お気楽霊体王子が無双侍女と旅する自分探し

未知

覚醒

第1話 お気楽王子、魔物退治へ!

ニヒル国の王様は勇敢な人物でどんなに屈強な魔物にも俄然がぜんと立ち向かっていた。

兵士も屈強な者がたくさんいる。

そんな勇ましいニヒルにも不安はある。


「ネリカ、僕の服は?」

「タンスの中です」

「出して」

「はい、すぐに出します」

侍女のネリカはタンスから服を取り出して

「どうぞ王子様」

「ありがとう、ネリカ」

サルシ王の唯一と言っていい不安はこの王子なのだ。

甘やかしすぎたのか自分で何一つしようとしない。

出来るのにしようとしないのだ。

侍女のネリカに頼りっきりな甘えん坊王子なのだ。

ネリカも厳しくすれば良いのだが優しく接してしまう。

王子の事を弟のように思っているのもあるが、一種の恋心を持っているのだ。

王子の事が好きだから頼られると嬉しくなる。


魔物が蔓延はびこる世界で兵士は勇敢に戦っているのに王子のサマスはいつも呑気のんきにしている。

「ネリカ、お腹いた」


サマスの軟弱な態度に温厚なサルシ王はついにキレた。

「サマス!」

サマスは普段、怒鳴らない父が怒ったのだからビックリした。

「父上、どうしたの?そんなに怒ると血圧が上がるよ」

この吞気のんきすぎる態度にまた怒りが込み上げてくる。

「サマス、魔物退治に行け!」

「それは無理だよ、父上」

「僕が魔物にかなうわけないよ」

「お前というやつは!!」

兵士たちが咄嗟に止めに入った。

「王様、お怒りはもっともですがここは冷静に」

兵士たちの仲裁でサルシは何とか怒りを収めた。


「サマス、良いな!兵士を引き連れて魔物退治に行くんだ!」

「お前が魔物の群れにかなうわけないのは分かってる。無理だと思ったら逃げても構わない。」

「魔物と戦ってたみたちに勇敢な所を見せてやるんだ!」

「国民はお前が”国王になるのを怖がっているんだ。」

「みんなを苦しめる事をした覚えはないけど」

「お前を怖がっているんではない。お前が国王になるのを怖がっているんだ!」

「お前が呑気すぎるから魔物や他の国から責められないかを怖がっているのだ!」

「だから民たちの不安を取り除くためにはお前の力を見せる必要があるのだ」

「僕にそんな力はないと思うけど」

「そんな事は分かっている!」

「誰のために苦労していると思っているのだ!部屋に戻って準備して早く魔物退治にに赴けおもむけ!!」


お気楽で剣も振るった事がないサマスが魔物退治に向かうことになった。

王様は一抹の不安を抱えながら王子を送り出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る