ヨットの上で…(肆)

@J2130

第1話 ヨット部〇〇チーム

 女子部員も多かったヨット部。

 合宿所では当然部屋を分けていました。


 夕食が終わり、修理がなければあとは基本自由時間です。

 女子は自分達の部屋に帰ります。

 その後の活動は男子の未知の世界でした。


 僕の娘も大学生になりました。

 あの頃の僕らといっしょです。

 ひとまわりしたわけです。


 お年頃です。

 いろいろと気にしています。

 成人式の前撮りもあるし…

 いとこの結婚式もあるし…。


「なあ、りほ、パパがヨット部のときにさ…」

 勉強している娘に話しかけました。


「ヨット部ダイエットチームというのがあってね…」

 教科書から目を話し父親を見上げる娘。


「『先輩も入りませんか…』って一回誘われたんだ…後輩の女子部員に…」

「うん…」

「ヨット部の男子は太ってないけれどね…」

 昔の写真を見せたことがありました。

 本当にみんな締まった体をしていました。


「でさ…、ある日な、ヨットの上で訊いたんだよ

『そのダイエットチームはどんな活動しているんだ』ってね」

「うん」


 娘は真面目です。

 おそらく我が家で一番真面目です。

 ダイエットという言葉に如実に反応してくれています。

 

「教えてくれたんだ、その活動内容」

 真剣に父親を見る娘。


「なんかな…寝る前にな…」

 メモでもとりそうな娘。


「『ダイエットは明日からにしよう!』

 と言いながら女子部員みんなで

 お菓子を食べて

 おしゃべりするのが

 活動内容らしいんだ」

 

 またいつものように父親から無駄なことを聞いてしまった…。

 そんな表情で娘は勉強に戻りました。


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