チビでデブな俺は美少女ギャルから虐められるのだが、その内容がご褒美すぎて虐めには感じないのでひっそりと弱者を演じることが何かと都合がいいことに気付く

タキテル

第1話 ギャルに目をつけられる


「おい! 下平。いや、子豚。ちょっと、顔貸しな!」


 俺、下平琢也しもだいらたくやは美少女ギャル三人組に絡まれていた。

 教室内で静かに過ごしていた俺は人生最大のピンチに陥っている。


「えっと、何ですか?」


「いいからこっちに来なよ。言うこと聞かないと!」


「ひ、ひぃ!」


 一人が拳を構える。これは逆らったら殴ることを暗示している。


「キャハハハハ。ひぃだって。みやびの脅しこわ!」


「これくらいでビビるなんて。本当に男かよ」


「ほら、立って。行くよ。手間かけさせんなよ」


「……はい」


 両サイドから肩を組まれて逃げないように誘導される。

 今から俺は酷い目に遭うことは避けられない事実であった。

 それは見たクラスメイトたちはヒソヒソを話し出す。


「うわ。下平のやつ、葛城のグループに目をつけられちゃったよ」


「あれはしばらく帰って来られないね」


「まぁ、チビデブで気が弱そうなことを踏まえたら目をつけられるのも納得」


「ご愁傷様です。下平よ。まぁ、俺には関係ないけど」


 クラスの誰もが助けようとはしない。

 皮肉にも俺を見捨てるように見送る者がほとんどだ。

 当然だ。俺は身長百四十九センチ。体重八十五キロと言う醜い身体をしている。

 おまけに頭もそんなに良くない。中の下といったところだろうか。

 その見た目は陽キャからしたら虐める対象に捉えられる的でしかなかった。

 美少女ギャルたちから見て俺は虐めの標的に選んでしまったらしい。

 助けを呼ぶことも出来ず肩を固定された俺は為す術もなく教室から連れ出されてしまう。


「ほら! しっかり歩けよ」


「分かったから押さないでよ」


 言われたことに対してただ従う。

 教室から出て俺は部室棟の空室にその身を放り込まれた。


「痛っ!」


 俺は冷たいコンクリート床に転げた。

 ガチャッと扉が閉められて俺は逃げ道を絶たれてしまう。


「さて。この子豚ちゃんをどう虐めてやろうかな」


 ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべるのは黒川雅くろかわみやび

 黒髪ウェーブでキリッとした目つきは男らしさを感じさせる。

 グループのサブであり、クール系のギャルだ。肌黒でこんがり日焼けをしていることが特徴的だ。


「はいはーい。じゃ、私に選ばせて。候補は三つくらい考えているんだ」


 陽気で軽い発言をするのは花岡紅葉はなおかもみじ

 茶髪のロングカールでゆるふわ系のギャルだ。

 グループのムードメーカーであり、ニコニコした発言とは合わない毒舌を吐くことで知られている。見た目に騙される人が後を絶えないとのことだ。


「待って。今日は私が決める。二人は口を出さないで」


 二人を一瞬で黙らせるのは葛城若菜かつらぎわかな

 金髪のストレートショートで男気が溢れる勝気なギャルだ。

 グループの頭を張っており、学校の中で関わりたくないギャルとして周囲から恐れられている存在だ。

 この葛城こそが誰も近づけない原因なのだ。タバコや飲酒など不良少女ならするようなことを平然とする。

 部室に入った瞬間、葛城はタバコを一本取り出して火をつけた。

 可愛いけど、態度はオラオラ系なので関わりたくない人がほとんどでは無いだろうか。

 そんな俺はとんでもないギャルに目を付けられたと言えるが、後悔をしてももう遅い。

 焼くなり煮るなり好きにしてくれと言うのが正直なところ。


「おい。子豚。あんたも運がないわね。私に目を付けられるなんて。さて、どう遊んであげようか」


 葛城を怒らせるとヤバいことは皆知っている。

 徹底的に追い詰めて人間として終わらせると言う黒い噂は数知れずの伝説がある。

 俺もその中の一人にされてしまうようだ。


「若菜。何をするの? 教えて、教えて」


 花岡はスリスリと葛城に擦り寄る。

 一瞬、鳥肌がたった葛城はすぐにその手を振りほどいた。


「だぁ、鬱陶しい。紅葉。大人しくしな」


「ごめんなさい」


「さて、チビで、デブで名前からもブダのあんたは子豚ね。まるで私たちに虐められる為に存在するように」


 ディスられている? 

 確かにチビで、デブだが名前って『琢也』のことか?

 まぁ『琢』を『豚』とは見えなくもないけど、全然違う気がする。


「さて。子豚ちゃんに屈辱を味わせてあげる。覚悟しな!」


 ゴクリと俺は固唾を飲んで腹を決める。

 どんな仕打ちが待っているか分からないが、今はそれに耐え抜くしかない。


「さて。両膝を地につけなさい」


「は、はい」


 葛城は椅子に座って靴下を脱いだ。何を始めようというのだろうか。

 すると、葛城は生足を俺に突き付けた。


「さぁ、舐めなよ。じっくりと」


「へ?」


 困惑する俺に花岡は反応した。


「さすが、若菜。靴舐めの上位互換ってことだね。わざわざ生足って恥さらしの醜態じゃない。やることゲスいね」


 と、言いながら花岡は親指を立てた。


「ふん。当然よ。ほら、どうした。子豚。早く舐めろよ」


 むしろいいんですか? と、聞き返したい。

 俺は腰を低くして葛城の足を両手で持った。


「さぁ、足のつま先から全体を舐めまわしなさい。みっともなくね。クハハハ」


「は、はい。では失礼して……」


 チュパッと俺は足の親指から口に咥えた。

 指と指の間を丁寧に舐め回す。


「こいつマジで舐めている。ウケるんだけど」


「若菜の言う通り、マジで子豚みたい。あははは」


 黒川と花岡が面白可笑しく笑っている時である。


「ん、んん。ヒャ……!」


 葛城から変な声が漏れた。

 俺は舐めるのを中断して聞いた。


「あ、どうかしましたか?」


「う、うるさい。早く続けろ」


「では続けさせてもらいます」


 ジュパジュパジュパと先ほどよりも激しく葛城の足を舐め回した。

 足の裏やふくらはぎの方まで入念に舌を滑らせる。


「あ、あ、ひゃっん、んんん」


 誰もが恐れるあの葛城からやらしい声が漏れる。

 感じている? チラリと上目遣いすると葛城は頬を赤めていた。

 その顔と声に興奮した俺の舌は止まらない。

 じゅるるるるるる、と舐める行為から吸引に変化していた。


「ちょ、やりすぎだってば。いい加減にしろ!」


 ガンッと俺は頬を思いっきり蹴られてしまう。


「いたた。もう少しやらせて下さい」


「はぁ? もういいわ。今日はこの辺にしといてやる。次はもっと過酷なことをしてもらうから覚悟しな。雅、紅葉。行くよ」


 葛城は靴下を履くと逃げるようにして部屋から出て行く。

 一人、取り残された俺は改めて考えた。


「今のは虐めというよりご褒美なのでは?」


 俺の舌に残る微かな後味は足の匂い独特の不快なものではあったが、女子高生の足を舐めたという事実はなんとも誇らしい感覚だった。

 だが、葛城としては虐めてやったと優越感に浸っている感じだったのでどのように解釈すればいいか判断が付かなかった。

 何より暴力的な虐めではなくて内心ホッとする自分がいた。


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新作になります。

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