第4話 秘密指令

 半魚人という先輩特性のカクテルは前回のお話でした。


 おすすめしないカクテルです。


 川浪先輩、「伝言」という他の作品では非常にかっこいい人で男気のある方です。


 色白のキレイな女性と結婚されました。

 考えてみればヨット部の奥様、みなさま美人で頭がいい人ばかりです。色白の人が多いです。


「自分にないものを人は求める」のかもしれません。

 S先輩の奥様のみいちゃん、タカの奥さんもケンタの奥さんもみなさんキレイですし、こんな僕らの同期や先輩方をかなり大きい心で遊ばせている感じがします。

 

 さて…。

 飲み会等で僕らは後輩にお酒をすすめませんが、先輩方は時代というかいろいろです。


 体質的に受け付けない人もいますしね。

 お酒は楽しく飲みたいじゃないですか…。

 わけのわからないカクテルを何杯も飲まされてもね…。


「川浪さん、僕ら現役時代、川浪先輩と安良岡先輩は警戒していました」

 もう50過ぎだし、時効でしょうね。

 この前のOB会の時、正直に言いました。


「そうか…、そんなに飲ませたか…」

「飲ませました…、『半魚人カクテル』とか飲まされました」

「そうか…、覚えてないな…」

 そうゆうものです。


 やったほうは覚えてないですが、やられたほうは覚えているものです。

 別に嫌ではなかったですが、飲み過ぎはつらいですから。


「お前らが入ってきたころは確かに飲ませたかもな…。でも2年になってからはそうでもないだろう…。あれ…? なぜかな…」

 先輩、不思議そうな顔をされています。


 もう時効でしょう。

「2年生からはあまりそんなことはありませんでした」

「そうだろう…、飲ませた記憶があまりないな…。

 飲んだ記憶はあるし楽しく話した感じはあるんだがな…」


 先輩、飲んでました、けっこう飲まれていました。

 僕らは2年生になってから潰されることはなくなりました。

 

 作戦というものがあるのです。


 飲み会の前、こちらも身の安全があるのである人達に「お願い」をしました。


「頼む…、お願い…」

 後輩の女子達を前に本気のお願いでした。


「川浪先輩と安良岡先輩を…」

 えりと河井ちゃんを前に僕とタカは言いました。

「あの二人を…」

 先輩方に聞かれないようにそっとお願いしました。


「潰して…」


 秘密指令を毎回出します。

 毎回です。


「了解です!」


 後輩女子達は快くうけてくれます。

 そして飲み会が始まると、

 川浪先輩、安良岡先輩と同じ席につき

「飲みましょう! 先輩お強いですね」

 とお酒をすすめてくれるのです。


 助かりました…、本当に。

 そしてお二人の先輩がご機嫌にハイペースで飲み、僕らにお酒をすすめるのを忘れたころに戻ってきます。

「お疲れさまでした」

 素直に感謝します。

「でも、川浪さんも安良岡さんもいっしょに飲んでて楽しいんですよ」

 陽気な先輩ですからね。


 これで僕らは自分のペースでお酒が飲めますし、悪酔いしなくてすみます。


「なんでだろう、不思議だと思ったんだよ…、どうしてえりとか河井ちゃんが毎回俺と安良岡の席にくるんだろ…って思ったんだよな…」


 時効でしょうね。


「そうか…、堀なんかの『しわざ』か…」

「はい!」


「でもまあ、楽しかったからいいか!」


 川浪先輩はかっこいいのです。

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