悪役令嬢とお友達な婚約者様!?

結咲さくら

第1話

私は悪役令嬢であるアウローラ。でも、わたくしはただの悪役になどなるつもりはないのです。

わたくしがなりたいのは――。

「あなたのような方と、お友達になんてなれません」

「な……っ!?」

きっぱりと言い放ったわたくしに、クレイヴ様は目を見開きました。

「何を言っているんだ? 僕はこの国の第一王子だぞ! それを……」

「それがどうしたというのです?」

「なんだって?」

「わたくしには、地位も権力も関係ありませんわ」

わたくしの言葉に、クレイヴ様だけでなく、周囲の皆様まで絶句していらっしゃいました。

「そんなことより大切なことがあるからです」

そう言ってわたくしは、視線をまっすぐに王子に向けます。

「それは、あなたがわたくしのお友達になってくださるかどうかということですよ」

「な……!」

わたくしは、自分の胸の前で両手を組みながら続けました。

「だって、せっかく同じ学園に通う生徒同士ではありませんか。それなのに、お互いのことを何も知らないままでいるというのは、とても寂しいことだと思いますのよ」

わたくしがそう言うと、クレイヴ様は何も言えなくなったのか黙ってしまいました。そしてそのまましばらく考え込んでしまったようでしたが、やがて大きく息をつくと口を開きました。

「……いいだろう。ただし、条件がある」

「条件ですか?」

「そうだ。お前が僕の友人にふさわしい人物であるという証明をしてみせろ」

「しょ、証明とはどういうことですの?」

「簡単なことだ。今度の舞踏会までに、お前が友人としてふさわしい人間だと思えたなら、そのときは僕の婚約者にしてやろうじゃないか」

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