ご主人様はちょっと強いらしい……

おもち

第1話 ご主人様?

 私のお家は鉄の棒に囲まれていて、時々声の大きいおじさんがご飯を置いてってくれる。床は冷たいけど、ご飯は暖かい。向かい側にもおんなじお家があってそこには赤毛の獣人のお姉ちゃんがいる。でも、おじさんたちの話だとあとちょとでいなくなっちゃう見たい。


寂しいな…… お話したことはないけれどいつも優しい目をしているし手を振ったら振り返してくれるとっても優しいおねえちゃん。


あ… おじちゃんたちが… あれ…? いつもより人が多いし慌ててる?

あ、あの知らない黒髪のおじちゃんに追われてるみたい。


黒髪のおじちゃん…怒ってる? あ…寒い。え… ご飯くれるおじちゃんたちが

凍ちゃった。これが魔法? あれ…… 眠いや。




暖かい。それに柔らかい… それにいい匂いもする。 私…そっか眠っちゃったんだ。それで…


「起きたか。おれはビムガだ。訳あってお前のご主人になった。よろしくな。

 だがそう畏まるな。好きじゃない・」


「うん。わかったビムガ」


「…お前女の子だったのか? っていうか人前では一応ご主人様って呼べよ」


長い黒髪を頭のてっぺんで結んでる30代くらいの優しそうなおじちゃん。

だけど、強そう? どこかで見たことある人だけど… まぁいっか。お腹すいた。


「うん。ビムガお腹すいた」


「わかってるのかわからないが… まぁいい。そうだなまずはご飯にしようか」


私にはなかなかご主人が現れなかったけど、ビムガみたいな人をモノ好きっていうのかな? あれそれだと私が悪い意味?


いい匂い。白い湯気が出てる。 あったかそ~。おじちゃんたちが食べてるのを見たことはあるけど私のはいつも冷たかったからな。 あ、今回もそうか。


「何してる? 座らないのか?」


「座る? 座ってるよ?」


食べるときに座るということくらい知ってるもん。どうしてビムガはあの薄い板にご飯を乗せてるんだろう。


「もしかして机でご飯を食べたことが無いのか… 」


「これはな机といって食べ物や何かの作業をしたり友達と喋ったりする楽しい場所なんだ。これからはこの机でご飯を食べよう。」


楽しい場所? それならそこで食べよ~ あれ私のご飯からも白い煙が出てる…

これを食べていいのかな? 初めてだ~ あったかいのかな。


「いただきます」


「いただきます?」


いただきますって何だろう? そういえば赤毛のお姉ちゃんも言ってた気がする。


「いただきますって言うのはな、今日ご飯がたべれていることを神様に感謝することだ」


「神様?」


「私たちを見守ってくれている方のことだ。 また生み出してくれた方でもあるな」


「パパ?」


「パパ…? そうだなみんなのパパかもしれない。だけどとっても偉いから感謝をすることを忘れないように」


私のパパって訳じゃないのか。 難しいけどご飯が神様のおかげなら感謝しとこう。

ありがとうございます。


冷たかった床から。あったかいベットになってご飯もあったかいのになって。

こんなに幸せで良いのかな? ちらちらこっちを見てくるビムガはちょっと変わってそうだけど優しいご主人で良かった。


明日も美味しいご飯が食べれるといいなぁ。あ、神様に感謝しないと!


「いただきます」


「?」 


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