第123話 指先のぬくもり

きみに

逢いたい逢いたいと思っていたら


夢に現れてくれたね



夢の中できみは

やっぱり

少し首を傾げて

少し困ったような笑顔で

僕を見ていた



思わず差し出した手に

ほんの少しだけ触れてくれて

そして

走り去ってしまったきみ



追いかけたいのに動けなくて

逢いたかったんだよ、も

元気にしていたの、も

何も言えなかった僕は


きみの指先の

一瞬のぬくもりだけを抱きしめて


そして、目覚めたら

やっぱり

淋しくて堪らなくて


淋しくて淋しくて堪らなくて



きみが去ってしまった時のように

泣いてしまったんだよ




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