2024年5月3日 生成AIや同人誌の著作権侵害の話

 今日こそ書かないとと思って、昨晩書いてました(笑)


【生成AIや同人誌の著作権侵害の話】

 さて、何から書いたものかというところですが、小説創作界隈も生成AIに対して著作権云々の話で反対する人が出てきたので、以前から反対派が活発にX/Twitterで活動しているイラスト界隈の話をしてみます。あくまでも文科省の資料や専門家の方を読んで、私が理解した内容になっておりますので、詳しく正確に知りたい方は、弁護士の先生が書いている記事などを読んで下さいませ。

 ついでに、超有名キャラクターは商標登録できて、そちらの方向で保護されることもありますが、今回は著作権法の話なので、商標権の話はないです。


 まず、著作権法で保護される範囲というものは、一般の人が想像している以上に狭いです。


・画風、絵柄は著作権法の保護の対象外

・ありきたりな絵は著作権が発生しない

・登場人物そのものには著作権は発生しない


 このあたりが著作権法はアイディアを保護しないと言われている理由かと思います。

 ただ、登場人物については服装と絵柄が似ていれば、著作権侵害の問題になることもあるようなので、ちょっと前の二つとは毛色が違いますが。

 簡単に言ってしまえばコピー、コピーによく似ているものは著作権の侵害ですね。ちなみにこのコピー(無断複製)も、私的利用の範囲内なら問題ありません。つまり、外に出すな、ってことです。

 コピーの関係だともう一つ。元々私的利用するつもりがなく、例えば販売目的でコピー、模写等した場合は、その時点で著作権侵害になりますが、実際にはそんな内心は本人にしか分からないので、やはり外に出したらアウトだよ、ってことです。

 あとは著作権者に無断で著作物を改変したりするのも侵害になりますが、それもあくまでも著作権が発生している著作物に対してのみです。

 そういうわけで、同人誌はきちんと同人誌であることを明示することと、コピーや模写やトレースをしないなら、有名アニメやマンガのキャラクターを使用しても全く著作権侵害になりませんし、著作権法の保護も受けられます。


 さてイラスト生成AI。

 法律的なイラスト生成AIの捉え方は、人間が使う道具です。

 その道具を使って人間がどうするか、というところがポイントになるので、イラスト生成AIを使っても、現状、前述のようなことがなければ、著作権は侵害しません。

 つまり出力したイラストが前述の条件に該当していて、出力をした人間等が外に出せば、アウトということになります。

 イラスト生成AIの機能の一つであるi2iは、元の画像を改変できる技術なので、元の画像が著作物なら著作者に無断でi2iした画像は、外に出してはいけない画像ということになります。

 また、イラスト生成AIのLORAやLyCORISという技術は、特定の画風を再現することできる技術であるため、これは特定の画風を再現するための学習(データ処理)の時点で違法になる可能性があることが、文科省の資料でも指摘されています。反対に、広くイラストや写真を学習(データ処理)を行なっているイラスト生成AIの学習データそのものは著作権法に抵触していない、ということでもあります。※イラスト生成AIの学習データの学習(データ処理)というのは、画像を取り込んでいるのではなく、画像の特徴を文字と結び付けてデータ処理していることと、あくまでも道具であるため。

 なお、私見では、反生成AI派は、感情的に著作権法を持ち出す方が多いように見受けられますが、規制を望むのであれば著作権法では対応できませんので、一部の方が運動しているように、新しい法律を作るよう政府や政党に働きかけるのが妥当と思います。それも全世界規模でやってもらうように働きかけなければなりません。生成AIを積極的に発表しているのはGoogle、Microsoft、Appleなどの巨大な世界企業ですし、それ以外にも有象無象の会社が競争しているので。

 作風・画風を保護するような著作権法の改正を望む人もいますが、よくある画風の絵を描く商業イラストレーターさんにとっては地獄です。オリジナルの画風で食っていける人なんて一握りですし、ビジネスモデル特許のように、ひとまず色々な画風で作品を発表しておいて、侵害しているから金を払えという人間も出てくる可能性が高いですし。


 では、小説はどうなのか。

 イラスト関連での解釈を見る限り、結局のところ、著作権法では出力等した本人の問題になるため、新しい法律を作らなければ生成AIそのものを規制することはできません。

 ていうか、そもそもどれくらいの箇所が酷似していたら著作権侵害になるのか調べてないです。丸パクりは当然アウトだけど、それ以外はどうなのだろうか。

 もっとも、私の小説を学習されたところで、膨大なデータのほんの1つまみにもならないですし、ましてや日本語の小説が小説生成AIに負ける未来は当分先だと考えているので、気にする必要もないと思っていますが。


 あとはなんだろうな、無断学習という用語かな。

 そもそも他の人の文章、画像、動画を見て学ぶこと(特徴をデータ処理すること)を無断学習と呼称することに違和感をもっていたり、人間の無断学習は良くて生成AIがだめな理由はなんなのかとか思っていますが、それはさておき、生成AIだけ学習に許可等が必要だとして、それをどうやったら取り締まれるだろうかという問題もあります。

 学習(データ処理)に使用した元の文章やイラストは膨大な量になるので、それを全部表示しなさいとしても探す方が大変ですし。


 以上、とりとめもない話でした。

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