第18話 新ダンジョン発見
翌朝、ザザヤに向けて出発した。
しばらくすると大きな川にかかる橋へ着いた。
この川の上流でエミリーと出会った。
さらにその上流はケルビンになって転生した谷がある。
数週間前の出来事だが懐かしく感じる。
橋を越えると突然アラームが鳴った。
驚いて変な声を出してしまったじゃないか。
「どうしたんですか?!」
「ごめん。急にアラームが鳴り響いて驚いてしまった。ダンジョンサーチが作動したようだ。ところでエミリー。この近くにダンジョンはあるのか?」
「いいえ、聞いたことないわ。」
「でも、アラームが鳴ったということはあるんだろうな。もしかすると、先日のスタンピードはそのダンジョンが崩壊したのが原因なのかもしれないな。あと半日も歩けばザザヤだが、ダンジョンを確認してから帰るか?」
「そうですね。気になりますね。」
『ダンジョンサーチ発動』
「この川の下流に数km下ったところにダンジョンがあるようだ。では、確認してこよう。」
川を下っていくと森に突入した。
ウルフ等の低ランクの魔物は我々の気配を感じ取り逃げている。
おかげで魔物に遭遇していない。
たまに逃げ遅れたスライムが這いずっている程度だ。
低ランクの魔物を狩っても大した利益にもならなく、時間の無駄なので丁度良い。
予定通り数km歩くとダンジョンの入口(洞穴)が見えてきた。
「あれのようだね。ダンジョン鑑定。」
*ダンジョン鑑定
名称: サムダンジョン(未攻略)
ランク: 未定
最下層: 未確認
危険度: 前回崩壊1週間前。次回崩壊まで約1カ月。
先日崩壊したばかりだが、誰も踏み入れたこともない新規のダンジョンのため間引きされておらず、次の崩壊まで猶予が1カ月しかないようだ。
それにしても未攻略という言葉が冒険心を擽る。
ギルドへ報告するのが正解なのだろうが、初探索を他の者に譲るのが惜しい。
2人の意見も聞いてみよう。
「どうする? 今から探索するか、町へ戻ってギルドへ報告するか。食糧は十分ある。まだおっちゃんの料理に手を付けてないし、市場で仕入れた食材もほぼ手を付けていない。」
「私はもっと強くなりたい。戦い足りない。もっと魔法をぶっ放したい。」
「肉は大量にある。問題無い。好奇心を押さえられない。」
2人とも探索に賛成のようだ。
「よし、行くか。」
「「おう!」」
ダンジョンへ侵入開始。
*ダンジョン鑑定
場所: サムダンジョン 1階層
フィールド: 洞窟
宝箱: 0個
魔物: ダンジョンスライム G+
ダンジョンコウモリ G+
*鑑定
名称: ダンジョンコウモリ
ランク: G+
特技: 超音波、吸血
ドロップ: 魔石、コウモリの羽、癒し草
「スライムとコウモリだけか。ダンジョンマップ起動。」
直線的な通路が続いていて、魔物が点在している。
吸血しようと向かってきたコウモリをハエのように叩き落とした。
一体ずつ倒すのは面倒くさい。
「よし、特大ファイアボール!」
魔力を強めに込めたファイアボールを放った。
炎の玉は通路と同サイズにまで膨れ上がり、魔物を巻き込みながら前進していった。
「殲滅完了っと。じゃあ、2階層へ向かおうか。」
*ダンジョン鑑定
場所: サムダンジョン 2階層
フィールド: 洞窟
宝箱: 1個
魔物: ダンジョンキャタピラー F-
ダンジョンホーンラビット F
ダンジョンコボルト F+
*鑑定
名称: ダンジョンキャタピラー
ランク: F-
特技: 糸を巻きつける(拘束)
ドロップ: 魔石、糸、接着剤
*鑑定
名称: ダンジョンコボルト
ランク: F+
特技: 噛みつく、殴る、棒術
ドロップ: 魔石、犬歯、木の棒
「
「了解。芋虫は気持ち悪いけど頑張る。」
2階層は迷路のように入り組んだ構造をしていた。
マップが無かったら迷っていただろう。
横道が現れる度にエミリーと手分けして先程のファイアボールを叩き込み通路にいた魔物を掃除する。
ドロップアイテムは素早いエルザが走って回収していた。
「エルザ、そこを曲がって突き当りの袋小路に宝箱があるよ。」
「わかった。開けても良いよね?」
「もちろん。すぐに戻ってきてね。」
数分のうちにエルザが戻ってきた。
「初級HP回復ポーションだった。がっかりだ。」
「まあ2階層の宝箱だし、そんなところだろう。」
2階層全ての魔物を殲滅したので3階層へ向かう。
*ダンジョン鑑定
場所: サムダンジョン 3階層
フィールド: 洞窟
宝箱: 2個
魔物: ダンジョンウルフ F+
ダンジョンワイルドボア F+
ダンジョンシープ F+
*鑑定
名称: ダンジョンシープ
ランク: F+
特技: 頭突き、催眠
ドロップ: 魔石、羊毛、羊肉(ラム、マトン)
ここは羊重視だな。
羊毛で毛糸を作って器用なエミリーに手編みのセーターを作ってもらいたい。
久しぶりにジンギスカンも食べたい。
それにしてもこの世界の羊は目つきが悪いな。しかも、羊に牙って。
羊=癒し系、モフモフのイメージが崩れたよ。
3階層もすぐに殲滅完了した。
宝箱は2つともお約束の不味いポーションでした。
*ダンジョン鑑定
場所: サムダンジョン 4階層
フィールド: 洞窟
宝箱: 3個
魔物: ダンジョンゴブリン F+
ダンジョンキラーチキン E
ダンジョンオーク E+
4階層も変わらず迷路状の洞窟だった。
さすがにEランク以上は特大ファイアボールじゃ倒せないのでエミリーに後方支援をお願いし、エルザと俺で近接で切り倒していった。
キラーチキンの卵は確実に回収する。
さらに鳥肉で唐揚げも食べたいし。
宝箱は3つともMP回復ポーション(不味い)だった。
*ダンジョン鑑定
場所: サムダンジョン 5階層
フィールド: 洞窟
宝箱: 3個
魔物: ダンジョンワイルドブル E-
ダンジョンホブゴブリン E
ダンジョンハイコボルト E
ダンジョンハイオーク D-(中ボス)
*鑑定
名称: ダンジョンホブゴブリン
ランク: E
特技: 剣術、罠設置、身体強化
ドロップ: 魔石、剣、初級MP回復ポーション
*鑑定
名称: ダンジョンハイコボルト
ランク: E
特技: 噛みつく、殴る、棒術、嗅覚強化
ドロップ: 魔石、犬歯、棍棒
*鑑定
名称: ダンジョンハイオーク(中ボス)
ランク: D-
特技: 斧術、威圧、咆哮、身体強化
ドロップ: 魔石、バトルアックス(斧)、オーク革、オーク肉カルビ/モモ、
宝箱
「ケルビンさん! ワイルドブルがいますよ! ちょっと行ってきます。」
目の色を変えたエルザが疾風のごとく牛の群れに突っ込んでいった。
俺とエミリーは残ったホブゴブリン、ハイコボルトを狙った。
ホブゴブリンは鉄の剣をハイコボルトは鉄の棍棒を装備していた。
Eランクの魔物たちはレベルアップした俺の動きについてくることができず、次々と切られていった。
それにしてもこのゴブリンソルジャーからドロップした刀は切れ味が良い。
スパっとハイコボルトの首が切り離され宙を舞っている。
新たに得た鍛冶スキルを使ってオリジナルの刀を作る時に参考にさせてもらうとしよう。
宝箱には、小型ナイフ、鉄鉱石10kg、松明だった。
宝箱アイテムらしくなってきた。
そして、5階層の殲滅が完了し、今大きな扉の前で3人で休憩という名のディナーを楽しんでいる。
ボス部屋前は安全地帯なので襲われることは無い。
おっちゃんの作ったオーク料理はうまかった。
豚汁に似た具沢山スープが最高だった。
出来れば味噌味が良かったが、そもそもこの世界には味噌が存在しない。
いつか味噌、醤油を作りたい。
基本塩味、素材の味を活かしまくるこの世界の料理は辛い。
それでもおっちゃんの料理はうまいんだよね。
「そろそろ行こうか。シオンのダンジョンボスよりランクは低い。あの時よりも俺たちは強くなった。でも、油断せずに全力で行くよ。」
「「おう!」」
扉を開くとそこにはハイオークが立っていた。
斧を振りかぶり、すでに戦闘態勢だ。
「ファイアスピア、ライトニング」
「ブリザード、エアスラッシュ」
エミリーと俺が攻撃魔法を放つ。
いきなりの魔法で盛大にダメージを受けたハイオークは膝をついた。
その隙に一気にエルザが走る。
大剣を横薙ぎに振り、ブウォーンという風きり音とともにハイオークの首が転がった。
あっけなく中ボス戦終了。
本当に強くなったらしい。
ドロップした宝箱はここでも3つ。
人数分の宝箱が並んでいた。
しかも、全て銀箱。
金貨30枚、力の指輪、潜水の腕輪だった。
潜水の腕輪?
*鑑定
名称: 潜水の腕輪
特徴: 水中でも呼吸ができるようになる腕輪。
しかし、1分毎にHP/MPがそれぞれ10減少する。
なるほど。水中で呼吸ができるのはすごいね。
今のところ使い道は無いが。
*鑑定
名称: 力の指輪
特徴: STR+100
力の腕輪はエルザに装備してもらおう。
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