第109話 あの日と、あれからの日々を

悲しみに、ぬくもりを


痛みに、癒しを


後悔に、赦しを



あの日の風の匂いを

足元の覚束なさを

今も覚えている


12年


どんなに時が過ぎても

無くならない痛みがあり


自分の無力さに

泣きたくなるような夜があっても


これだけは言える


忘れない


あの日を忘れないから



たとえ

ひとかけらの力にもなれなくても


寄り添う気持ちだけは失くさない


真に「わかる」と言えなくても

慮ることはできるから




どうか

春風が

早く、柔らかく

彼の地に、彼の人々に

吹きますように









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