいいです」とか言ったらさらに怒りそうなのでやめておこう)


「ご、ごめんなさい」


「あーあ、私、傷ついたなぁ。これは汐留くんに傷を癒してもらわないとなぁ」


 チラチラと俺を見てくる涼風さん。


(ん?もしかして、涼風さんに何かしないといけない空気になってね?)


 あれよあれよとそんな空気になる。


「ごめんなさい。今、お金ないので、勘弁してください」


 とりあえず誠心誠意謝ってみる。


 すると…


「ねぇ、これじゃあ、私が悪者みたいじゃない!」


 さらに怒られる。


 怒りゲージを溜めただけのようだ。


(お金じゃないなら何だろ?)


 そう思って真剣に考えてみるが、わからないため…


「えーっと……何してほしい?」


 最終手段、涼風さんに聞いてみた。


「うーん、そうだね。学校の玄関で汐留くんに待ってもらってなくて、結構傷ついたからなぁ」


「うっ!」


(そうだよな。待ち合わせしてたにも関わらず、待ち合わせ場所にいないって結構心にくるよな)


 俺は申し訳ない気持ちとなる。


 そのため…


「お、俺にできることなら、なんでもするから許してほしい」


 俺は許してもらえるよう涼風さんのお願いを聞くことにする。


 すると…


「なんでも?」


 涼風さんの目がキラーンっ!となる。


「そ、そうだな。俺にできることなら…」


(え、無理難題を突きつけられるの!?)


 俺は涼風さんの次の言葉をビクビクしながら待つ。


「そうだね……なら!今から私とどこか遊びに行こ!」


「…………え?」


(今、どこか遊びに行こって言われた?)


 涼風さんの発言を理解するのに時間を要する。


「もしかして、今、俺は遊びに誘われたのか?」


「うんっ!デートしよって言ったの!」


「いや、デートとは言ってないだろ……」


 どうやら俺は涼風さんから遊びに誘われたらしい。


(これは涼風さんと遊びに行っていいのか?行ったらヤクザが待っているとかあるんじゃ……)


 そんなことを思っていると…


「ねぇ、何してるの、お兄?」


「え、舞!?」


 俺の妹が声をかけてきた。

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