第67話 アカリ・マイド
【Sideアカリ・マイド】
うちの名前はアカリ・マイド言います。うちには夢があります。それは世界一の自主製品だけを置いた店を持つことや。
化粧品から、兵器まで、うちが作った物だけを取り扱う店を作りたいねん。
それは初めてオトンの元で商売を見た日から思い描いていた夢や。
夢見た日から、めっちゃ色々な物を作ってきた。
今でも、オトンのマイド大商店で販売している物もあるくらい発明には自信があります。
一番売れたんは魔導ドライヤーやな、多くの貴族様が買ってくれて研究費に使わせてもろてるねん。
でも、最近はちょっと困ったことがあって悩んでます。大好きな発明も手に付かんほどで、どうしたらええのんかわからへん。
今日も困り事の張本人がやってきはりました。
「ぶひひ、アカリ嬢!私のマイスイートハニーよ」
目の前で片膝をついて私にプロポーズしてくれているオジ様は、シータゲ・ドスーベ・ブフ伯爵という貴族様です。ウチのことをお嫁さんにしたい言うてはります。
ウチよりも20歳以上年上のオジ様で、別に年はええんやけど……見た目があかん。
「私の妃になれば、どんな贅沢も許しましょう。ですから私のマイスイートハニーへなって頂きたい。今日こそ良い返事を聞かせてください。
ぶひひ、あなたがアレシダス王立学園に行っている間もいつ戻られるのか待ち続けていたのです。そろそろお答えをほしいですな」
アレシダス王立学園に入学する前から、ウチに求婚してくれてるんやけど……そのとき14歳やで、ロリコンかい!オトンが出てきて、お暇してもらおう思いますけどなかなか帰ってくれはらへん。
「うん?」
「おっと、誰かいらしたようですね。ぶひひ、それでは私は失礼させて頂くとしましょう。どうかお考えくださいませ」
やっと帰ってくれるんや。
でも、誰やろ?ブフ伯爵がいるときはお客さんらも嫌がって入ってこうへんのに……
「退けて」
「(^^)/」
「おっ、おっ!なっなんですか?私は出るのですよ。押さないで頂きたい」
ブフ伯爵が何かに押されて扉の前から移動させられはった。
「バル」
ブフ伯爵が退くと、綺麗な顔をした美少年が店内に入ってきて。
ハァ~やっぱ見た目って大事やわ。年齢は別にどうでもええねんけど……ウチ、メンクイやねん。リューク様はゴッツイケメンやわ~
「これはこれは、リューク様よくぞおいでくださいました!」
「いつもの頼む」
「はっ!かしこまりました!」
オトンが面倒ごとに成る前にリューク様を案内しようとしてはる。
「ちょっと待ちなさい!この私に無礼を働いておいて、なんですその態度は!!!」
あちゃ~めんどうなことになってもうたわ。
あのオジ様プライドはめっちゃ高いし、教会にも伝手があるさかい。色々と面倒やねん。
「いい加減に!」
「なっ、なんですあなた方は!獣人?ふん、下等な亜人が、私に楯突くなど!ヒッ!」
うわ~アホか!デスクストス公爵家のリューク様知らんのか!この人は獣人の彼女さんがおる人やぞ!そないなこと言うたら……
「ねぇ、今、何か言った?おい、肉。お前はボクの物に何か言ったのか?」
あかん!リューク様がマジで怒ってはる。
教会関係者と揉めたら色々と厄介や、何かと難癖つけて、シロップはんにも害が及んでまう。
「りゅっ、リューク様、どうか怒りを鎮めてください」
「アカリ?」
「どうか、堪忍です。ホンマに洒落にならん思います。お二人とも揉めるのはアカン」
うちが必死に止めるもんやからブフ伯爵の方が怪訝な顔をしおった。
「アカリ嬢……失礼。あなた様は高貴な方とお見受けしますが、どちらのお家のご子息でしょうか?」
「デスクストス公爵家だ」
「!!!もっ、申し訳ございませんでした!!!」
ええぇ~なんなんその態度……うち、ドン引きやわ。
掌返しもええとこやん。かっこ悪……ないわぁ~
「わっ、私はブフ家の者でございます」
「なんだ、父上の部下か?」
「はっ、はい!まさかデスクストス公爵家のご子息様とは知らず……無礼な口を聞いてしまい申し訳ありません」
「なら、訂正しろ?」
「へっ?」
「亜人を下等と言ったな。デブ」
「デブではなくブフです。いえ、もちろん訂正させて頂きます!亜人は友でございます。決して下等ではありません」
うわっ汚なっ!脂汗めっちゃダラダラ流しとるやん。マジでキモいわ。
「もういい。次はないと思えよ。ボクの前で亜人を蔑むな」
「はっ!ブフ家の名に誓って」
なんとかリューク様の機嫌が直ってくれたからVIP専用の外商ルームへ移動してくれはった。ホンマ、あのオジ様ろくなことせえへんわ。
「リューク様、本日は不愉快な思いをさせて申し訳ありません!」
オトンが謝って、三人分のドレスをサービスすることでリューク様が許してくれはった。ホンマ、見た目もええけど器もある人やわ。
「リューク様、ホンマにさっきはすいません」
スタッフ呼んで手が空いたうちはリューク様に話しかけた。
「別にいいさ。あれはボクとあいつの問題だろ?」
「それはそうやねんけど。あの人がしつこく居ったんはウチのせいやから」
「ウチのせい?」
「そや。ウチに求婚しに来てん。ウチはまだそんなこと考えてないし、それにあの……伯爵家の人はちょっと」
あれはないわ~多分体重200㎏近いって言ってたもん。
「ハァ~もういいよ。ボクには関係ないことだ」
「関係ないことあらへんよ」
「関係ないことない?」
「そや、リューク様。ウチのこともらってくれへん?」
「うん?」
「ウチ、お金稼ぎ上手いと思うよ!リューク様の力になれます!属性魔法かて【金】やから売れるよってどない?身体もなかなかええと思うねん。優良物件やで」
ちょい恥ずかしいけど胸寄せて前屈み強調して見せつけたる。普通の男ならイチコロポーズやで。ドヤ!
ええ~なんで溜息吐くん???
「ボクにはカリンがいるからダメ」
「なんでや!シロップさんに、ミリルちゃん、ルビーちゃんもやろ?」
「シロップはまぁそうだけど。他の二人は違う」
「はっ、は~んわかったで……そういうことやな」
うちはピンと来たわ!将を射んとすれば馬からや!
「うん?なに」
「今日はええよ。気にせんといて、三人のドレスはあんじょう気張らせてもらいます」
うちは同級生の二人に話しかけた。
「なぁ~二人はどうやってリューク様のメイドになったん?」
二人ともあんまり話したことないけど、同じ0クラスの平民出身やん仲良くしよ。
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