ハト

 ハトの話をしましょう。


 ハトは、数多いる鳥の中でも、特に身近な鳥です。

 往々にして人間に慣れており、近寄っても全然飛び立ちません。

 公園のランニングコースで道を譲ってくれない時などは困ってしまいますが、時間に余裕がある時は、トコトコ歩く姿をじっと観察すると楽しいですね。

 首の動きも可愛らしくて面白い。


 あと、ハトの特徴的なところは、やはり鳴き声だと思うのです。

 一般に、ハトの鳴き声は「ポッポー」とか「クルックー」といった文字で表されます。ハト時計の音もそうですね。

 でも、外を歩いていて時々聞こえてくるハトの声は、あれです。

 「ブォーブォー・ブォッブォー」という感じの、ちょっと濁った、癖になるリズムの声です。


 この声は、いつもどこか遠くから聞こえてくるので、ハトの姿は見えず、ハトがどういった状況で鳴いているのか分かりません。

 ハトは何故、どんな状況で、このような変な声を出すのでしょうか。

 外敵への威嚇や、異性への求愛などの意味があるのでしょうか。


 いいえ、違います。

 あれは発声練習なのです。

 痰が絡まったり、喉がいがらっぽかったりする時に、「あーあー、(マイク)テスッ(マイク)テスッ」みたいな感じで発声して、喉の調子を整えているのです。

 だから、ちょっと濁った「ブォーブォー・ブォッブォー」になるのです。

 整ったところで、「ブォーブォー・ブォッブォー、ブォーブォー・ブォッブォー、ブォッ……」という具合に、練習を終えるのです。

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