第24話 聖者エーアイ

 諜報員が持ち帰った情報で、周辺や遠く離れた町でも、かなり詳しい話が伝わっていた。


「知ってるか?聖者様の国があるそうだぞ」

「実際在るんだ!アルって言う国の、エーアイ様」

「死んでいなければ、瀕死状態でも、手足が無くても元気に五体満足に再生治療してくださる、聖者様だぞ!!」

「望めば別人に変えて、新しい人生が送れる様にもして下さるそうだ」

「睨んだだけで、あっと言う間に悪魔が正体を現したとか」


「アル国?聞いた事無いぞ?ただの噂じゃないか?」

「アル国は、悪魔が支配してた、聖十字教を滅ぼしてくれたそうだ」

「聖十字教は国王様が、庇護して居たため、傍若無人な迷惑集団だった」

「それだ!大きな声で言えないが、⦅王族も全て悪魔だそうだ!⦆」

「何だと!!それでか、最近の王都の寂れ様、住民が殆ど居なくなったとか」


「国王様が?信じられん!」

「バカかお前!王国軍の隊長が⦅国王は悪魔に取って替わられている!⦆と言ったんだぞ」

「その話は知ってるぞ!国王は、聖者様を討伐するよう、聖十字教に命じ王国軍を何万も送ったとか。

 聖者様が、王国軍の目の前で聖十字教教徒を悪魔と暴き、その時王国軍の隊長が⦅国王も悪魔だ⦆と言ったそうだ」


「それって、アルフォンヌ領の話じゃないか!」

「シーッ、アル王国とは、アルフォンヌ領の事だ!まだナイショの話だが、聖者様は王族達悪魔を滅ぼし、建国を宣言するそうだ」

 虚実取り混ぜ、噂は広がって行った。



 ◎◎◎



「お布施?って何ですか?」

「聖者様に、お布施で御座います」

「聖者様?って?」

「聖者エーアイ様です」


 知らない内に、私は聖者に祭り上げられて居た様だ。


「取り合えず、診察代以外不要です!僕は受け取りません、どうしてもとお考えなら、気持ち程度、隣の孤児院にご寄付頂けたらそれで良いです」


 私の一言で、孤児院は空前絶後、寄付金の山が出来たそうだ。




 木の日に再開して正解でした、たった3日なのに明日の休息日には救われた。

 私以外リズ達も、ヘトヘトに疲れてる。


 ゴロゴロ怠惰に過ごすぞ!!と思ってたのに、一晩グッスリ寝て、起きると出掛けたくなった。


 心配してた、悪魔村に来てる。

「あれ?お祭り?」


 悪魔村の外、悪魔達が輪になって、両手を挙げたりおろしたりしながら「ウッホウッホ」と楽しげに飛び跳ねてる。

 単純な踊りなので、テント生活している移住希望者達の子供達も笑顔で「ウッホウッホ」してる。


 リムリ村長と悪魔達が、テント生活者達に『団子汁』の炊き出ししてた。

「リムリ村長、ありがとう」

「はぁ?はい…」

 エーアイは小声で言った。

⦅本当は、アルフォンヌが遣らないとダメなのに、リムリ達も生活それ程楽じゃないでしょ?⦆

⦅いえ、領主様のご指示『愛される悪魔計画』でやらせて頂いてます⦆

「愛される悪魔?アルって面白い事考えたな……そうだ!リムリ村長ここで炊き出ししてる50人は女性?」

「…そう…です!」

「女性全員、可愛い小悪魔に変えてあげる!人に戻して欲しい人員居る?この際大判振る舞いするよ」


 男女同じ姿の悪魔、私に区別はつかないが、女性信者達は司教達の慰み者が殆どだった、半ば性奴隷的立場だった彼女達、真の離教は早かった。

 女性500人全員、悪魔の耳と尻尾以外は人に、元々美女達だったので、破壊的可愛さの小悪魔になった。


 最近リズ達との触れ合いで、理解不能な感情が芽生えているエーアイは、500人の全裸美少女小悪魔達から、目を反らすのだった。

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