神社にまつわる禁忌、神隠し、ユラユラとする化け物、不思議な世界に引き込まれました。ハラハラドキドキしながら読み進め、最終話は恐怖に突き落とされました。
2章構成で49話からなるホラー小説で、希望を感じるような1章の終わりから、怒涛の展開となる2章へと続きます。
序盤は不気味で怖いエピソードと、楽しげで穏やかなエピソードが、うねりのある波のように繰り返されていました。このままの展開で進むのかと安心していたら、事態は急展開してゆきます。
終盤は、絶望的な高波に、次々に襲われているような気分になりました。
主人公の友達が薄気味悪い存在で、非常に恐ろしいです。その友達に、主人公が次第に感化されてゆく描写が、実に巧妙でした。私自身もユラユラする世界に引き込まれてしまいました。
一度入ってしまうと、出たつもりになっても、抜け出すことはできません。一見すると、とても穏やかで平和な世界、でも、その実態は?
行方不明の家族、望まぬ儀式、おぞましい食事、そして予想もつかない結末、とても恐ろしさを感じました。
禁域に入ってしまった主人公が、どうなってしまうのか、あなたも見届けてみませんか?