OAAE3AA0

エリー.ファー

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「あのゲームのバグって、どうなったんでしょうかね」

「いやぁ、分からないですね」

「修正したんですかね」

「まぁ、どうですかね。分からないですね。大丈夫なんじゃないですか」




「黒く塗りつぶしてくれませんか」

「嫌です」

「お願いします。手伝って下さいよ」

「黒が一番怖い色なんですから、気安く口に出さない方がいいですよ」

「黒って呪われてるんですか」

「そうですよ」

「えっ」

「黒ですから」

「白はどうなんですか」

「白は大丈夫です」

「黒はどうなんでしたっけ」

「黒は呪われてます」

「どれくらい呪われているんですか」

「めっちゃ凄いです」




「キャベツ爆弾を作ってください」

「無理です」

「爆弾は難しいですか」

「キャベツ爆弾が難しいんです」

「キャベツが好きではないとか」

「いや、キャベツ爆弾です」

「キャベツ爆弾を作ったことがないんですか」

「ありませんよ」

「いや、たぶん作ったことあると思いますよ」

「いやいや、ないですね」

「あるでしょ」

「ないよ、バカ」




「えぇと、注文なんですけど。オムライスを一つ」

「ここ、蕎麦屋だよ」

「分かってますよ」

「あぁ、そう。じゃあ、何にする」

「オムライスで」

「蕎麦屋だよ」

「知ってます、知ってます。冗談です」

「何にするの」

「オムライスで」




「あのバーって火事でなくなったそうですね」

「いや、爆発したんですよ。ガス漏れかなんかで」

「あっ、そうなんですか。昔、結構行ってたんですよ」

「へぇ、そうなんですね」

「焼うどんとか、美味しかったんですよ」

「焼うどんですか」

「そう、焼うどん」

「マスターの性格が良いとか」

「いや、マスターはクソ。焼うどんは最高でした」




「東京が嫌いなんです」

「私もです」

「小説が嫌いなんです」

「私もです」

「クーラーが嫌いなんです」

「私もです」

「日本が嫌いなんです」

「私もです」

「本当にあなたも嫌いなんですか」

「はい」

「嘘ではない」

「はい」

「信じたいです」

「信じるか信じないかはあなたが決めることです」




「チョコを下さい」

「あげません」

「下さい。たくさん下さい」

「あげられません」

「じゃあ、梅干しを下さい」

「梅干しでいいんですか」

「梅干しチョコで」

「梅干しチョコってなんですか」

「キャベツ爆弾でもいいですよ」

「でもいいって何ですか」

「チョコキャベツ爆弾でも、キャベツチョコ爆弾でも、キャベツ爆弾チョコでもいいです」

「ありませんよ」

「隠さないで下さい」

「隠してません。本当にありません」

「キャベツはありますか」

「キャベツならあります」

「じゃあ、キャベツを下さい」

「サービスで爆弾とチョコが付きますが、いかがですか」




「鏡のある部屋は、何号室ですか」

「九九〇号室です。九階の一番奥の部屋です」

「分かりました。幾らですか」

「使用料は一日、七万八千円です」

「あの噂って本当ですか」

「鏡のある部屋で質問をすると返事が聞こえてくるという噂のことでしょうか」

「はい、そうです」

「お答えできません。九九○号室を利用して、ご自身で確認するのがよろしいかと思います」

「そうですか」

「ちなみに、利用されたお客様は全員、死亡しています。一週間前に利用した方がゲームクリエイターで、バグについて悩んでいました。その次の日に利用された方は画家で、黒色に異常な執着を持っておりました」

「すみません。やっぱり、キャンセルでもいいですか」

「賢明な判断だと思います」





「またのお越しをお待ちしております」

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