第65話 「さようなら」とだけ呟いて

離れていったひとは


放された手は


何処に行ってしまうのだろう



どうして、と

訊くこともできずに


ただ、あれこれと

自分の行いを振り返ってみるけれど


何を後悔して

何を断ち切ればいいのか

わからなくて


あたしが紡げるのは

『あたしの言葉』だけで


ここで

どうして? と訊いても

きっと

答は返ってはこないだろう


たとえ

答が返ってきたとしても


あたしの悲しみも

あたしの淋しさも


もう

無かったことになど

できはしない



ただ

「さようなら」とだけ呟いて



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