Chapter 3-3
『
「……ボクが見てくるわ」
室内が静まり返ったのち、嘆息したなぎさが部屋を出て行った。
「お前ら、とりあえず離せ」
「あ、うん」
部屋には得も言われぬ緊張感が漂う。『螺旋の環』を訪れることのできる人間は限られている。
それはこの建物そのものに特殊な結界が張られ、一般人の認識を阻害しているからだ。
そんな中、この状況で狙いすましたかのようにここを訪れる人物がいる。
「行くぞ」
「え? あ、ちょっと!」
京太はするっとベッドを抜け出し、部屋を出た。
それがあまりにも自然だったため、空も朔羅も止めることができずに追いすがるしかなかった。
店内に出ると、そこではなぎさと一人の男が相対していた。
「
「おや、そちらから来ていただけるとは」
男はシルクハットに燕尾服という出で立ちの、西洋人である。
「私、『
「『黒翼機関』?」
聞きなれない名前だった。覚えがあるような気もするが、判然としない。
頭を上げ、シルクハットを被り直したシュラは答える。
「はい。扇空寺京太様。あなたにご用があって参りました」
「……あぁ? 悪ぃが、今はあんたの相手をしてる暇は――」
「――私が
京太の目が座る。シュラをまっすぐに睨み付ける。
「てめぇ、そりゃあどういう……そうか、てめぇが鷲澤に出入りしてるっつう外人……!」
「ええ。『眼』でしたか。あなた方の監視網に映っていたのは私です」
「そうかよ……! で、そのあんたがここまで一人でなんの用だってんだ。今頃は鷲澤のじいさんと一緒にウチに出向いてなきゃいけねぇんじゃねぇのか?」
「いえいえ。私はあくまで人材派遣と斡旋が仕事でして。私が興味があるのはここ、かつての大魔法使いイリス・ウィザーズが作り上げた
シュラのその微笑みが、かすかに深まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます