僕の死亡計画
@Late-hope
プロローグ
辛かった。
苦しかった。
前に進まなければいけないことは分かっている。
でも、もう何もかも投げ出したい程に面倒になっていた。
「今は良いかもしれないけど、将来を考えたら立ち止まっているわけにはいかないよ」
「まだ若いんだから。何だって出来るよ」
「真面目に転職情報見なさい。いつまでも側にいてあげられるわけじゃないんだから」
分かってるよ。五月蠅いな。
でも考えたくないんだ。今は何も考えずにいたい。疲れてしまったんだ。
そもそも、そこまでして生きなくちゃいけないものなのか?
どうして辛いと分かっている将来を考えなくちゃいけないんだ。
もう疲れた。歩きたくない。辛い思いをしたくない。見たくない。聞きたくない。
放っておいてくれ。大丈夫、勝手に死ぬよ。人はいつか必ず死ぬもんだ。そう世界にプログラムされている。
それでも前に進めって言うのか。
それでも将来のためにって言うのか。
何かしなければという焦燥感は既に持っている。怯えも不安も勿論ある。
だが将来なんて言われても、そんなものは見えやしないんだ。
今までの自分を見つめ直して、より自身に合った人生をと考えたところで、結局のところいつだって結論は変わりやしない。
こんな体じゃ。こんな頭じゃ。こんな価値観じゃ。こんな。こんな。こんな。
別に体が不自由なわけじゃない。有難いことに五体満足だ。
救いようがないほど頭が悪いわけでもないと思う。一応大卒だ。
重度のうつ病でもないし、危険思想の持ち主でもないはずだ。
ただ、健康が取り柄ですと言える程健康体でもないし。
家族の中じゃ一番頭が悪いんじゃないかと思っているし、自分よりランクの低い学校へ進んだ人なんて一人も知らない。
通知表じゃいつも「集団行動が苦手」だとか「協調性に欠ける」だとか書かれて、実際のところ他人に合わせなければいけないというのは窮屈以外の何物でもない。
それでも前へ這いずるために。しっかりと考えなければいけないというのならば。
代わりに準備してくれますか。
私はまだ、頑張れそうにないから。
代わりに道を用意して欲しい。
これはほぼほぼエッセイだ。
私の代わりに彼に語ってもらう、私のエッセイだ。
私の、過去という真実と未来という想像を記す。
これは私のための物語だ。
読み手である、今この文章を目にしているあなたのためではない。
そんなこと、私には言えない。
誰かのためだなんて、そんな美しい心は残念ながら持ち合わせてない。
誰にも文句なんて言わせない、誰かへの責任なんて持てない、私の
私の、物語だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます