【求ム】貞操逆転世界の婚活ヒトオスVTuber【清楚系】
外なる天使さん@全作品書籍化進行中
貞操逆転世界の未婚女子は世紀末世界のヒャッハーに相当する疑惑
【雑談】お前らのちんすこう【にじこん/鬼公方アラヤ】
#異世界なう Araya Ch.鬼公方アラヤ (チャンネル登録)
「はいこんシコ~。にじこん二期生、最近は幼馴染みのお兄さんで血の繋がらない弟くんで未亡人のパパでオタクに優しい同級生とかいうクソミームがバズったせいで人格分裂の恐怖に怯えているバーチャル異世界転生者の鬼公方アラヤだぞー。貴様ら許さんからな(震え声)」
チャット▼
・きちゃ!
・生き甲斐
・トレンド世界一位だぞ、喜べよ
・これがにじこんに入った奴の末路定期
・精を得た淫魔のように立ち絵を増やすお前のママが悪い
・それはそう
・¥45,450 <孕ーメルンの潮吹き>私は悪くぬぇ! 私は悪くぬぇ!
・でたわね
・マッマもよう見とる
・¥6,666 寝室に戻ります。ここにいると……えっちなイラストにムラムラ♡ させられる
・名作を卑猥な汁で汚すな
「メルンママは仕事しろ。おめーの締め切りは5時間後ぞ」
チャット▼
・¥4,545 <孕ーメルンの潮吹き>ひぃん。今描いてますぅ……
・配信見てる場合じゃなくて草
・こいつ……叱られながらスパチャしてやがる……ッ!?
・推しの払った金で推しに貢ぐファンの鑑
・ウロボロスかな?
「ちなみにこの仕事如何によって、夏の水着に影響が出まーす。というところで、そろそろ君らの邪念もとい『ちんすこう(※マシュマロ)』を消化していくぞー」
『抱かせろ♡』
「っ……!! 女の人っていつもそうですね……! 俺たちのこと何だと思っ
ているんですか!?」
チャット▼
・オカズ
・主食
・種付機能付き愛玩動物……ですかね
・親の顔より見たコラ画像
・さっき何か聞き捨てならない部分があったような……
「もっと親の顔見てあげて、ってかヤバい奴居て草。視点がもう異性じゃなくて
『映画が趣味でよく妻たちと一緒に観るのですが、ソファーがあるのにいつも膝の上に乗せられてしまいます。嫌というわけではないのですが、頭が胸に埋まって画面が見えません……』
「確かに君らってすぐ人の頭におっぱい置こうとするよね。あれ何なん。重いんだが?」
チャット▼
・ちょうどいい場所にあるのが悪いんだが?
・ほんとそれ
・むしろお前ら男はなんでそんなにちっこいの……
・都合良くおっぱいに埋まる身長に育ちやがって
・¥1,919 ピピーッ! 存在がえっち罪で逮捕します! 男は責任取っておっぱい置き場に永久就職しろ♡
「でも処女なんですよね?」
チャット▼
・は?
・ライン越えたね
・犯すぞオスガキ
・そんなに『分からせ』られてェか!? お゛っ♡
・キレながら絶頂するな
「ごめんて……。えー、既婚のヒトメスにとって旦那さんは依存性物質もしくは必須栄養素みたいなものなので、どうあがいてもスキンシップからは逃れられません。いっそ既婚者ニキの方から膝枕とかしてあげたらいいんじゃないかな? 頭撫でてりゃ大人しくなるでしょ」
チャット▼
・エッッッッッッッッ!
・羨ましすぎて吐きそう
・私の旦那きゅんどこ……? ここ……?
・雑に私らの情緒を破壊するな
・扱いが犬猫で草
女がぐいぐい来すぎて男は自然と消極的な受け身になること多いからなぁ、この世界……。
コメント欄が未婚女性たちの嫉妬と慟哭で染まるのを尻目に、自分も随分と今の世界に染まったものだと思い返した──。
▼
──貞操逆転世界、というジャンルがある。
人口問題、社会構造、価値観の相違、頭エロゲ──細部の違いはあれど、女がドスケベで男が無条件にモテる世界。
それを童貞の妄想と切って捨てるのは簡単だが、本音を晒せば皆同じ。誰もが
違いがあるのは性癖だけ。みんな違ってみんなエロい。乳首当てゲームが盛り上がるように、チンポ当てゲームだってきっと楽しい。
俺は前世の記憶と価値観を引っ提げて、そんな世界に転生していた。
まず、この世界において男性は希少である。いわゆる男女比1:たくさん! とか何かそういうやつ。
貞操逆転世界によくある抱き合わせ要素──というより、男が希少化したからこそ自然とメスがオスを守護る側、求める側へと社会や常識、性的観念が変化していき、やがて種そのものが適応した形に進化していったのだろう。
そう──進化、である。
転生してまず思ったのが、この世界の女性……美形しか見当たらないのはともかく、やたらとデカい。乳やケツに限らず、なんか全体的にデカくない? 男はどいつもイケメンだなぁおい、という以外は体格も身長も前世とそう変わらないのだが、それに比べて女はどいつもこいつも男より更に2~30cmくらいデカい。具体的には男女が正面からぶつかった際、男の顔がちょうどおっぱいに埋まるジャストサイズ。
いやそんなことある? と言いたいが、これこそがこの世界における人類の進化の証である。
恋愛も結婚も金持ちや権力者、特別な才能を持つような者を除けば、幼馴染とかいう幻の存在を奇跡的な確率で引き当てた者くらいしかありつけない概念と化し。女が能力的、性的に肉食になっていくのにつれ、男はより草食になっていった。いやご褒美じゃん、と思えるのは前世の価値観ありきなわけで……まあ息の荒い童貞の群れに、男慣れしていない美少女を放り込んだらどう反応するかを想像すればわかりやすい。
しかし男が絶滅危惧種なこの世界、端的に言って人類存亡の危機である。
故にヒトメスは進化した……! 的確にオスを捕獲するため、背は高く手足は長く。一度捕らえた獲物を決して逃さぬよう、胸は大きく。そして元気な子作りをたくさんするために、尻もデカく。
他の
滅亡の危機に瀕してなお環境に適応する。これぞ神話の時代より人類種が存続してきたしぶとさであり、最新の人類史である!
もうこの時点で細かいこと気にするの止めたわ。
なんかジャンルでいうと抜きゲーというよりバカゲー寄りな不安もあるが、このイカれた進化のお陰で夜空に響く未婚の慟哭はともかく男側に変な悲壮感はないし、こんな世界観でも結構平和だった。
……前世の話になるが、男の理想って日替わりメニューだと思うんだよね。毎日別のものが食べたいけど好感度はそのまま引き継いで欲しいっていうか。セフレを何人もキープしているチャラ男くんはその典型だし、オタクくんだって新しいアニメにハマる度に最愛の嫁が増える。実現性に目を瞑れば陰キャ陽キャどちらにも共通する雄性の真理なんじゃないかな、これ。
いやあ、それがこの世界ではむしろ褒められる行為なら仕方ないっすわ。転生しちゃったからね、これも世のため人のためってやつよ。
▼
──そして気付けば俺はこの世界でも二次元の沼にどっぷり浸かり、前世からのオタク趣味を更に拗らせた。あれぇ?
▼
この世界のアニメや漫画、ゲーム──いわゆるオタクコンテンツと呼ばれるものは、前世よりも人々の身近に存在していた。娯楽として、そして何より独り身たちのオカズとして。
まあ宜なるかなというやつである。こっちの男性は普通に街を歩くだけで視姦されかねないので、人前で見世物になることをあまり好かない。
だから男性の俳優もアイドルも存在しないし、AV男優なんぞいるわけがない。むしろ撮影のために無駄撃ちさせたら国から怒られるレベル。そして無駄撃ちじゃない交尾の映像はもうただのハメ撮りなんだわ。芸術活動のようなクリエイティブな仕事をしている男性はいるようだが、基本的にヒトオスは愛玩──もとい養われる側の存在だ。
つまり身近に男性が居る環境でもなければ三次元のオカズなどという贅沢品はまず手に入らないので、女性たちは自然と二次元で自給自足するという流れに至った。
そんな悲しき側面を持ってしまったことで、世の男性からはオタクキモいと思われがち。オタクくんよ……君らはオタクちゃんになっても異性へのオタクバレに怯える宿命なのか。俺は泣いた。
活発だが、同時にどこかアンダーグラウンド──ともあれ俺にとっては前世とはまた違う価値観で発展したオタク文化だったのがやっぱり沼だったなって……。あらゆるコンテンツを全く新鮮な気持ちで楽しめるとか超最高。
……まあ若干、こっちは男の肌色面積やお色気描写の多さに辟易するところはあるが。美少女キャラの濃密に描かれるシャワーシーンが狂気のギャグ回扱いされていることの違和感が凄まじい。
……いや、違うんスよ。俺だってハーレムがしたかった。するつもりもあった。それぞれタイプの違う美少女にちやほやされて、甘ったるい声で囁かれながら腰振り求愛ダンスとか超見たかった!! でも環境が、全部環境が悪い……っ!
まあなんだ、我が身に起きたのは転移じゃなくて転生なわけで。となれば未成熟なショタの身で性的に狙われても普通に困る。おねショタは全人類の夢だけど(※諸説ある)この世界で少年に対してそういう目を向けるのはもう『えっちなおねえさん』じゃなくて『真顔の光源氏』なんよ。俺はサバンナのシマウマとなった(身の危険を感じるの意)
この世界に催眠お姉さんやら種搾りお姉さんが存在するのかは不明だが、少なくともオスガキが『分からせ』られる側なのは火を見るより明らか。そして一度捕まったら逃げられる気がしない。
だって前世の自分の価値観だと美人でおっぱいデカいエッチなお姉さんに性的に襲われるとかご褒美だし。そんなんされたら普通に好きになっちゃうじゃんね。なんなら女だってイケメンのレイプから始まる恋って少女漫画やレディコミの王道でしょ(※偏見)警察が駆けつけたところで『ただのプレイだな、ヨシ!』と現場ポリスになりかねないわ。
とはいえ流石にそれで今生における結婚から墓場まで確定されるのは普通に困る。
贅沢な話、選べる側になった途端に欲が出るのが人間というやつで、つまりは初めての相手くらい自分で選びたいです……。
この世界、ヒトオスの結婚は義務だが一夫多妻は強制ではない。……強制ではないが、ダメとも言ってないので協力してゲットしたオスを姉妹や友人間で共有することが多いらしい。考え方が狩猟民族なんよやっぱ。というか控えめに言ってもそれヤリサーの手口では?
つまり何が言いたいかというと、調子に乗ったヒトオスがこの世界で迂闊にハーレムを作ろうとすると、常に主導権を握る必要があってとても大変。
……ハーレム系主人公って凄かったんだなぁ。あれだけヒロイン抱えていて群れの頂点を維持できるとか。あと精力。今まで馬鹿にしててごめんね、上じょ……キリ……いやまあ個人名は控えるとして、とにかく君たちは今の俺には尊敬すべき偉人だよ。
つまり目指すべき理想はハーレム状態でちやほやされつつ、いやぁ自分一途なんで……と最後に梯子を外すラノベ主人公的立ち位置……!
たとえこの世界ではシマウマだとしても──否、この世界に転生したシマウマだからこそ。
ライオンに愛玩されるシマウマではなく、最高のライオンを侍らせるシマウマに俺はなる……!(※喰われることに変わりはない)
……故に少年期は雌伏の時。身体を鍛え、成長を待ち、備えるのだ。R-18の壁が壊れるその日まで……!
ともあれそうと決まれば、時期が来るまではせっかくの異世界文化を満喫してもいいのでは?
ToLOVEるしながら二度目の学生生活を楽しむことも考えたが、行くなら男は全員男子校送りだってよ。いや地獄じゃね-か。制服彼女と青春らぶらぶプレイが出来ない学生時代に価値とかあるの?(エロゲ脳)っていうかそれ名家とか権力者向けの婚活リストじゃない? この世界、こういう露骨じゃないけど這い寄る感じが怖いわー……戸締まりしとこ。
そんなこんなで──それはもう水が高きから低きに流れるが如く自然とアニメや漫画、ゲーム漬けの日々となっていったのである。
▼
堕落……! 圧倒的堕落……!
そして迫る……タイムリミット……!
R-18の壁を越えたらどうなるかって? 出荷よー。
その気になればどうとでもなるという考え方が不味かったかな……。それはいつまで経ってもやる気にならないやつなんよ。
ともあれ、未婚の若い男がコミュニティにも関わらず引き籠もっているのは逆に危険だ。男性には補助金が出るのでそれだけで遊んで暮らせるレベルだが、あれは社会に貢献するのを前提とした投資でしかない。つまり子作り。結婚がオスの義務であることからも分かるように、美味しく育ったところを世の未婚女性たちが収穫するのだ。
つまり選ぶ側であったとしても、自分はちゃんと社会に貢献しますよという最低限の意欲と前向きなポーズを示さねば、下手すると国の機関にドナドナされてお見合いを強制されかねないのである。
『孕ませ♡貯金』とかいう最高に狂った名前をした精子バンクで社会への貢献度を稼ぐ手もあるが──前世の価値観的に、知らないところで自分のベビーが生まれてるって普通に恐怖体験なんよ……。
別にハーレムラノベ主人公を目指す方針自体は当初と変わらず望むところですらあるのだが……問題は、俺がこの数年で童貞とオタクの両方を拗らせてしまったという部分にあった。
前世のヒトオスの生態として、性に目覚めた中学生では「やりてぇ!」だったのが、高校生あたりで「彼女欲しい!」へ変化し、大学生となると「可愛くてエロい女とやりてぇ!」とまたアホになる。それらを童貞のまま通り過ぎ、そこにオタク趣味が加わると──、
「せっかく転生したんだから初めての相手はやっぱり──黒髪清楚巨乳で三歩後ろで影踏まず男を立てる賢さと可愛げがあって芯の強さを持ちながらも決して目立とうとはせず一見完璧に見えてもちょっと抜けていて一緒に居ても劣等感を刺激されずベッドの上では分からせ欲求煽るの上手なドスケベ(処女)で俺のことが大好きなアニメ声の美少女がいい……!」
はい。
……いや、転生当初はもっとこう、童貞~? さっさと捨ててやるわガハハ! くらい世界観に適応したノリだった気がするのだが……。やっぱり異世界だからと自分の中で眠らせていたオタク趣味を再発させてしまったのが致命傷だったなって。片方ならまだしも、両方が合わさると途端に面倒臭くなるの生き物なのだ。
おお我がムスコよ、お前はこんな都合の良い世界に転生したというのにどこまでいっても拗らせクソ童貞のままなのか。いやでも二次元には意外と多いんだよ? 黒髪清楚キャラ。むしろテンプレすぎて裏設定とかでたまに炎上するけど。
しかし二次元か……結局はどんな世界でも理想を求めると最後は二次元を目指すことがやはり正義なのでは……?
まあそれが出来れば前世も今も誰も苦労は……いや、待てよ?
「そうだ──VTuberになろう」
なんならリアルの婚活もバーチャルでやってしまおう。
そういうことになった。
▼
計画はこうだ。
まず配信者になって人を集める。これは一見無茶だが、実際のところそう難しくはない筈。
なにせこの世界の女性たちは異性に飢えている。進化の過程で繁殖に特化したにも関わらず、その大半がヒトオスを手に出来ない人生だ。たとえ結婚は諦められたとしても、純粋に男と接する機会すら少ないせいでオカズ不足の彼女らは常に欲求不満を拗らせている。
──そんなところに画面越しとはいえ、コメントを通して気軽にお話をして、一緒にゲームで遊んだり、時にはお家デートのように映画を眺めて些細なことに盛り上がれる──そんな風に、本物の男性と過ごす時間を楽しめるコンテンツが現れたら?
のめり込むに決まっている。なにせ男女比ほぼ半々の世界ですらあれほどの盛り上がりを見せたのだ。一度Vの沼に嵌った者はそう簡単に抜け出せないのは実証済み。社会への貢献度もガッポガッポというものだ。
その後は配信頻度を維持しつつ、雑談枠なんかでリスナー相手に自分の性癖を垂れ流すだけでいい。そして擦り過ぎない程度に演者が未婚の童貞であることを匂わせ、ガチ恋勢を増やして自分好みに育てるのだ……!
そう考えるとやっぱりVTuber一択だ。生活を考えると身バレ顔バレは普通に怖い。
なにせ選挙カーの音ひとつですら特定されかねないのだ。この世界における未婚女性たちの執念を考えると、顔出しどころか僅かな手掛かりだけでお外を出歩けなくなる可能性すらある。いや指名手配犯かよ。
何よりバーチャルの『ガワ』なら、ガチ恋需要でどれだけリスナーや共演者相手に好き好き言って媚び、オスガキムーブで性欲を煽ったところで現実の自分とはなんの関係もないわけだし。……いやこれ天才か?(※ただのアホ)となれば既存Vとのコラボも積極的にしていきたい。同じ理由でV相手ならどれだけイチャイチャしたところで中の人は関係ないのだから、現実ボディはノーリスクでハーレムを楽しめる。これってハーレム系の理想では?
Virtual PakoTuber──通称VTuber。
配信サイトから漂う性欲の圧が凄まじいが、貞操逆転世界故致し方なし。ともあれ彼女らはこの世界にも存在した。
前世のようなカルト的人気とはまた少し違った様子だが、人類──の大半を占める女性とオタクコンテンツの距離が近いためか浸透度は高い。顔出しに比べて身バレ知人バレの心配が少なく、ロールプレイを楽しむ配信形態の一種みたいな感じだ。まあこの世界じゃ大体の女性はアニメや漫画のキャラにお世話になったことがあるだろうからな……。足を向けて寝られまい。
しかし男性VTuberは存在しなかった。
なにせこの世界で大半の女性は男と知り合うことはおろか、見る機会すら多くはない。世の未婚女性のガス抜きのためにもむしろ需要の塊でしかないというか、なんなら当初はこの世界って男Vしか居ないんじゃね? とさえ思ってたほどなのだが……。
単純に男が少ないのと、オタクや二次元に対する無関心……あとは見世物になるのを嫌がるからか。配信者は視聴者に対してエンタメを提供する側だし。
……もしかしてこの世界って、男にとっては案外娯楽が少なかったりするのか……?
むむむ……完全に女性向け方面で攻めるつもりだったが、これは男性需要も馬鹿に出来なそうだぞ。この世界の若い未婚男は傲慢が服を着て歩いているタイプが多い(※結婚後は人が変わったように穏やかになる。不思議だね)が──実際に接すると同性に対しては懐が緩いというか、チョロいツンデレみたいになりがちだ。同じ男が興味を引ければこんな狂った配信サイトを通してでも、試しに見てやろうという気になってくれるかもしれない。
となれば彼らのためにも布教がしたい。この世界は幼女であっても油断できないが、流石にコンテンツは全年齢と成人向けに分別されているし、男性受けする作品だって沢山ある。それらを紹介するのは全然有りだ。
そんな風に配信を通してオタク──というより異性に対しての理解と許容を少しずつ浸透させ、コメントとの絡みや視聴者参加型の企画なんかで「女と遊ぶのも中々面白れーじゃん」と思わせる。と同時に、自分と同じ男が時代の流れを作っていることを意識させて対抗心と自己顕示欲を煽っていく。
そうやってまんまと釣られたヒトオス共を後続の
やがてはコンテンツ全体の加熱によって競争が起き、人気が分散したタイミングに合わせて俺は理想の相手を見つけ結婚して一抜けという寸法よ。ここまでやれば流石に同業なりガチ恋勢なり一人くらいは清楚も居るでしょ(慢心)その後は引退するか、なんやかんやで続けるかは炎上がどれくらい燃え広がるかによる。いっそ既婚者向けの内容に転換するのもいいかもしれない。
──完璧だ。我ながら恐ろしいほどにパーフェクトな計画……!
そうと決まれば善は急げ。
……まず個人勢は最後の手段だろう。機材の扱いもあるし、結局は未開拓の需要を突くだけだから、そもそも自分自身にノウハウがないことを考えるとちょっと厳しい。個人で立ち回ったら絶対どこかでやらかす自信があるし、環境が今と変わらないのも問題だ。今はシマウマもサバンナの荒野に飛び出す時期……つまり外堀を埋められるのは怖いけどそれはそれとして転生してから燻っていた美少女にちやほやされたい欲がそろそろ限界です。
となるとやはり運営のバックアップがある企業勢──箱に所属することが理想なのだが……。男性Vが存在しない中での応募は異例も異例。まず真剣に取り合ってくれるかが不明だし、企業としての利益を考えると──男を採用するメリットよりも、生じるリスクやデメリットの方が勝ると判断されたらかなり厳しい。
いっそ損得抜きにオタクが趣味でやっているようなところの方がいいのかもしれない。
でもそれを個人勢って言わない? しかしそういった連中が集まった結果箱になる例もなくはない、か……?
……まず、変に欲を出すのを止めて、箱の大小や世間的な人気は無視しよう。リスナーは自分が呼び寄せるくらいの傲慢さで、とにかくその箱のスタイルとの相性が重要だ。
なにせこっちは邪念と煩悩と下心の塊である転生者様だぞ。変に縛られるよりも、好きなことを好きなようにやれるくらい自由で、呆れが笑いに変わるくらいに馬鹿馬鹿しく、そして楽しい。どうせ紐付きになるならそういうところがいい。そういう箱を探して、『希少な男』の一人ではなく『転生者の自分』をアピールする。
「よし、まずは配信とアーカイブを漁って、一番自由そうな奴を探して追ってみよう──」
▼
──この時、俺は気付かなかった。
世間的に見たVTuberの扱いは前世と大きく変わらない。その確信を得た段階で安堵して思考を停止し、実際にこの世界でVTuberとなった彼女たちの動機部分を、自己顕示欲や承認欲求のような、まあ前世でもよくあるようなものだろうと勝手に納得して見落とした。
この貞操逆転世界におけるVTuberの多くは今の俺と同じ──性癖を拗らせて
そしてそんな場所へ意気揚々と飛び込んだ自分は世の男性とは異なり、どこまでいっても前世で形成した価値観と精神性に依って生きる──この世界においては、まさしく画面の中から飛び出て来たかのような垂涎モノの獲物であることを。
▼
【再再再告知】さっぱり来やがらねぇですわ!?【にじこん/四十八手院カリン】
#わたくし参上! Karin Ch.四十八手院カリン (チャンネル登録)
「愚民共、ごきげんよう~! 天上天下唯我独尊邪王氷殺白龍波(挨拶)──我がにじこんの誇りし偉大なる零式(期)生、四十八手院カリンですわよ~」
チャット▼
・い つ も の
・誰が愚民だ誰が
・称えてるのお前だけ定期
・格好良さそうな言葉だけ雑に並べるな
・登場の度に名乗りが変わるタイプの女
「前回、いや前々回かしら……? ともあれ栄光あるにじこん第二期生の募集を開始したにも関わらず、何故だか応募がさっぱり来やがらねぇですわ! 一体全体どういうことですの~!?」
チャット▼
・知ってた
・それはそう
・まず頭のおかしい奴しか採用しないのをやめろ
・社長が汚い縦ロールだからでしょ
・こいつが演者であり社長という狂気
・栄光(底辺)
「うるせ~! 知らね~ですわ! わたくしの箱に万人受けしてバズるだけの女はいらねーんですわ! どいつもこいつもバズって男性にモテたいだけの雑魚メスばかり……そんなのより次元の壁をブッ壊す気概のある奴がわたくしは欲しいんですの!」
チャット▼
・バズってるならそれは面白い奴なのでは……? アリスは訝しんだ
・これまで不採用にした連中がどいつも他所でバズってる逸話好き
・トップがこれでよく潰れないな
・こいつ金だけはあるから……
・金と権力と性癖を拗らせたアホだぞ
・金も権力もあるのに性癖のせいでいつまでも未婚だから許されてる女ぞ
「ええい、わたくしの婚期の話はお止めなさい! この四十八手院カリン、結婚するのであれば──優しくて謙虚といわずとも穏やかでわたくしのようなオタクにも分け隔てなくむしろ一緒に楽しんで些細なネタにも反応してくれて笑顔が素敵だけど時にはちょっと強引に……でもでも決して高圧的ではなくそれはわたくしのことが好き過ぎるせいであってその分は夜のお運動会ではどちゃくそえっち(童貞)でちょっとだけ意地悪になっちゃう……そんな殿方以外認めませんわ!」
チャット▼
・怪文書やめろ
・寝言は寝て言え
・そんな男がいてたまるか
・エロ漫画に帰れ
・オタクに優しいヒトオスはね、いないんだよ……
「お黙りなさいこのお処女共! 夢は終わらねぇんですわよ! ……と・に・か・く、我がにじこんこと『2Dimension Contact production』は継続して第二期生を絶賛募集中ですわ~! っていうかお願いだからいい加減に誰か来て~!? とりあえずあと一人! あと一人でいいんですわ~!」
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