気に入らないクラスメートは、強制的に異世界転移だ!!

あかせ

第1部 夏木秋吉編

お前らがいなければ…

 僕は、4人のクラスメートに復讐したいと思っている。


1人目は、佐々木修ささきしゅう。運動神経バツグンで、体育では大活躍だ。

僕は運動音痴なので、チーム競技はいつも足を引っ張る。


そうすると「おい!ちゃんとやれよ!!バカ!」と罵ってくる。

彼からしたら、僕は手抜きしているように見えるのか?


この罵りのせいで、体育が憂鬱だ。

誰もが、お前のようにできるとは限らないんだぞ。



2人目は、安藤早苗あんどうさなえ。彼女とたまたま隣の席になった事があるんだが

「あんた、臭うんだけど?」とストレートに言ってきたことがある。


体育の後は汗臭いからわかるんだが、何もしてない時に言われても困る。


そういうお前こそ、香水の付け過ぎで臭うんだよ。



3人目は、柳林太郎やなぎりんたろう。僕が先生に当てられて困っている時「先生。彼には難しい問題なので、オレが代わりに答えますよ」と小馬鹿にしてきた。


僕が馬鹿なのは否定しないが、当てられるのが苦手なんだ。


彼のせいで、僕はクラスメートに馬鹿のレッテルを貼られてしまった。



最後4人目は、久保田綾香くぼたあやか。同じ中学出身だ。

以前は問題なかったが、柳の影響で、僕の過去の恥ずかしいシーンを暴露して笑いものにしてくる。


中には、話を盛っている場合があった。真偽よりも、僕をからかいたいだけだろう。



僕は静かで穏やかな高校生活を送りたいだけだ。何で邪魔をする?


復讐したい。だが、今の日本の捜査は優秀だ。すぐ足が付くだろう。


足が付かずに復讐するには、どうすれば良いんだ?



 そんなある日、僕は夢を見た。黒を基調とした禍々しい雰囲気の奴が僕の前にいる。見るからにヤバそうな奴は、悪魔に違いない。


「復讐したい人間がいるか?」

悪魔が僕に問う。


「はい。でも、方法が思い付かなくて…」

つい本音を言ってしまった。


「そうか。お前にこの力を授けよう」

そう言って、悪魔は手のひらに黒く光っている球を出した。


それを急に、僕めがけ投げてきた。


咄嗟に身を防ぐが、その球は僕の体をすり抜け浸透していく。何をしたんだ?


「今お前に与えた力は、特定のものを魔界に転移させるものだ」


魔界に転移? 訳が分からないことを言う。


「先程、我がお前に投げた球体をイメージしてみろ」


言われた通り、イメージしてみる。すると、手のひらに先程の球体が出る。


「その球体に当たったものは、大きさを問わず魔界に転移されるのだ」


それが本当なら、便利だな。


「我はお前に同情している訳ではない。お前が復讐したい人間は、邪悪な心を持っているだろう。我ら悪魔は、そういう人間が大好物なのだ」


僕が復讐したい人間を魔界に転移させる。悪魔がその人間に何かする。

ギブアンドテイクって奴か。


見返りなしに、悪魔が力を与える訳ないよな。


「お前の成果に期待しよう。夏木秋吉なつきあきよしよ」


そう言って、悪魔は消えていった。意識が戻り始める…。



 自室で起きて早々、僕は黒の球体をイメージしてみた。

忘れないうちに試したいからだ。すると、夢と同じように球体が出てくる。


魔界に転移させても問題なさそうなものを、自室から探す。

…壊れたテレビはどうだ? 処理費がかかるから、ずっと置きっぱなしにしている。


僕は壊れたテレビに黒の球体を投げた。その球体は重力の影響を受けず、まっすぐ飛び続ける。


壊れたテレビは黒の球体に当たった瞬間、ブラックホールに吸い込まれるように一瞬で消えた。


悪魔からしたら、急に壊れたテレビが転移してビビると思うが、次は復讐したい人間を転移させるから安心してくれ。最初は誰だって、実験するだろう?


これは良い。これなら、絶対足が付かず復讐できる。元々許す気はないから、さっさと魔界に転移して、悪魔のエサ? にでもなってくれ。


今日は土曜日だから、明後日の月曜日から復讐を始められる。楽しみだ。

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