第69話 無色透明のさようなら

きみからの最後の手紙は

真っ白な便箋に

海の色のペンで

書かれていた


何を試しても

浮かび上がらない文字、

読めない言葉に

これは

さようならの手紙なのだと

ようやく気づく




人は

後悔するために生きているのではないのに

どうして

こんなに悔やむことがたくさんあるのだろう




手紙、

気づいてなくてごめんなさい




便箋に微かに残るきみの香りに

息を吸って

『明けましておめでとう』

もう届かない寿ぎを呟く


せめて

きみの新しい一年が

輝かしいものであるように

祈らせて




*****

2023年の初投稿です。


もっと明るいものが書けたら

良かったのですが。

降ってきたのがこれでした。


今年もマイペースに

降ってくる言葉たちを

綴ってまいります。


皆さま、どうぞよろしくお願い致します。



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