【完結】森の幼稚園

いろは えふ

森の幼稚園

 ここは森の動物たちが通う、森の幼稚園です。


 クマ先生が掃除をしていると、ウサギくんがやってきました。


「先生。おはよう」


「あら。おはよう。ウサギくん。今日は何をして遊ぶの?」


 先生がききました。


「ぼくはね、ジャンプが大好きだから、今日は、なわとびで遊ぶんだ」


 ウサギくんが答えます。


「そう。それじゃあ、けがをしないように、気を付けて遊んでね?」


「は~い!!」


 ウサギくんは、元気に駆けて行きました。


 クマ先生が、花壇の手入れをしていると、リスちゃんがやって来ました。


「せんせー。おはよう」


「あら。おはよう。リスちゃん。今日は何をして遊ぶの?」


 先生がききました。


「わたしね。新しい絵の具を買ってもらったから、今日はたくさん絵を描くのよ」


 リスちゃんが、明るく言いました。


「まあ。素敵ね。それじゃあお部屋でたくさん絵を描いて、出来たら先生にも見せてね?」


「は~い♪」


 リスちゃんは、るんるんっと部屋へと行きました。


 クマ先生が、部屋の掃除をしていると、こいぬくんがやって来ました。


「先生。おはようございます!」


「あら。おはよう。こいぬくん。ウサギくんは、なわとび。リスちゃんは絵を描くんだって。こいぬくんは何をして遊ぶの?」


 先生がききました。


「ボク、新しい靴を買ってもらったんだ。だから今日は、一杯走ろうと思ってるんです」


 こいぬくんが嬉しそうに答えました。


「そうなの? それは嬉しかったわね。それじゃあ、お友達にぶつからないように、楽しんでね?」


「はい。大丈夫です!」


 こいぬくんは、笑顔で園庭に飛び出して行きました。


 クマ先生が、朝の会の準備をしていると。


「え~ん! え~~ん!!」


 こねこのみーちゃんが泣きながらやって来ました。


「あら? おはよう。みーちゃん。どうして泣いているの?」


 先生が心配そうにたずねます。


「ぐすん。ぐすんっ……みーちゃんね。お気に入りの帽子を……なくしちゃったの……ずびっ」


「それはたいへんっ! 先生が一緒に探してあげるわね?」


「うん……うわぁーーーんっ!!」


 こねこのみーちゃんは泣き止みません。


「あら。あら。どうしましょう」


 先生は首をかしげます。


 クマ先生が困っていると、園のみんながやって来ました。


「みーちゃん。どうしたの?」


 みんなはとても心配そう。


「みーちゃんがお気に入りの帽子をなくしてしまったみたいで」


 泣き止めないみーちゃんの代わりに、先生がみんなに話しました。


「ボクたちも一緒に探してあげる」


 こいぬくんが言いました。


「ぼくはジャンプが得意だから、屋根の上を探してあげる」


 ウサギくんが言います。


「わたしは木登りが得意だから、木の上から探すね?」


 リスちゃんも言います。


「ボクは穴を掘るのが得意だから、砂場を探すよ」


 こいぬくんです。


 みんなは、いっしょうけんめいに探しますが、帽子は見つかりません。


「ないなー! みーちゃんの帽子」


 みんなの声が揃ったその時です。


「あったよ~~!!」


 ひと際大きな声が、池の方からしました。


 みんなが池に向かうと、先に来ていたワニくんが、こねこのみーちゃんの帽子を見つけてくれました。


「ありがとう。ワニくん!」


 お気に入りの帽子が見つかって、こねこのみーちゃんはとっても嬉しそう。


「みんな。ありがとう。大好き!!」


 こねこちゃんのにっこり笑顔で、みんなもとっても嬉しそう。


 仲良くみんなで遊びました。

 よかったね。みーちゃん。


                                 おしまい

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