第56話 2023年のCAT’S EYE
1980年代に少年ジャンプに連載し、アニメにもなった「CAT’S EYE」という作品がありました。
ストーリーは画家だった亡き父親のコレクション(「ハインツ・コレクション)を盗むという三姉妹の話でした。
なぜ、思い出したかというと、舞台が吉祥寺で武蔵野市だったからです。武蔵野で思い出しました(?)
いま鳥取県で新たに開館する美術館でアンディ・ウォーホルの作品の購入にあたって揉めてますね。
1964年に日本であまり馴染みのない現代アートの専門の美術館が長岡市に開館しました。「長岡現代美術館」です。いまは商工会議所の建物になっていたはずです。
これは銀行家の駒形十吉氏が収集した現代美術作品を展示したもので、その銀行の名前を取って「大光コレクション」と呼ばれています。
駒形十吉氏は新潟総合テレビの社長としても新潟県民にはなじみ深い人です。
現代美術専門画廊の「東京画廊」の山本孝氏を通じて買い集めたそのコレクションは、当時のわが国でも最大の現代美術のコレクションでした。
しかし、その後に、大光相互銀行の不正融資などの問題があって、その資金捻出のために、この膨大なコレクションは売られていくことになりました。
当時の新潟県庁はその半分を買収しましたが、それでも多くは全国の現代美術館に売られていきました。 横浜市の横浜美術館は当時の飛鳥井市長がこの長岡現代美術館に刺激をうけて建設されたものといわれています。もちろん横浜美術館に元大光コレクションも多く収蔵されています。
新潟県が買い取った大光コレクションの半数は、1993年に長岡市に開館した新潟県立近代美術館に展示され、2003年に新潟県立万代島美術館がオープンし、この2館で展示されています。佐伯祐三「広告塔」は、館内の喫茶室のレストランの名前にもなりました(このレストランは現在は閉店しています)
私がロダンの「考える人」を初めて見たのは長岡市でした。
大光コレクションにはウォーホルの作品もあり、それが売られていったことを惜しむ人も多いと聞いています。
美術館の学芸員さんに聞いたら、「大光コレクションを元どおり集めるには、どんなにお金があっても足りない。CAT'S EYEにでも頼むしかないなぁ」と笑っていました。
さあ、鳥取県ウォーホルの論争はどうなることやら?
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