第30話 授業内チーム
学園生活は三年間あり、一年生の間は基本的には能力アップに時間を割かれる。
勉強
魔法
訓練
休息
から何をするのか選択して、一週間の過ごし方を決めていく。
週末は、ミニイベントを消化していくという形式だ。
週末に選べる選択肢
・休息
・勉強
・訓練
・ダンジョン
・魔法研究
・女性とデート
の項目から選択して週末を過ごすことになる。
魔法研究やダンジョンなども広大な敷地を持つ学園側が斡旋してくれる。
学園内で全てのイベントを消化できてしまう。
平均的に、身体を鍛え、勉強をして、魔法を使えるようになると正規ルートに入る。
女性を口説くアクションを取らない場合は、女騎士ルートが王道だ。
一応、三年目になれば自ずと主人公の全ての数値が高くなっているので、ヒロイン達の好感度も高くなる。
但し、基本はデートをしていなければ攻略はできない。
平均的ではなく特化させて鍛えると、それに見合った女性と親密度を上げやすくなる。
勉強なら、特待生孤児と商人。
訓練なら、女騎士。
ダンジョン探索なら、冒険者獣人。
魔法研究なら、王女と魔女っこ。
デートは選択した相手と……
女教師だけは特殊ルートになるので、攻略に条件がある。攻略したい女性は主人公の選択次第ということになる。
どのルートを選んでも、学年生活には強制イベントが存在する。
年末に行われる剣帝杯は、その一つだ。
一年の締めくくりとして行われる国を上げてのイベントなので、学生は強制参加させられる。
主人公の最終目標である騎士になるために必要な登竜門として優勝を目指すが別の学年の強者を倒さないと優勝は出来ない。
基本的には三年目で剣帝杯優勝を目指すというわけだ。
では、一年生の強制イベントの最初は何か?
「それでは皆さん。課外授業としてダンジョン調査をして頂きます」
グローレン先生の発言に喜びを示す者。戸惑う顔をする者。めんどくさそうな顔をする、あっこれはボクだけか……とにかく、学園の授業として本格的なイベントが始まろうとしていた。
「先生よろしいでしょうか?」
優等生のリンシャンが挙手して質問する。
「はい。マーシャル君、なんですか?」
「課外授業では、チームを組んで授業に挑むとお聞きしました。チーム分けはどのようになさるのでしょうか?」
リンシャン・ソード・マーシャルが質問を投げかければ、教室内が少しばかり騒がしくなる。
ダンジョンに挑むためにチームを組む。
基本的には四人で一つのチームであり、最大六人までチームとして判断される。
このクラスが20人なのも、五つのチームを作るためだ。
さすがに0クラスは四人で一チームだが、下位クラスの9クラスや10クラスでは技能に差があるので、30人を六人チームとして組むことが予想出来る。
属性魔法が使えない平民ばかりのチームは、先生の引率について指導を受けることになる。
上位のチームは強い者たちで組ませて、安全性を高める確保をしておくと言うわけだ。
自由にダンジョンに向かわせることで、自主性とレベル上げをしやすくしている。
仲間によってはダンジョン攻略がラクにも、大変にもなってしまう。
ボクとしては、めんどうなチームにならなければ何でも良いが、王女と女騎士とだけは組みたくない。
リンシャンとしては、自分の希望するメンバーを揃えたいと思っているのだろう。
「はい。バランスを考えて成績でチームを考えさせていただきました」
そう言ってグローレン先生がチーム分けを発表していく。
名を呼ばれた四人でチームを組むことになるため、ボクはリベラと組めたらいいなぁ~と思う程度だ。
「それでは001チームリーダー。エリーナ・シルディ・ボーク・アレシダスさん」
「はい!」
「リーダーをお願いしますね。メンバーは……アカリ・マイドさん。リベラ・グリコさん。ダン君」
おや、主人公と女騎士が別々のチームになることは珍しい。
主人公に対して好感度が高い女騎士は、高確率で同じチームになるはずなのだが……
「次に002チームリーダー。リンシャン・ソード・マーシャルさん」
「はい」
「メンバーは……ミリルさん。ルビーさん。リューク・ヒュガロ・デスクストス君」
えっ?マジか……女騎士とは組みたくなかったのに……しかも特待生孤児も、冒険者獣人とも話したことないなぁ~リベラがいないとか、マジでメンドウそうだ。
「先生!私は従者として、リューク様のチームに入りたいのですが!」
リベラが立ち上がって交代を要求する。
いいぞいいぞ!ボクもリベラがいた方が嬉しい。
「あ~、一年の間はそうなるとバランスが悪くなってしまうので却下です」
だが、グローレン先生は有無を言わさない様子で却下されてしまう。
「くっ!」
「リベラ、仕方ないさ。ボクのことは良いから、リベラは自分のチームの人とガンバって来て。ケガをしないようにね」
「わかりました。リューク様ならば大丈夫だと思いますが、お気をつけください」
リベラはリンシャンを睨んでチームメンバーの方へと向かっていった。
チームには各自個室が与えられて、話し合いをする時間が設けられた。
「改めて、チームリーダーをさせてもらう。リンシャン・ソード・マーシャルだ」
男勝りな口調、手に腰を当て、赤髪をポニーテールに結ぶ、高圧的な女騎士。
「ミリルです。特待生で、勉強は得意ですが、戦闘は……得意ではありません」
自信無さそうにボソボソと話す特待生。
顔は可愛いのに自信無さそうな姿は、リンシャンとは対照的な印象を受ける。
「ルビーにゃ!ルビーは元冒険者だったにゃ。ダンジョンは任せるにゃ!」
獣人であることを隠すために、帽子を被ったままのルビーの語尾が、「にゃ」になっている。
一応、獣人ではないと言い張っているが、まぁ……分かるよな。愛嬌がありそうな奴で可愛い。
「リューク・ヒュガロ・デスクストスだよ。よろしくね」
全員が名乗り終えて席に着く。
席に着くと何故か、ミリルとルビーが俺の左右に座った。リンシャンだけが一人だけ正面に座っている。
「うん?」
「きっ、気にしないでください。リューク様。あっ!リューク様とお呼びしても?」
「別にいいよ」
「ありがとうございます!!!何かあれば言ってくださいね。パンでもジュースでも買ってきます!」
何故か、自分からパシリ宣言を始める特待生。
しかも自己紹介の時よりも瞳が輝いている。
「私もリューク様と呼びたいにゃ!」
「あっ、ああ。いいよ」
「うれしいにゃ。ありがとにゃ」
猫……モフモフ、可愛い。
シロップに会えてないから、モフモフしたい。
「そうにゃ。私を撫でてもいいにゃ。好きにしていいにゃ」
何故か、全面的に身体をすり寄せる猫獣人。
「お前たち何をしている!?今から、チームの役割について話をするんだ!ちゃんとしろ!」
怒声を上げて、ボクを睨むリンシャン。
カオス過ぎてめんどうくさい。
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