第13話【ざまぁサイド】経費削減のために政策した代償
ロブリーは国王とは別に、変装をしてもう一人の名前を持っている。
国王の親戚ということにして、護衛付きではあるが王都の街を散策するためだ。
だが、その目的は最近ではただひとつである。
「あらぁ~今日も来てくれたのね~レオブリー様」
「もちろんだ。ここの皆は私のことを愛してくれているのだからな」
「……えぇ、もちろんですわよ~」
ロブリーもとい、変装したレオブリーが訪れたのは女館だ。
ここでは国王の権限と命令のもと、レオブリーはタダで利用している。
(これぞまさしく経費削減だ。権限を利用してタダになるのならばいくらでも使ってあげなければな)
「レオブリー様には申し訳ないんですけどね、無料制度は廃止になったんですの」
「ふむふむ廃止……て、なんだと!?」
「ほら、使ったお金に対して同額税として納めなければいけない政策が始まっちゃったでしょう? その影響で売り上げが激減しちゃったんですの」
(それは私のせいではなく店の経営の仕方、政策に対して効率の良い動き方をしなかったからいけないのだろ!? なんでもかんでも政策のせいにするなっ)
レオブリーは内心ではいらつきつつも、今後のことを考え我慢した。
冷静になって弁明が始まる。
「だからと言ってなぜ私が有料になってしまうのだ?」
「うーん、ここの社長いわく、国王陛下に対して命令など聞けるかハゲって言っていたけど……」
「誰がハゲじゃおのれは!」
レオブリーはうっかり感情的になってしまった。
影ではひどい言われようだと許せるべきことではないと怒りをあらわにしていたのだ。
「レオブリー様のことじゃなくて国王陛下のことよ。あぁ、でもレオブリー様って国王陛下の親戚だっけ。だったら本人に会ったら言って欲しいわねー」
「なにをだ?」
「ふざけた政策は早く廃止してって。レオブリー様だってそう思うでしょう?」
(廃止する必要などあるまい。最初だけ変化に戸惑い混乱してしまうのは想定の範囲だ。このあと良き方向へとかわっていくのだから)
そう考えていても、経費削減のためにロブリーの欲望まで制限をつけなければいけないかとなれば憂鬱なのであった。
「……廃止すればここでまたタダで利用できるのか?」
もしもこれでタダになるならば、特例で女館だけは別枠ということにしてしまっても良いと判断していた。
(やはり男の娯楽まで負担が増えてしまっては本末転倒だし、そもそも経費削減するべき部分ではないかもしれんな……)
だが、レオブリーの思惑とは別で、店員は首を横に振った。
「無理だと思うわよー。だって、それくらいに政策のせいで受けた損害って大きいもの。このままじゃこの女館も倒産。むしろ、そうなる前に、隣のホワイトラブリー王国へみんなで移民してしまおうって話も出ているくらい」
「な!?」
「このままじゃ国ごと破滅してもおかしくないでしょ。経費削減とか言って、経費増大しまくってて大変よって陛下に伝えておいてね」
「……信じられぬ……。なぜだ……」
それでもレオブリーもといロブリー国王は、最初だけ混乱が起きつつも、次第に元どおりになりその後には立派な経費削減に満ちて立派な国になるのだと考えてしまうのだった。
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