散歩

@parli

第1話

父は時々散歩へ出かけた。毎日というわけでなく、出かけている時間もバラバラだった。散歩へ行くときは決まって夜だったし、出かける時は少し疲れた表情をしていた。幼いころに一度だけ連れて行ってほしいと頼んだことがあったが、連れて行ってもらえなかった。話しかけるといつも目を合わせてくれる父がその時は目も合わさず「遅いからもう寝なさい」とだけ言った。頼んだのはその時が最初で最後だった。


ある日、父は散歩から帰ってこなかった。父が散歩から帰ってくる前に家族が寝てしまうことはよくあったので、帰ってきていないことに気づいたのは翌朝だった。母はすぐに警察に連絡したが、父が見つかることはなかった。俺が7歳の時だった。

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