第26話 巨大になって行くアル町【2】

「どう言う事?」

 聖十字軍対策に構築した、不必要と思われた広大な防護壁、その内側は元王国軍とその家族5万人が住み着き、既に手狭な状態になったのか、私の護衛隊が耕した農園も、一部住宅地に変えていた。


 住めなくなった王都から、日々移住者が絶えず、広大な防護壁の外に町や村が出来、私の知らない内に取り巻いていた。

 それでも納まりきらない人々の、テント生活者が更に増えてる。


 アルの方針か、商人、職人達に優先的に住まいを造り、商店街、職人街と、特種な町造りに取り組んでいた。


 領主を、呼び捨てとは気が引けるが、アル本人が「この領地には、私よりエーアイ殿の方が重要人物!私の事はアルと呼べ!私もエーアイと呼ぶ」と念を押され、アルと呼んでいる。

 重要な所以外は、大工職人の仕事を取っては、彼らの糧を奪う行為と、出しゃばらないようにしていて、この状態に気付くのが遅れた。


 アルは、専門町を作る事に力を入れ、流通に関して考慮が抜けて居るのではないか?


 リムリ村、と言うより規模とすれば、既にリムリ町だが、現状報告も兼ねて、アルに合いに行く事にした。



 私が多忙と思い、遠慮していたようで、訪問を歓迎された。

 私は、リムリ村の状態を報告して、本題に移った。


「アル、特種な構想の専門町造り、良い発想で感心したけど、流通の事考えて居ないでしょ」

「流通?そうか!これでは便利処か、不便になるな!!」

「混乱が起こる前に提案!道路造り、これは悪魔達に作業させる」

「うん、良いと思う、作業監督は必要だろうが」


「次に巡回馬車の提案、馬車は車輪の振動を客車に伝えない工夫、車軸に板バネを乗せ……」

「ふむ!職人に早速手配する!エーアイは凄いな!今後も気付いた事は是非知らせてくれ!

 エーアイは、困って居る事はないか?」


「僕を、聖者扱いする人達に困ってる」

「それは、我慢してくれ!私の思惑通りなのだ、まだ発表には早いが、建国はエーアイ聖者が起こす『エーアイ聖国』とする、覚悟してくれ!エーアイは法王様だ」

「ふぇ~え?『アル王国』で宜しくお願いしますぅ!」

「多くの者が望むのは、聖者エーアイの国に帰属したい事であって、私では求心力に欠ける!」


 私のやる事は、今と変わらないとの事で、問題は先送りにした。


 患者は、既に診察治療出来る人数ではない状態で、新規患者は重体か深い傷、もしくは手足欠損患者に限るとし、来週から患者は傷の治療とし、美容整形は予約制に変える事にした。

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