第11話「やめて!俺のために争わないで!」

 初めて魔術を使ってから数日、俺は低級魔術……ではなく初級魔術の勉強を続けていた。

 初級魔術は一つではなく、例えば氷結属性の初級魔術は『氷弾』だけではなくそれぞれ四つ五つはあり、各属性の初級魔術のレパートリーを増やしていた。俺としては早く低級や中級魔術を使えるようになりたかったんだが、クリス曰く、初級だけでも役に立つ魔術は多く、中級魔術となると詠唱が長く実戦で使いずらい。そのため、魔術師として生きるなら中級魔術が一つ使えるよりも初級や低級魔術をたくさん使える方が重宝されるらしい。

 この世界にはただの獣ではない、魔物と呼ばれる生き物がいるらしい。そいつらは種類によるが訓練していない成人男性ではまず勝てないくらいの力を持っており、好戦的な魔物も多く、常に人類の悩みの種となっているようだ。

 そしてそんな魔物を相手とる時により役に立つのは、一つの中級魔術ではなく複数の初級、低級魔術らしい。

 あれだな、数学や英語も基礎さえしっかりしていれば応用問題も解けるのと同じ原理かもな。


 そういう訳で俺はクリスによる訓練の結果、それぞれの属性の初級魔術をいくつか使えるようになった。しかしクリスの教えはとても上手い。俺が感覚でしか説明できないこともちゃんと言語化して教えてくれるし、俺が何度やっても魔術を使えなくても根気よく笑顔を絶やすことなく見守ってくれた。慈母かな。

 

 そんなある日。


「『魔術の祖よ。我に水の恵みを与えたまえ――『水流ウォーターフロー』』」


 クリスに教わった通りに詠唱すると、右手から勢いよく水が流れ出す。水圧清浄機くらいの勢いはあるな。直撃したら痛そうだ。具体的にはどこが水の恵みなんだ。

 しかし、これでクリスが言うには氷結属性の初級魔術はマスターしたはずだ。


「これで、氷結属性の初級魔術は全て習得したわね。……そうね、そろそろ低級魔術を教えましょうか」

「低級魔術……!」


 やっとだ。しかしこの基礎をしっかり固める教育もクリスのやり方なのだろう。俺は魔術に関してはまだまだ素人。きっと彼女の言うことに従った方がいいはずだ。


「でも今日はもう遅いわね。続きは明日にしましょうか」


 なんだかお預けを食らった気分だが致し方ない、か。


「そんな悲しそうな顔をしないで?貴方は頑張っているわ。でも貴方はまだまだ子供。ゆっくりでいいの」


 そう言ってクリスは俺の頭を撫でる。この柔らかい感触で、俺はすっかり気を良くしたのであった。




―――


 次の日の朝、俺は何やら柔らかい感触で目が覚めた。


「……ん」

「あら、おはようフリッツ」

「―――!?」


 なんと目の前にはクリスがいた。

 ちょ、やめてください!そんな暴力的なまでの顔面には耐えられない!

 しかし彼女は驚く俺を胸に抱いた。

 

「ごめんなさい。お父様が今とても忙しいみたいで、私が助けに行かないとまずいみたい。昨日の約束を破ってしまうお姉ちゃんを許して頂戴?」

「わ、わかったからちょっと、離して!?」


 耐えられん!主に息が!


「いいえ。トルクシュによるとしばらくこの忙しい日が続くらしいの。だからきっとフリッツとはしばらくこうして会えないから、今の内に貴方の温もりを感じさせて?」


 そう言って、クリスは更に強く俺を抱きしめた。

 しばらくクリスは執務室で働くことになるらしい。だから今までみたいに彼女と過ごす事があまりできなくなるとのこと。

 それは大変寂しいが、エルガーも最近慌ただしくしてたからな。しょうがないか。


「でも親衛隊の方は少し落ち着いたらしいわ。久しぶりにサリヤに稽古をつけてもらったら?彼女も貴方に会いたがっていたし」


 ふむ。確かにクリスが学園から帰って来てからあまり顔を会わせていないな。彼女ら親衛隊も最近忙しそうでアスラ大陸中を行ったり来たりしていたらしい。

 ここ最近魔術の訓練ばかりで素振りとかを怠っていたからな。一度彼女に鍛えなおしてもらうのもアリか。

 ……その前に俺もクリス分を充電しておくか。

 俺も彼女の背中に手を回す。

 実姉なので合法!合法です!



―――


「フリードリヒ殿下、お久しぶりです」

「うん、久しぶり、サリヤ」


 訓練場にて、親衛隊副隊長サリヤと久しぶりの邂逅。

 どことなく、彼女の表情はいつもより緩んでいるように見える。


「最近は魔術の訓練をされていたようですね」

「うん……言い訳にはならないけど最近それのせいで鉾槍をあまり握っていなかったんだ、ごめん」

「いえ、殿下には魔術の才があると聞き及んでおります。それなら鉾槍ではなく魔術を――」

「いや、僕は鉾槍の方も鍛えたい。最近サボっていた身でこんな事をいっても信用ならないかもしれないけど…」


 俺はなにも強い魔術師になりたい訳では無い。強い魔王になりたいのだ。そのためには魔術だけではなく武術も必要だろう。贅沢を言えば鉾槍だけでなく剣術など他の武器にも触れてみたい所だが、それは流石に手を出し過ぎて器用貧乏になりそうだ。


「…そうですか。それでは本日は私と訓練をいたしましょう」

「うん。お願いします」

「…いや、今日は少し趣向を変えましょうか」

「え?」


 サリヤはそう言うと、俺の後ろに控えていたリーサリーセ姉妹に視線を向けた。


「私とリーサさんたち姉妹で模擬戦を行うというのはどうでしょう」


 模擬戦。俺もサリヤと何回かしたことがある。勿論彼女は手を抜いていたが。

 そういえばリーサリーセ姉妹は俺の護衛を兼ねたメイドだったか。


「サリヤさんと模擬戦ですか!」

「いいですね!やりましょう!」

「ありがとうございます。では殿下、本日は我々の模擬戦を見て学んで頂く、ということでどうでしょう」


 この世界に来てから、武術や魔術を習い実際に扱えるようになったが、それを使った戦いと言うのはまだ経験が無い。

 そう考えると、本気ではないとは言え、彼女たちの戦いを見て学ぶことはたくさんありそうだ。

 実戦での鉾槍の扱い方、戦いで魔術を使う際詠唱は隙にならないのか、興味は尽きない。


「はい!お願いします!」



―――


 俺は用意された椅子に座る。すると両隣に親衛隊の隊員が控えた。なんでも魔術やら何かが飛んできた場合彼らが盾となってくれるらしい。わざわざ盾になってくれなくても頑張って避けるよと言ったが、俺は王族で次期魔王なのだからもう少し身を大事にしろとリーサに少し怒られてしまった。野球観戦でファールボールに気を付けるもんかなぁと思っていたがどうやら気持ちが緩んでいたらしい。

 

 訓練場でサリヤとリーサリーセ姉妹が対面する。距離は大体10mくらいあるか。一対二となるらしいが、サリヤは親衛隊副隊長。護衛メイド二人くらいなら一人でも相手できると言うことだろう。彼女は木製の鉾槍を持ち、構える。俺は横から見ているだけだが、それでも隙が見当たらない。そして顔がいい。最早フィギュアに見えてきたな。

 リーセは木製の籠手を付けている。肉弾戦が得意とは思っていたが主武器拳かよ。本当にメイドか?シュッシュとシャドーボクシングをしているリーセの隣でリーサは深呼吸をしていた。集中しているのかな。


「では、始め!」


 俺の右にいた隊員が叫ぶと、サリヤはリーセに肉薄した。

 と、いうか鉾槍と籠手がぶつかった。


「は?」


 いやいやいやいや、おかしい。彼女たちは10mは離れていた。そしてリーセは初期位置から動いていない。その場で防御態勢をとった。

 つまりサリヤは一瞬で10mという距離を0にしたことになる。

 どういうことだ?いや、アニメとかで見たことあるよ。ファンタジー世界の剣士が一瞬にして距離を詰めるとかめちゃくちゃな速さで走るとか。

 あれは「まぁアニメだからなぁ」とかぼんやり思っているが、実際目にすると原理がわからない。おかしい。

 そうか!魔術かもしれない。実は教わっていないだけで強化魔術というものがこの世界にはあるのかも。


「サリヤさんは今、何故あんなに速く動けたんですか?」

「え?あぁ…一定の水準まで訓練すれば出来ますよ」

「へぇ……?ちなみに、貴方も出来たりするんですか?」

「ええ、流石にあそこまでは速くありませんが」


 なんと、この世界では訓練すれば縮地が使えるらしい。

 聞けばサリヤは突出して速いが、新兵以外の隊員は全員あのようなダッシュが可能のようだ。

 ただ、本人もあれがなんなのかはっきりとはわからないらしい。無意識でやっているのだろうか。


「ひょっとして、隊員の皆さんは岩を切れたりとかします?」

「全員では無いですけど、一部の者は可能かと存じます」


 なんてこった。この世界の人間は、武器で岩を切れるらしい。

 

「魔術で…そう、例えば強化魔術のようなもので足が速くなったり剣を強化していたりしていますか?」

「強化魔術…?そのような魔術は聞いたことが無いですね…」


 強化魔術ではないようだ。確かにこの世界の魔術は詠唱が必要。あの一瞬でサリヤが詠唱をしたとも考えづらいしな。

 しかしあれがただの人間の芸当には見えないな。

 憶測の域は出んが、本人たちは無意識だが、魔力でブーストしているのではないだろうか。そうとしか思えん。もしかしたらこの後の訓練で俺も使えるようになるかもしれない。この説を頭に入れながら取り組むとしよう。


 俺が思案しているうちにも戦いは続いていた。


「ハッ!」

「くっ…!」

「『魔術の祖よ。我に豪炎の力を以って、かの者を燃やす力を――『火球』』」


 サリヤの攻撃を籠手で防ぐリーセの後ろでリーサは詠唱し、火炎属性の下級魔術『火球』を発動させた。その瞬間リーセはしゃがみ、後ろで発動された『火球』を避ける。そうするとサリヤ視点からはまるで目の前から火の玉が現れた形になる。しかしサリヤはブリッジのように上半身を避けることで避ける。その隙にリーセはサリヤに襲い掛かるが彼女はその体勢から後方に跳ぶ。

 素人目だが、ハイレベルな戦いに見える。特に気になったのはリーサリーセ姉妹の連携だ。リーセと違って、リーサは武器を身に着けていない。つまり彼女は戦いとなると魔術師として戦闘に参加するのだろう。魔術師の詠唱中は完全に隙だらけだ。そこで戦士のような立ち回りをするリーセにカバーしてもらう。

 しかし、この姉妹は双子ということもあってチームワークが素晴らしいな。先ほどリーサが『火球』を発動させた場面では、リーサとサリヤの直線状にリーセがいた。つまり、その状態でリーサが『火球』を発動すると、それはリーセに直撃してしまっていたことだろう。しかし、リーセはリーサの詠唱を戦闘中でもしっかりと聞いており、自分に『火球』が直撃する寸前にしゃがむことでそれを回避し、敵に当たることを狙ったのだ。きっと寸前に回避することも重要なのだろう。そうすれば敵視点からすればいきなり火の玉が現れたことになって不意打ちの形になる。

 今の一瞬でも参考になることはいくつもあったな。


 目の前の戦いに集中を戻すと、お互い間合いを取り睨み合っていた。


「そうだ、ただ戦うのもつまらないし、勝った方にはご褒美なんてどうですか?」


 リーサは急にそう言った。

 まぁ確かに、こういう時には勝者に何かがあったりするもんか。


「私は別に構いませんが……褒美というのは?」

「え~~~と………」


 リーサがチラッと俺の方を見てくる。

 え、俺?


「坊ちゃんと一緒にお茶会させて下さい!」

「……え?」

「……は?」


 リーサの一言に、俺とサリヤは呆けてしまう。

 しかし、リーセはぶんぶんと頭を縦に振っていた。


「流石お姉ちゃん!いい考え!坊ちゃん!どうですか!?」

「……いえ、それは好きにしたらどうなのですか?」


 サリヤは呆れた様子だが、彼女の言葉にメイド姉妹は今度は首を横にぶんぶんと振る。


「いーえ!最近の坊ちゃんときたらずっとクリスティーナ殿下にべったりじゃないですか!」

「そうですよ!それにいつの間にか坊ちゃんの教育係も殿下に取られちゃいましたし!」


 俺も一応殿下なんだが。

 そんなことはどうでもいいとして、確かに彼女たちが言っていることも分かる。

 クリスが現れる前までは、俺は彼女たちに教育を施され、休憩がてらよくお茶会をしていた。お茶会と言っても俺は注がれた紅茶を飲み、用意された甘味を食べるだけだったが。しかし、時たまニクシーも参加していたそれで引き起こされる会話が、俺と彼女達の絆を深めていたのも事実。

 最近の俺ときたら勉学でも魔術でもクリスに教わり、お茶会も彼女の部屋で行われていた。勿論、そこには彼女たちもメイドとして参加していたが、主に俺とクリスしか喋らず、メイドと話す機会は依然と比べすっかり失われていた。

 つまり彼女たちは、今の現状、俺とあまり話せていない現状を寂しがっているらしい。そういうことを言われて嬉しいと感じない者はあまりいないだろう。


「僕は構いませんよ」

「本当ですか!?」

「流石殿下!!」


 俺としては試合の勝敗関係なく彼女たちとお茶会することは歓迎―というより是非したい―するが、それで彼女たちのやる気が出るならいい事だ。


「それじゃあサリヤさんはどうします?」

「サリヤさんも坊ちゃんとお茶会したいんじゃないですか~?」

「……つまり、勝った方は殿下のお時間を頂けるということでしょうか」

「そうだね。俺は勝った方のために一日空けておくよ」


 メイド姉妹のご褒美の内容を考えれば、そういうことだろう。無論一日中お茶会をする訳では無いが、最近あまり接する機会が無かった分、一日彼女たちと一緒に過ごすと言うのも悪くない。

 サリヤは右手を顎に当て、少し考えると口を開いた。


「それならば、私たちの任務に同行願えませんか?」

「え?」


 丁度俺と同じタイミングで俺の左右にいた隊員も疑問の声を挙げていた。


「ま、待ってください副隊長」

「それは危険では…」


 俺は魔王親衛隊の皆がどんな任務に就いているかは詳しく知らない。

 ただ、こういうファンタジー世界の兵士がやることと言えば、相場は決まっている。

 人里を襲うゴブリン退治だろう。


「任務とはいってもしっかりと私たち魔王親衛隊が責任を持って殿下を護衛させて頂きます」

「…理由を聞いてもいい?」


 メイド姉妹たちがあの要望を出したのは、最近俺との時間が少ないため。

 ではサリヤの提案にはどんな理由があるのか。正直俺はバトルジャンキーでは無いので、積極的に危険な場所には行きたくない。


「殿下はそろそろ六歳になられますが、まだ子供。しかし、その年とは思えないほどの実力の持ち主です。鉾槍の実力も、隊員と比べれば劣りますが恐らく訓練をしていない成人男性くらいなら勝利できるでしょう。それに、魔術も初級のみではありますが、全属性、それにそれぞれ最低でも二つの魔術を修めていると伺いました。きっと、危険度の低い魔物であればそこまで苦戦はしないでしょう」

「だから早いうちに経験を積んだ方がいい……ってこと?」

「その通りです」


 なるほど。合点はいく。サリヤは俺の教育に熱心だ。俺が鉾槍を教えて欲しいと言った日から俺は厚い教育を受けている。そんな彼女だからこその提案だろう。

 それに、俺も強さを求めている。立派な魔王になるために。魔神との契約を果たすために。それに強いことに越したことは無いだろう。ここは異世界。魔物なんかもいるらしいし、武力があればそれだけ長く生き残れる。死にたいと考える者はいないだろう。


「分かった。それじゃ、サリヤが勝ったら俺は任務に同行するよ」

「ありがとうございます、殿下」


 俺が合意したことで左右の兵士も渋々といった様子ではあったが納得したようだ。

 この戦いの真の意味を見出した両者は再び対峙する。

 三人とも先ほどまでとは比較できない程真面目な顔つきをしていた。

 睨み合い、構える。いつ相手が攻撃を仕掛けてきてもいいように。

 何秒経ったか、その沈黙を破ったのは、全員同時だった。




―――


 それから30分後。

 この模擬戦を見て、俺はいくつか分かったことがある。

 まず、魔術師は一人では戦いづらいということだ。詠唱している間、魔術師は無防備になってしまうため、前衛にその隙を守ってもらう必要がある。

 二つ目はこの世界の人間は、訓練すれば前世の常識ではありえない動きが出来ることだ。サリヤが最初にやったように、10mという距離を一秒足らずで埋めることが出来る。親衛隊隊員によると岩すら切れるらしい。しかし、これはどのくらい訓練すればいいのか、更に訓練すれば誰でも出来るのか、そういったことは不明だ。だが、もしこの力を手に入れることが出来れば俺は更に力を得られるだろう。

 そして三つ目、サリヤは、滅茶苦茶強い。


「うぅ…」

「負けたぁ……」


 訓練場ではリーサとリーセがそれぞれ横たわっていた。

 模擬戦で木製の武器を使っているとはいえ、少し肌には傷がついてしまっている。

 俺は彼女たちの傍に走り、治癒魔術を使う。

 治癒魔術は傷ついている者がいないと使えない。そのため、こういう状況じゃなければ中々経験を積めないのだ。


「『魔術の祖よ。我に慈悲の力を以って、かの者を癒す力を――『小回復』』」

「ありがとうございます、坊ちゃん…」

「助かりますぅ…」


 勿論、傷ついている彼女たちをほったらかしにするのは可哀そうという気持ちもあるが。

 初級の治癒魔術だが、所詮彼女らの傷は木製の武器でできたもの。初級の魔術でも傷は塞がった。

 

「ほら、サリヤも」

「い、いえ、殿下自らそんな…!隊には治癒魔術師もいますし…!」

「まぁまぁ、俺の練習だと思って」

「…!そういう、ことなら…」


 サリヤにも治癒魔術をかける。実際、魔術に練習が必要かどうかはわからないが、やらないに越したことは無いだろう。初級魔術を二回使うくらい魔力的にもどうってことないからな。

 …そういえば、一般的な魔術師ってどれくらい魔力を持っているのだろうか。

 そもそも、俺はまだ低級魔術すら使えないから、初級魔術の魔力消費量しか知らないが。


「じゃあ、サリヤの勝ちってことで。任務、同行するよ。俺も実戦を経験してみたいしね」

「ありがとうございます、殿下」


 俺は未だに横になっているリーサとリーセの方を振り向く。


「リーサとリーセも、今度お茶会しよう。クリスお姉ちゃん今日から忙しいみたいだし、ね」

「「坊ちゃん…!」」


 うむうむ。こういう所でも『お姉ちゃん』の好感度は上げておかないとな。

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