海に来た。水着も浮き輪も着替えもないけど。ただ、ふたりして唐突に海に行きたい気分になってしまった。

 サンダルを脱いで、砂浜に放り出す。海の浅いところに足先を入れたら、思ったより冷たくてびっくりした。

「めちゃくちゃ冷たい!」

「九月になるともうこんなに冷えるのか」

 足を動かすたびに海水が飛ぶ。お互いが動くたびに水飛沫が大きく上がるのを見ていると、楽しくなってきたから水を掛け合って、わあわあ言いながらはしゃぎまわる。しばらくそうしてるうちにだんだん飽きてきて、次は砂で山を作って遊んだ。

「山のど真ん中に穴開けましょ!」

「小学生かお前は」

 んへへ、と笑いながら穴を掘ってると、先輩も手伝ってくれるからなんだか面白い。だって真剣な顔して穴掘ってる。そんなに大層なものじゃないのに。開通したから、記念に写真を一枚取った。片隅に先輩の小さなピースも映ってる。

 海って楽しい。景色は綺麗だし、砂で遊べるし、広いし、海水は冷たい。あと、すっごく自由! って感じがする。

「また海来ましょうね」

「次は釣りするか」

「先輩魚釣り出来るの!?」

「したことない」

「したことないんだ……」

 思わず笑ってしまうと、「一回くらい釣りしてみたいだろ」と言われたからたしかに、と頷く。私もやったことないからやってみたいかもしれない。

「じゃあ、次来たときやりましょ」

「そん時はどっちが多く釣れるか勝負するか」

「どっちも釣れずに終わりそう」

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