第64話 心の奥のカナシミを

心の奥のカナシミの塊を

取り出してきて


両の手に乗せて眺めてみる



悲しかった

辛かった

淋しかった

とても心が痛かった


そんな繰り返しで

硬く、固くなってしまっている

あたしのカナシミたち



でもね

もう囚われているのはやめようと思うの


だって

あたしはまだ歩いていかなくちゃ

ならないから



カナシミを

そっと陽のあたる窓辺に置いて


「大丈夫。

 忘れてしまうわけじゃないよ、

 全部あたしの中に戻すからね。


 だから、

 少し暖まるといいよ」


そう、声をかける




いつか

このカナシミたちも

笑って思い出せる日が来ますようにと





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