第14話 サーシャとデート
「ヒナタお姉ちゃんとお出かけなんて嬉しいです!」
「私もサーシャちゃんとお出かけできて嬉しいよ。それとフィリップ様にお願いしてサーシャちゃんとはこれからも自由に会いに来てもいいって許可がもらえたからすぐに会えるようになるよ」
「本当ですか!? 嬉しいです!」
私の左腕に抱きついて喜んでいる。
あー、結婚したい。
このまま私の宿にお持ち帰りしてもいいかな。
「私はまだこの街についてあまり詳しくないから、サーシャちゃんのおすすめの場所とかあるかな?」
「ありますよ! この先に美味しいお菓子屋さんがあります!」
「そうなんだ、なら行ってみよう」
辿り着いたお菓子屋さんは、日本で言うとカフェだな。
お客さんが丸いテーブルで談笑しながらお茶を飲み、クッキーを食べている。
コーヒーはこの世界にないようだ。
「素敵な場所だね」
「はい! よく護衛の騎士を連れてここにクッキーを食べに来るんです」
サーシャはよく外出しているようだ。
カフェの中に案内されて席に座る。
「いらっしゃいませ、サーシャお嬢様」
どうやらサーシャは本当に常連みたいだ。
店員さんからも覚えられている。
そして手渡されたメニューを見て私はサーシャと同じクッキーと紅茶を頼む。
数分後、クッキーと紅茶が運ばれてくる。
「クッキーも紅茶も美味しいね」
「そうなんですよ! 私の気に入りです!」
しばらくカフェでサーシャと談笑して分かったことがある。
サーシャには2歳上のお姉さんがいるみたいだ。
学園には15歳から3年間通うらしく、お姉さんは王都の学園に通っているらしい。
それについていく感じでお母さんも王都に住んでいて、盗賊に襲われていたのはお母さんのところで遊んできた帰りだったそうだ。
「そうなんだ、お姉さんがいたんだね」
「はい、とっても優しくて成績も優秀だそうです。私もお姉さまのようになりたいです!」
うんうん、サーシャならきっとなれるよ。
そうなると2年後にはサーシャも王都に行くことになるのか。
私も王都には行ってみたいし、お姉さんにも会ってみたい。
「お姉さんにも会ってみたいね」
「でしたら、また私が王都に行くときにぜひご一緒しましょう!」
「そうだね。その時はついていこうかな」
いつになるか分からないけど……なんて思ったけど、案外すぐに王都に行くことになるとはこの時の私はまだ知らなかった。
結構遅くまでカフェで談笑していたのでそろそろ屋敷に戻るため、帰路についた。
幸せな時間だった。またサーシャ2人でデートしたい。
私は屋敷にサーシャを送り届け、執事から魔法書を数冊貸してもらった。
「それじゃ、またねサーシャちゃん」
「うん、またねヒナタお姉ちゃん」
さて、宿に戻って魔法書を読もう。
ヒナタは、ワクワクしながら宿へと戻った。
「さて、眠くなるまで魔法書を読み漁ろう。しばらくは生活に困らないほどお金を稼いじゃったから知識を得られることに集中したい」
そこから私は魔法書を読み進めた。
そこで分かったのは、自分の想定よりも遥かに私が魔法使いとして優れていることだ。
まず、そもそも魔法には火・水・風・土・光・闇の6種類あるらしい。
そのうちの3種類の魔法を使える人はごく少数で、国のトップクラスの魔法使いである王宮魔術師長が4種類みたいだ。そして火・水・風・土・光の5種類持っていた人は過去の大賢者として歴史に残っているらしい。
私が4種類持ってるってことはこの世界のトップクラスなんですけど……。
でも強奪スキルのおかげなんだよな。
あまり人前でたくさんの魔法を使うのはやめておこう。
目立ちすぎる。
それに魔力量についてもだがステータスで表示されるMPの値は平均でも80程度になるのだとか。
王宮魔術師でも200程度らしい。
これもやばい。私300近いよ。
さらに魔法には詠唱が必要らしい。やはりそうかという感じだ。
でも読み進めていくと、王宮魔術師クラスになると無詠唱で魔法を使う人もいるし、冒険者にも稀にいるみたいだ。これは頑張れば誤魔化せる程度かな。
とりあえず目立たないようにソロで冒険者をやった方が良さそうだ。
本当に信頼できる仲間ができた時だけ、使える魔法の種類のことを教えてもいいかもしれない。
ステータスについては墓場まで持っていくけど。
魔法書を読み進めていくと、自分がいかに規格外なのか分かってきて怖くなってしまったので魔法書を閉じ、眠りについた。
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