第73話 あの人はいつも

あの人はいつも森のようで

その言葉は

いつも穏やかで

いつも優しい



あの人はいつも月のようで

その横顔は

いつも

静かに微笑んでいる



けれども


あの人の‘特別’は

あたしじゃない


あたしがどんなに想おうとも


あの人の‘特別’は

あたしじゃない




あの人はいつも森のようで


あの人はいつも月のようで



けれども


あの人は

あたしを凍てつかせて

そして

砕いていく







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