第91話 そっと、あなたを

もしも

あたしの言葉が花になれるなら

あなたの眼に映って

そっと慰めたい


もしも

あたしの言葉が灯りになれるなら

夜に震えるあなたの側で

そっと灯っていたい



もしも

あたしの言葉が風になれたら


温かい春の風に

爽やかな夏の風に

懐かしい匂いのする秋の風に

美しく風花を舞わせる冬の風に


そんな風になって

あなたを包みたい



思い出は時に

あなたを冷やしてしまうから

そんな時は

あたたかい何かになって

あなたを包みたい


そっと




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