アリネ少女の不思議訪問
トマトも柄
第1話 アリネ少女の不思議訪問
アリネ少女はとてもかわいい女の子である。
いっつも笑顔で歩いている。
アリネ少女の前に狐が見えます。
その狐は洞穴に向かって泣いているようでした。
「狐さん。 どうしたの?」
アリネちゃんは狐に聞きます。
けど、狐はアリネちゃんを見ても泣き続けて泣き止もうとしません。
「
狐は恐怖で泣き止み、アリネちゃんに言います。
「この洞穴にネックレス落としたの。 転がっていって奥まで行っちゃったから怖くて取りにいけないの」
「奥まで行ったの分かってるならそこまで行けばいいのでは?」
「真っ暗で何も見えないから怖くて行けないの」
アリネちゃんが洞穴を覗いてみると、真っ暗で何も見えません。
「ちょっと準備するから待っててね」
そう言って、アリネちゃんはどこかへ行きました。
しばらくすると戻ってきて、手にはランタンを持っています。
「じゃあ行くわよ!」
「待って! 僕も行くの!? 怖いよ!」
「あんたの落とし物でしょうが! 君も来るの!」
アリネちゃんは狐の尻尾を鷲掴みにして狐を引きずるように洞窟に入っていきます。
狐はやだー! 怖ーい!と叫んでいるが引きずる手の力は弱まることはありませんでした。
そのまま二人は洞窟の奥へと入っていきます。
そうすると洞窟の奥から光が入り込んでいきます。
二人は眩しさに目を凝らしながら辺りを見回します。
そうすると奥には城が見えてまるでメルヘンの国に来たみたいでした。
正門の入り口には門番が立っています。
ただその門番は普通に屈強な体をしているが、一つだけ普通と全然違う所がありました。
顔がアザラシなのです。
アリネちゃんが震え上がってアザラシ顔の門番を見ています。
「マ……マ……」
「マがどうしたの?」
狐が聞くと、
「マッチョはやだー!」
アリネちゃんがすぐに振り返って叫びながら逃げ出します。
「え!? そっちで逃げ出すの!?」
狐は驚きながらアリネちゃんを追います。
けれど、門番に回り込まれて二人は門番に捕まります。
「ひぃ……やだよぉ……」
門番に服を摘まれたアリネちゃんが恐怖の顔を出しながら怖がっています。
「何でそっちで怖がってるの……」
もう一人の門番に尻尾を握られてぶら下がっている狐が言います。
門番に捕まった二人は城の前まで連れていかれて放り投げられました。
「いったい!」
アリネちゃんが大声を出して叫ぶも門番達は無反応です。
「ようこそ! 私の城へ!」
そこには城の前で豪勢な椅子に座っている人が一人います。
王冠を被っており、豪勢なマント、そして首にはネックレスを付けています。
「あ! そのネックレスは!?」
狐が声を出してネックレスに指を指します。
「おお! このネックレスか。 門番達が拾ってくれてな、私が王様だからと貢献してくれたのだよ。 君のか」
狐が手を差し伸べたが、王様は手を上げて渡さなかったのです。
「簡単には渡せないなぁ」
王様はニヤリと笑い、
「今からゲームを始めよう。 このネックレスは返す。 ただし! 私達から逃げて貰おう!」
「それ失敗したらどうなるの?」
アリネちゃんが聞くと、
「ただスタートに戻すだけだが?」
王様の言葉にホッとしていたが、
「ただマッチョダンスを見て貰うがな。 五分間」
「ヤアアアアダアアアア!!」
それを聞いた瞬間にアリネちゃんは悲鳴を上げて、ネックレスを奪い取り、狐の尻尾を鷲掴みにしてダッシュで逃げていきます。
「良し! みんな! 追うんだ!」
王様の言葉に兵士が反応して、アリネちゃん達を追いかけに行きます。
アザラシの可愛い顔をしてマッスルボディを見せつけながら兵士達は追っかけてきます。
「ぜーーったい捕まらないぞ! 絶対ダンスは見ないぞ!」
必死に腕を振り回しながらアリネちゃんは逃げています。
狐が痛い痛いと叫んでいるがアリネちゃんは全く聞く耳を持っていません。
兵士達は必死に追いかけてきます。
アリネちゃんが必死に兵士を振り払い回避していきます。
追いかけている最中も兵士は筋肉の見せつけを忘れません。
「見せつけるな! どっか行ってよ!」
まるで後ろにでも目を付けてるかのように言います。
一生懸命逃げて遂に門の前までたどり着きます。
すると門の前に筋肉を見せつけながら構えています。
アリネちゃんは狐を抱き抱え、全速力でかけながらスライディングをかまします。
「門を出たら私達の勝ちなんでしょ!? なら門を出たら追っかけてこないんでしょ!」
そう叫びながらアリネちゃん達は筋肉を見せつけているアザラシの足の間をスライディングで駆け抜けて門を滑り越した。
アリネちゃんと狐が門を越えたところで振り返るとアザラシ達は拍手をしていました。
そして、アザラシ達はどんどん小さくなってある物に変わりました。
オモチャになっていたのです。
そして目の前にあったお城もどんどん小さくなっていきミニチュアサイズまで小さくなっていきました。
さっきまであった城がオモチャになっていました。
その城のオモチャの中にさっきまで王様や兵士達だった人形が置いてありました。
アリネちゃんと狐がそばまで近づきましたが、動く気配がありません。
そして、城の中にあるメモ紙を見つけてアリネちゃんが拾います。
そのメモ紙には遊んでくれてありがとうと大きな文字で書かれていました。
すると、アリネちゃんがお城のミニチュアを持ちあげて持ち帰ろうとしています。
「持ち帰るの?」
狐が聞くと、アリネちゃんがこくんと頷きます。
「遊んでくれたんだからね。 今度人形遊びでもしようか。 もしかしたら楽しいかもよ」
「じゃあ今度小道具も用意するね。 きっとこの子達も喜ぶだろうし」
さっきまで必死に逃げた姿はどこにもなく今は先程までの事を二人で面白おかしく話していました。
そして二人はこう言いました。
今日は不思議な訪問に出会ったと……。
アリネ少女の不思議訪問 トマトも柄 @lazily
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます