成果報告No.1-1 報連相は大事であった(特に報)

「我々は、現在大きな問題に直面している。」

ある部屋の中で、話し合いが行われようとしていた。

「それは・・・・・・」

ゴクリ、と誰かが固唾を飲む。

「・・・・・・お金がありませーん!!」

会議でいう議長席のようなところに座っていた女子は、部屋の外にまで聞こえる大きな声を発した。

彼女は、椎菜しいな 千聖ちさと

高校2年生である彼女は、この集まりのリーダー的存在である。

「私たちは、部活でも同好会でもないので、お金がないのは当たり前ですよ。」

千聖に冷静な指摘をする彼女は、真中まなか 愛衣あい

千聖と同じ高校2年で、周りに流されることのない性格である。実際、千聖に突っ込みを入れながらも、手元で何か機械のような物を弄っている。

「なぁんだ、何かと思ったら前々から知ってることじゃん。期待して損したぁ。」

先程、固唾を飲んだ犯人であるこの女性は、村松むらまつ 彩葉いろは

高校教師である彼女はそういうと、袋から何かを取り出す。

ビールである。

「ちょっと、ちょっと、何いきなり飲もうとしてるんだよー!まだ、仕事あんだろぉ。」

「仕事の話はしないでーーー!」

プシュ

「おいおいおい、そんなこと言いながらビールを開けるんじゃないよ。」

現在、彼女たちは叉塚高校さづかこうこうの旧校舎の一室にいる。無断で占領しているが、先生の監督付ならと使えているが、監督者である本人がこれである。

「そんなことよりも、お金だよ。おーかーね!」

「焦っても何も出ないわよ〜。・・・・・・ヒクッ。」

「もう酔っ払い始めてんじゃん。」

「でも〜、今更お金が必要になったの〜?少ない額でも、何とかしてきたじゃない。」

「それがですねぇ、みんなで集めたお金が無くなっているんですよ。袋に入れたはずなんですが。」

「大問題じゃない!?」

「ですが、そこにこんなものがあったんですよ。」

彼女が、ポケットから取り出したのはレシートである。ネジやら留め具やら色々なものが書いてあった。レシートの下の方には、合計金額45,800円と書いてある。

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

千聖と彩葉は顔を見合わせ、愛衣はんにんの方を向く。愛衣は、視線に気づいたのか顔を上げた。レシートを見ると、思い出したような顔をする。

「あっ、すみません。新しい部品が欲しくて買いました。お金は袋から。」

「買うなら言いなさいよーーー!」

先程の千聖より大きな声で彩葉が叫んだ。

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