第15話 魔法の勉強をしよう


 みなさんおはようございます。ヒナタです。


 昨日は魔法について自分がかなり規格外なことを知り、少し現実逃避してしまった。

 しかし、一晩寝たら昨日ほどの悲壮感はなくなった。


 今日は昨日に続いて、世の中にある魔法について学んでいきたいと思います。


 魔法書を持ち街を出て、森の奥で練習しようと思います。

 ちなみに魔法にはレベルによって扱える魔法が異なるようです。

 

 LV1〜3:初級魔法

 LV4〜6:中級魔法

 LV7〜9:上級魔法

 LV10:神級魔法


 このようにレベルによって行使できる魔法も変わるみたいです。上級魔法まで使える魔法使いはごく僅かで、神級魔法はもはや迷信とまで言われているそうです。

 ちなみにレベルによって魔力量が増えるわけでもないみたいなので、レベルが高くても魔力量が少なくて上位の魔法を使えない人も多いらしいです。

 魔力量を増やす方法は諸説あるが、魔力枯渇をさせることや魔法だけで魔物を討伐するなどがあるみたい。論文がありましたが、あまり信憑性はないようでした。

 

 ちなみに私の今のステータスを確認してみる。


名前:ヒナタ

種族:人族

年齢:15歳

職業:魔法使い

HP :136/136

MP :282/282

スキル:水魔法LV5

    風魔法LV6

    火魔法LV5

    土魔法LV5

    無限収納

    威圧LV4

    毒霧LV1

    毒耐性LV3

    麻痺耐性LV2

    気配察知LV5

    気配遮断LV2

    隠密LV4

ユニークスキル:強奪


 魔法レベルは風魔法がレベル6、火・水・土魔法がレベル5だから、中級魔法までは使えるんだろうな。魔力量は多いみたいだから、使えるはず。


 魔法書を開き中級魔法を調べる。

 火魔法だと火槍ファイヤーランス炎槍フレアランス火壁ファイヤーウォールというものがあるみたいだ。炎槍は火槍の上位魔法だな。炎槍を試してみたいけど、流石に森で火魔法は使えないな。

 水魔法だと、水槍ウォーターランス水刃ウォーターカッター水壁ウォーターシールドというものがある。

 土魔法だと、土槍アースランス土壁アースウォールがあり、風魔法なら、風刃ウインドカッター風壁ウインドシールドがあった。

 うーん、中級は攻撃防御魔法になるみたいだな。私の空気弾エアショットとか岩石弾ロックショットが便利すぎてこの2つを多用しそうだな。たくさん魔法が使えると知られたくもないしね。


 魔法書をさらに読んでいくと、どうやら固有オリジナル魔法というものがあるみたいだ。魔法書に書いているのはごく一般的な魔法で、詠唱さえすれば誰でも行使できるものらしい。

 固有魔法になると、術者の魔法技術によって発現させることが可能になり、特に詠唱をすることなく発動させることができるらしい。

 過去には、火魔法で爆発するような火球ファイヤーボールだったり、風魔法を使って空を飛行できたり、水魔法で氷を作れたり、土魔法で落とし穴を作ったりなどあるみたいだ。

 ということは、私の空気弾エアショット岩石弾ロックショットは固有魔法になるみたいだ。固有魔法って便利だな。この中で一番気になるのは風魔法で空を飛ぶことかな。ぜひやってみたい!


 早速、試してみよう。どういうイメージでやればいいんだろうか。

 とりあえず風を足元から空へ向けて吹き上げるようなイメージでやってみよう。


「おおお……! いでっ!」


 2mは飛べたけどバランスがかなり悪いから持続させるのは難しいな。もっとこう、自由に羽ばたける様な飛行をしたい。思ったより飛行は難しいのかな……。


 その後も、何度も挑戦しては失敗を繰り返した。

 どんなに練習しても途中でバランスを崩して落下してしまう。

 そもそも風魔法を足元から吹き上げさせるのがダメなような気がしてきた。練習すれば慣れると思ったけど私の運動神経では無理だ。前世も運動は苦手で中学では美術部、高校では帰宅部だ。別のイメージを試した方がいいのかもしれない。

 今度は風を空に吹き上げるのではなく、地面に向けて下方向へ試してみる。ロケットみたいなものだよ。

 すると……、飛べた。やった成功だ、さっきより遥かに安定している……が、機動性が足りない。上に向かって飛ぶのはいいが、そこから左右への転回ができない。新たに行きたい方向とは逆に風魔法を起こさせるがバランスを崩してしまった。やっぱり難しいな。飛べなくはないけど、戦闘では使い物にならない。


 そこから、いろいろ試して日も沈んできたところで成功した。


「できたーー!」


 試行錯誤して、辿り着いた方法は、自分を包むように風魔法で作った結界のような魔法障壁を展開し、全方向に常に一定の風力を魔法障壁から発動させ、行きたい方向と逆方向に強めの風力を注いであげれば機動性も良くなり、バランスも崩れなくなった。まさしく私の魔法技術によって可能になった方法だよね。魔力消費が凄いから長時間は無理そうだけど。しかし飛べるだけでなく風魔法での防御結界として利用できているみたいだ。素晴らしい魔法ができた。


 私はウキウキ気分で宿へと戻った。


 宿の机で魔法書をさらに読み進めた。するとさらに興味を惹かれる記述があった。なんと混合ミックス魔法というものがあるらしい。2種類の魔法を同時に発動させて混合させることで起きる固有オリジナル魔法だ。例えば、水と火を混合させることですぐにお湯を作ることができるとか。やった、お風呂ができる!森で作ったマイホームのお風呂は水魔法で水を張ってから火球ファイヤーボールを放り込んでいたからね。

 明日は混合魔法をやってみよう。私はワクワクしながら眠るのであった。






 翌朝、目覚めるとすぐに支度をして森へと向かった。


 まずお湯を試してみよう。

 えーと、どういうイメージだろう。混合ミックス魔法ではないけど2種類の魔法を同時に展開させることはすでに可能だから、魔法を発動させるときに、火球ファイヤーボールを覆うように水球ウォーターボールを発動させれば案外いけるかも。早速やってみよう。


「あちちちっ!」


 うん、できたにはできたけど温度調節が難しいな。もう少し、火球ファイヤーボールを小さくしてみよう。


「あ〜、温かい……」


 成功だ。

 これで浴槽さえあればいつでもお風呂に入れる。便利な魔法を覚えたぞ。


 さて次は、混合ミックス魔法を使って敵をオーバーキルできそうな攻撃魔法を昨日思いついたのだ。

 その名も『岩石嵐ロックストーム』。

 ネーミングセンスがないのは気にしないで。


 これは水・風・土の3種類を使った混合ミックス魔法で、通常の嵐だと水と風で再現できそうだが、それに加えて土魔法で作った小さめの岩石も嵐の中に同時に作っちゃえば、オーバーキルできるんじゃねって考えたわけだ。ということで早速試してみよう。出力は多少抑えてね。


「ロックストーム!」


 目の前に高さ10mくらいの竜巻ができた。水が吹き荒れものすごい勢いで薙ぎ倒された木々がボロボロになって上空へと舞い上がった。


「これは、危険だ……」


 岩石嵐ロックストームが発動された場所は更地になっていた。魔法の威力は抑えたつもりだけどかなりの威力だ。これは魔物の大群が来た時にでも使おうかな。


 試したい魔法が成功したので街に帰ろう。

 



 街に着くと衛兵や冒険者たちが何やら騒いでいた。

 どうやら森の奥ですごい音がしてボロボロになった木が空に舞い上がっていたのをみたそうだ。

 私も森から帰ってきたため、衛兵から聞かれたが気が付きませんでしたとシラを切った。


 ごめんなさいね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る