第31話 チームミーティング
《ダンジョン》
ダンジョンとは、魔物を生み出す摩訶不思議な魔境。
形式は、洞窟であったり、森であったり、地下施設であったり、様々存在する。
ただ、研究結果として分かっているのは、魔力が1カ所に止まり、濃密になることでダンジョンコアが誕生して、ダンジョンが生まれると言うことだ。
ダンジョンコアに意志があるのかわかっていないが、ダンジョンコアが誕生すると、領地を拡大するように魔物を生み出してダンジョンを広げていく。
ダンジョンは領地を拡大して魔力吸収範囲を広げることで力を増して、レベルを上げる。
ダンジョンレベルは1~10まで設定されていて、1は生まれたての赤ちゃんダンジョン。
レベル10は、ダンジョンに人が足を踏み入れることができないほど強力な魔物が蔓延ってしまう。
ダンジョンコアは、魔物だけでなく人が欲する鉱物や不思議なアイテムも生み出している。
人々はダンジョンから得られる資源やエネルギーを求め、糧を得るために挑み続けている。
魔導具に使われるエネルギー源として、魔物のコアが使われている。
魔物は放置していればダンジョンからあふれ出して、人々を襲うようになるため、一定数は刈り取らなければならない。
刈り取られた魔物を再利用した物が魔導具である。
魔力、魔石、魔法、魔法陣、魔導具は組み合わせることで新たな可能性を生み出すことが出来るのだ。
著者 ダンジョン研究家 ノートマン
♢
《sideリューク・ヒュガロ・デスクストス》
学園が管理するダンジョンは二つ存在する。
一つは、王国騎士も利用する地下迷宮。
こちらは死者などを埋葬をしていた教会の地下から発見されたダンジョン。
出現する魔物はほとんどがゾンビやスケルトン、ガス状生命体と言った感じでオカルトな魔物が多い。
無属性魔法の回復や、属性魔法の火や光に対して弱い。
ゾンビやスケルトンには物理攻撃が有効だが、ガス状生命体であるレイスやゴーストには物理攻撃は通じない。
発見されるまで時間がかかってしまったため、ダンジョンレベルは3まで成長している。新入生が挑戦するには難易度が高い。
そのため一年生の課外授業で使われるダンジョンは、学園が管理している森ダンジョンになる。
こちらのレベルは2で、比較的発生するモンスターも弱く。
生まれたてのレベル1とは異なり、ダンジョンコア付近ではボスモンスターやレアモンスターと呼ばれる強力な魔物が、たまに出現するため、レベルが低い場合は深く潜ることはオススメしない。
♢
リンシャン・ソード・マーシャル先生のありがたい講義を聴きながら、大きなアクビをしてしまう。
「ねっ、眠いですか?よっ、良ければ私の太ももを枕に使われますか?」
ボクが大きなアクビをすると、特待生のミリルが凄いことを提案してくる。
なぜ、仲良くない女子の太ももを使って昼寝をするのだろうか?
確かに可愛いが、痩せすぎていて、カリンやシロップほどの心地よさは感じなさそうだ。
「ちょっ!何を言っている!ここは学校だぞ。不純だ!」
ミリルの発言にリンシャンが反応してやかましい。
「私の太ももでもいいにゃ」
何故か対抗するように冒険者ルビーまで自分の太ももを差し出してくる。
こっちはスカートで隠しているが、尻尾がふりふりしていて、鍛えられた太ももはボリュームもあった気持ちよさそうではある。
何より尻尾や耳をモフモフしたい。
「おい!昼寝がダメだろ!」
一人で怒っているリンシャン。
今はパーティールームと呼ばれる個室で話をしているのだが、うるさくて眠ることもできない。
いっそ《怠惰》を使って全員のやる気をなくしてしまおうか?
「もう、ダンジョンの話はいい。理解しているようだからな」
眠くなってきたのは全員が基礎授業で習う内容を復習ということで、リンシャンが長々と説明したことに問題がある。
「次は、チームの役割だ。私は騎士で剣と盾を使う。前衛は任せてもらって問題ない」
「ルビーも前衛でいいにゃ。武器は短剣にゃ。攻撃は回避するにゃ。属性魔法も使えるにゃ」
「せっ、戦闘は得意ではありませんが、回復魔法はたくさん勉強したので自信があります。そっ、それと弓も多少は使えるので後衛希望です」
三人がそれぞれの特技と役割の希望を口にしてボクを見る。
「ボクは寝たい」
もう、この話し合い必要ないんじゃないだろうか?めんどい。
「お前は!私たちは真剣にやっているんだ。なんだその態度は!」
怒るリンシャンに対して……
「そっ、そうですよね。リューク様は私と一緒に後衛で寝ていてください。私が最後までお連れします」
「そっ、そうにゃ。お前はいざとなったら動けばいいにゃ。それで十分にゃ」
「お前達!お前達が持ち上げるから、この男がつけあがるんだぞ!」
ここに来て、初めてリンシャンの怒りがボクにではなく、二人へと向けられる。
「ひっ!」
「ふんにゃ」
怯えるミリルと、気にしていない様子のルビー。
対照的な二人ではあるが、ボクもどうして二人がボクを大切にしてくれるのか理解できない。
公爵家の息子ということで色目を使ってくれているのか?キモデブガマガエルではないボクに気をつかっている?
ヒロイン達はそれぞれ悩みがあるので、悩み解決に動かなければ仲良くなっていくことは難しい。
「ハァー、もういい。今日は解散にしよう。今週末にはダンジョンに挑戦するからな。それでいいな?」
「はい」
「いいにゃ」
「へ~い」
リンシャンが解散を口にしたので、廊下に出るとリベラとダンが廊下に立っていた。
仲良くなったのかな?と見ているとリベラがボクの方へ向かって歩いてくる。
「リューク様♪お疲れ様です!」
ダンと話しているときは無表情に見えたけど、ボクの前では笑顔になるリベラ。
「話はいいの?」
「問題ありません。行きましょう」
リベラに手を引かれて歩き始める。
振り返るとダンがこちらを見ていた。
不思議なことに、入学式のような敵意に満ちた視線は無く。
戸惑ったような視線だった。
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