第16話 初めての野営、そしてカツ丼
約束通りコアの間へ行き、コアに触れた。
『シオンダンジョンコアがダンジョンウォークに登録されました。』
ダンジョンウォーク:ダンジョン内のどこからでも転移魔法陣に転移することが
できる。クリアー済み階層限定。
登録されたダンジョンコア同士での転移が可能。
ダンジョン間の移動もできるようになったようだ。
ということは他のダンジョンからミーちゃんに会いに来れるということだね。
「そういうことですにゃ。」
背後から突然現れたメイド服猫さんのミーちゃんに驚いてしまった。
「こんなに可愛いミーちゃんに驚くなんて失礼だにゃ。また会えたことを喜ぶにゃ。ところで何か用事はあるかにゃ?」
「そう言えばミーちゃんは何を売ってくれるんだい?」
「オイオイ。今更それをきくのかにゃ。金さえ払えば基本なんでも売ってやるにゃ。異世界のものでも条件次第で可能にゃ。」
何だって! でも、条件が怖いな。
「例えば米や醤油、味噌とかも可能ってこと?」
「異世界の物はCランク以上の魔石が必要にゃ。米10kgでCランク魔石1個と10金貨支払うにゃ。醤油1ℓ、味噌10kgも同じ値段で良いにゃ。」
思ったよりも良心的な条件だった。
「本当に買えるの! ついでに砂糖とチョコもよろしくね。」
「図々しい奴だにゃ。砂糖10㎏は一緒の値段で取り寄せてやるにゃ。チョコは板チョコ1枚で1金貨で良いにゃ。」
「ありがとう、ミーちゃん。今日もかわいいね。」
「褒めても無駄にゃ。仕方ないからチョコをもう一枚おまけしてやるにゃ。」
受け取ったチョコをひとかけらずつエミリーとエルザの口に突っ込んだ。
黒い固形物をいきなり口に突っ込まれ焦った2人だったが、甘いチョコに身体がとろけた。
「「あまい~。おいちぃ。」」
ミーちゃんの口にも突っ込んでみた。
「にゃ! 甘いにゃ~。またサービスしてやるから来ると良いにゃ。バイバイにゃ。」
ミーちゃんがコアの中へ消えていった。
『もう良いかな? ダンジョン攻略おめでとう。ボスからドロップした装備は私からのプレゼントだ。今後の活躍に期待しているぞ。そして、他のダンジョンも攻略し、ダンジョン間連絡網を再構築してほしいのだ。邪神のおかげで現在ダンジョン間の連絡が取れなくなっている。おそらく、勇者を封印したダンジョンの情報を隠蔽するためであろう。頼んだぞ、ケルビン。』
「了解しました。」
とりあえず、シオンダンジョンは勇者が封印されたダンジョンではなかった。
初級ダンジョンではすぐに攻略されてしまうから当然だよね。
「さっきの黒くて甘いやつが欲しい!」
「また後でね。」
「えー! 残念・・・。」
俺は早く帰って、手に入れた材料を使ったカツ丼を作って食べたいのだ。
もうカツ丼のことしか頭にない。
涙目の二人を引っ張って地上へ戻った。
数時間後、意識を取り戻したボス部屋前の冒険者たちは夢を見ていたと思い込んでいた。
シオンの精神操作が働いているのだ。
ダンジョンは日常を取り戻し、通常ボスが召喚された。
ダンジョンウォークで地上へ戻ったケルビンたちはちゃんと機械へカードを翳し、退出手続きをしてから拠点のザザヤの町への帰路についた。
しかし、カツ丼の口になってしまったケルビンには2日は長すぎる。
馬車に乗り1日が過ぎ、まだ折り返し地点なのにヤキモキしているケルビンだった。
「ねえ、ケルビン。落ち着きが無いわよ? トイレを我慢しているの?」
「違うから! 早く帰ってミーちゃんから買った材料で料理を作って食べたいんだ。ミーちゃんから買ったものはこの世界には無いものだから他の人に見られるわけにはいかないだろ。チョコを食べた君たちならわかるだろ? 絶対に厄介なことになる。」
「確かにそうね。じゃあ、野営して作れば良いんじゃない?」
「はぁ? あっ! そうだよね。エミリー、ありがとう! 全く気付かなかったよ。町を出るときにしっかり野営の準備もしてきたんだったね。ご褒美にチョコをどうぞ。」
「うう~ん。おいちぃわ。」
涙目で欲しそうにしているエルザがかわいそうでエルザの口にも放り込んだ。
「ケルビンさん! 愛人でも良いので結婚してください!」
チョコの力は恐ろしい。
そもそも結婚してたら愛人じゃ無いんじゃないか? 側室? 妾かな?
チョコの虜になってしまったチョロい2人とともに翌日は馬車に乗らず、野営できる場所を探しながら徒歩でザザヤを目指した。
しばらく歩くと日本なら野球ができそうな河原の草原を見つけ、そこで今夜は野営することにした。
サーチで周囲を探っても魔物の気配はない。
念のためテントの周囲には魔物避けの結界を張った。
ハンゴウなど無いので鍋でご飯を炊いた。
それから石のように固いパンを砕きパン粉を作り、オークのロース肉に塩コショウをしてから小麦粉を付け、キラーチキンの溶き卵に潜らせ、先程のパン粉を付けた。
「エミリーはタマネギをスライスしてくれ、エルザはご飯の鍋の番だ。ブクブクしたら弱火に調整してくれ。」
2人はチョコと同じぐらいうまいものが出来ると予感し、期待に胸を膨らませ担当した仕事をテキパキこなしていた。
油が温まったのでカツを上げる。
油に入れたときのジュワっという音に反応する2人だった。
キツネ色に上がったカツをみて涎を垂らす。
「まだだからね。このままでも美味しいけど、これから煮込みます。エミリー、タマネギを頂戴。エルザはそろそろ火を消して良いよ。絶対に蓋を開けるなよ。」
「それはフリですか? 蓋を開けろということですか?」
「違うから! 蒸らさないとダメだからだよ。」
フライパンに水を入れ、醤油と砂糖、タマネギを投入し煮込む。
調理酒とみりん、出汁も欲しいところだが今回は我慢。
タマネギがしんなりしたところで2cm幅に切ったカツを投入。
そして、溶き卵でとじた。
炊きあがったご飯の上に乗せ完成。
う~ん。この香り。まさしくカツ丼の香りだ。
スキル料理の効果もあって旨さUPのはず。
犯罪者も口を割ってしまう魅惑のカツ丼の完成だ。
「2人とも涎がヤバいぞ。女の子なんだから涎を拭きなさい。それじゃ、頂こうか。」
「「いただきま~す!」」
「うんうん。求めていた懐かしいこの味。オークの肉も合っている。2人はどうだい? これはカツ丼っていう料理なんだ。口にあったかな? って、なんで泣いてるの。」
「美味しい。美味しすぎる。今まで食べてきた食事がゴミのようだ。」
「エミリー、言い過ぎだから。」
「ケルビンさん、ごめんなさい。私は皆さんよりご飯を多くよそってしまいました。」
「なんだその告白は。そんなこと白状しなくても良いから。これが噂のカツ丼の魅惑ってやつか。」
カツ丼を平らげ余韻に浸っていた。
そういえばまだエクストラボス戦の戦利品を確認していなかった。
☆ゴブリンジェネラルドロップ品
オリハルコンの大剣:STR+100→オリハルコンの大剣★:STR+120
オリハルコンの長剣:STR+80→オリハルコンの長剣★:STR+100
オリハルコンの短剣:STR+80→オリハルコンの短剣★:STR+100
オリハルコンの槍:STR+80→オリハルコンの槍★:STR+100
オリハルコンの斧:STR+100→オリハルコンの斧★:STR+120
オリハルコンの弓:STR+60→オリハルコンの弓★:STR+80
オリハルコンのハンマー:STR+100→オリハルコンのハンマー★:STR+120
オリハルコンの双剣:STR+70→オリハルコンの双剣★:STR+90
オリハルコンの刀:STR+90→オリハルコンの刀★:STR+110
オリハルコンのナックル:STR+80→オリハルコンのナックル★:STR+100
オリハルコンの杖:INT+100→オリハルコンの杖★:INT+120
オリハルコンの盾:DEF+100→オリハルコンの盾★:DEF+120
オリハルコンの鎧:DEF+150→オリハルコンの鎧★:DEF+180
オリハルコンの小手:DEF+80→オリハルコンの小手★:DEF+100
オリハルコンの靴:DEF+80→オリハルコンの靴★:DEF+100
オリハルコンの兜:DEF+80→オリハルコンの兜★:DEF+100
金箱1:魔法スクロール「空間魔法」
金箱2:魔法スクロール「時魔法」
金箱3:オリハルコン鉱石 1t
☆ゴブリンシャーマンドロップ品
賢者の杖:INT+150、DEX+50→賢者の杖★:INT+180、DEX+80
魔導士のローブ:DEF+40、MP+40
→魔導士のローブ★:DEF+60、MP+60、INT+20
魔導士の帽子:DEF+20、MP+20
→魔導士の帽子★:DEF+40、MP+40、INT+10
魔導士の手袋:DEF+20、DEX+20
→魔導士の手袋★:DEF+40、DEX+40、INT+10
魔導士の靴:DEF+20、DEX+10
→魔導士の靴★:DEF+40、DEX+20、INT+10、AGI+10
銀箱1:スキルスクロール「鍛冶」
銀箱2:スキルスクロール「宝探し」
銀箱3:スキルスクロール「盗む」
☆ゴブリンソルジャードロップ品
オリハルコンの刀:STR+90→オリハルコンの刀★:STR+110
オリハルコンの盾:DEF+100→オリハルコンの盾★:DEF+120
オリハルコンの胸当て:DEF+100→オリハルコンの胸当て★:DEF+120
ワイバーン革の手袋:DEF+60→ワイバーン革の手袋★:DEF+80、DEX+30
ワイバーン革の靴:DEF+60→ワイバーン革の靴★:DEF+80、AGI+30
ワイバーン革の帽子:DEF+60→ワイバーン革の帽子★:DEF+80、DEX+20
銅箱1:スキルスクロール「付与」
銅箱2:ワイバーンの革 1頭分
銅箱3:金貨100枚
『条件を満たしたため職業「鍛冶師」が覚醒しました。』
『条件を満たしたため職業「盗賊」が覚醒しました。』
『条件を満たしたため職業「付与師」が覚醒しました。』
地味に金貨は有難い。
装備はすべて強化しておいた。
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