私が聖女さま? 子供好きなだけの、ただの女子高生の私が異世界では聖女さまっ?!

プロローグ)……って、私にとってはエピローグよね! この世界での!!

 はれ? ここ、どこ?


 私、なんか……、ふわふわする。


 白い世界。

 一面の。

 薄雲のなかにいるみたい。

 ぷかぷかとただよって、ちっちゃい子が手放した風船になった気分。

 浮いてる? わたし……。

 寝てるのか、起きているのか。

 どっちが上か、下かもわかんない。


「こんなのでいいのかのう?」

「いいんですよ、このくらいで」

「異世界くんだりまで探しに来て、この程度とは……」

「この程度がいいんです」


 なんか、失礼な話してる、誰かが。

 誰と、誰が? ……誰の??


 ……ちょっと、それって。

 もしかして、私のこと?


「子供を命がけで助けようとした、いいじゃないですか、それこそ」

「しかしなあ……」

「多少、……すごく? 性格に難ありだとしても、そこはうそ偽りないでしょう」

「まあ、これはあんたの望みじゃからして、あんたが決めたなら……」


 えーっと、あれ、何だっけ?

 私、何してたってけ?


「思い出さん方がいいぞ」

「そうね、そこはね」


 えー、でも……。

 さとしは、どうなったの? それは……。


「現世への未練があるとすれば?」


 うん、それだけかな。

 別に。

 お父さん、お母さんには悪いけど。

 別に、あんな世界。私、別に……。


「そこもなあ……」

「親御さんには申し訳ないですが、本人の希望、ということで」

「採用、しておこうか」

「性格には難ありでも」


 私、そんなに性格、ゆがんでる?

 何度も、何度も……。しっっつれいな!

 陰キャで、ひっそり生きてきたつもりだけど?

 ……それがまあ、世界を捨てる理由にもなるかもだけど。


「ゲーム、ですか? この設定がまた、ピッタリですね」


 ゲーム?

 ああ、そういえば、逃避でやり込みまくっていたあの世界的規模のメタバース上ゲーム。

 今度のイベントには、トップランカーの私はご招待とか来てたなあ。

 といっても、今回のイベント報酬にはひかれなくて、乗り気じゃなかったっけ。

 ……男の子でも女の子でも、天使みたいにキュートな子供従者がもらえるとかだったら、めっちゃやる気出したのに。


「そうそう、おまえさんの気にしとるあの子は、おまえさんのおかげでな……」


 そっか、それはよかった。

 じゃあ、もう……。


「最終確認じゃ。これで、いいのか?」

「子供好きなんて、なおさらいいじゃないですか」

「いや、こりゃあ……」


 あによっ、文句あるわけ?!

 子供が好きって、いいことじゃないのっ?


「それに、このアバターとやら、あんたのスタイルとは……」

「なんですか?」

「いやいや、何でもない、何でもない」


 プププ……。


 なんか、にらまれてる……。


 いい気味。


「……望みに、かなったかな?」

「さあ」

「おいおい。そこは『うん』とうなずいてもらわなけりゃ、神としての立つ瀬がない」

「それはこれからの話です。この子がこれからどうするか、どうなるか、それは……」

「神のみぞ知る、か」

「さて、神さまでもコントロールできないかも?」


「それもしかし」


「「悪くはない」」


 失礼な声が重なってる……。

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