第一章 猫になる

第1話 モテたーーい!!!

私は、猫だ。(今は)


いや、何を言っているんだと思うのはわかるが、猫なのだ。


まあ、普通の猫と言うより擬人化したというような人間寄りの猫だ。


猫耳とヒゲと尻尾。それを人間に足したものだ。


ちなみに黒猫。


いや聞いてくれ。友よ。


友という名の日記よ。


聞いてくれ。今日あったことを。


こんなことになった経緯を……


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「モテたーーーーーーい!!!!!!!!」


山びこで声がかえってくる。


「なにやってんの?」


そう聞くのは、オタ友の穴井あない 愛由あゆ、あだ名はA《えー》さんだ。


「Aさんもやってみなよ。楽しいよ?

羞恥心を捨てて、さあ!」


「いやだよ!?そんなの自爆しに行ってるのと同じじゃん。

私はそんなのしないからね。」


「えーノリ悪〜」


「これからアニメイト行くんだ。今日、某あのBL漫画のシリーズ全巻揃えるために貯めた金を使うんだ。

そんなのに労力を使ってエラーとか起きたら嫌だからな。心の準備はするべきだ。」


ちなみにAさんは腐女子だ。

大変腐っている。

そして運がことごとくない。

(売り切れとか日常茶飯事)

推しにだけは永遠に嫌われる運命なんだろう。


「何それフラグ?

あの漫画だいぶエロいしな……まあ、がんば」


「うぃー」


適当な返事を聞き、周りを見渡す。


いつも通り誰もいない。


ここは、2人だけの秘密基地のような場所。


どれだけ叫ぼうと誰も来ないので、オタクのちょっとやばめの会話をする時などに重宝している。


あと、愚痴の吐き捨て場。


まあ、暇な時に一人で来たりもする。


今日も、暇だったから遊びに誘った。


本音を言いすぎない、オタ友と言うだけの関係が少し気に入っている。


……なんて格好をつけてみたが。


暇なものは暇だ。暇なのだ。


「あ”あ”あ”あ”〜〜暇だー!!なんかないかな〜」


「いつもじゃん」


「そうなんだけどなぁ……」


思えば、ここで引き返せばこんなことは起きなかったんだと思う。


こんなことを、興味本位でやったから。


「ねぇ、山の奥、入ってみようよ。」


猫なんかに、なってしまったのかもしれない。

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