第二話 「перекличка(点呼)」

「―――清掃確認ッ!」


「清掃確認ッ! 


 ――――ヨシッ!」


"ガタッ! ガタタッ!"


「――――次、


 "点呼"


 参りマスッッ!」


「――――ん」


"ザッ!"


「それでは、河野第四編集局長の


 指示に従いッッ


 ――――これよりッ!


 "点呼"!


 点呼願いますッ!」


「"点呼"お願いしマスッッ!」


"ザッ!"


"ザザッ!"


藻須区輪亜部新聞、


第四編集局内。


「それでは、まず、一番ッッ! 左端からっ!


 ―――"点呼"ッ! 


 "点呼"ッッ! 願いマスッ!」


「あ、ああ...」


「一番! "太田デスク"っ!!


 点呼願いマスッッ!」


「――――....!」


編集長席に座っていた河野の言葉を聞くと、


第四編集局の局員である


"三咲 恭二"


はそのまま、入り口の壁際に整列している


第四編集局の局員の一番左端に立っていた


"太田 敦"に向かって、


"点呼"を復唱する様激しい金切り声を上げる!


「て、点呼って・・・!」


「どうしたァ、太田ァ....」


"ガタッ"


「へ、編集長――――


 い、いや、支局長――――!」


「"点呼"ッ!? 点呼願いマス―――ッ!?」


"ダッ!


「何だ...太田ァ....


 "点呼"


 だろ.....?」


「――――ッ!?


 は、ハイッ!?」


既に、この第四編集局では、


今モフソゴルロフに出向している隆和に代わり、


日朝のヨーロッパ方面の統括部長をしていた


河野が代わって第四編集局の指揮を執る事になり、


その河野が第四編集局の編集長になってから


この、朝の


"点呼"


は通例となっている....


「―――一番ッ!! 


 藻須区輪亜部新聞ッッ


 デスクッ!!


 太田 敦ッッ!!


 ――――て、点呼願いマスッッ!」


「・・・・」


"ガタッ...."


「(あ、危ねえ~....)」


「・・・・」


太田が、三咲の点呼の号令に


返事をした事に満足したのか、


それを見た河野は立ちかけていた足を止め、


再び自分の席へと腰を下ろす


「――――1番ッッ


 "点呼"


 ヨシ、ッッ!」


"ガタッ!!"


「・・・・!」


「―――次ィッッ!!


 "2番"ッッ!


 点呼ッ 点呼っ!


 ――――"願い"マスッ!!」


「(・・・ど、どうなっちまったんだ....)」


「2番ッッ! 


 "田中 ゆかり"っ!


 "点呼"っ!


 お願いしますっ!」


「"点呼"ッッ


 良しッッ――――!!」


「(・・・・・)」


「次ッ! 三番ッ!


 "ホアン"ッッ!!」


「(え、江母井編集長――――....)」


「サンバンッ!


 ホアンヨッ!」


「三番点呼ヨシっ!」


「(ど、どうなっちまったんだ――――)」


「・・・・」


"ズズズ...."


周りの同僚達が点呼をしている声を聞きながら


「何だ、まだこの局


 ロシアのトップじゃないのか....」


「(・・・・)」


"ズズズズ...."


太田は、編集長席に座っている、


この第四編集局の雰囲気をガラリと一変させた


河野 洋文


支局長兼、第四編集局代理に目を向ける....


「次ッッ 六番ッッ!? ―――六番ッッ!?


 "点呼"ッッ 願いマスッッ!!」


「"エレーナ!・イリヤソバ"――――」


"ズズズズ...."


「ふーん... 意外と隆和も


 多少は仕事やってたみたいだな....」


"パラ....パラ...."


「(え、江母井さん――――っ!)」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る